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一兆年の夜 第四十七話 質量は保存される

 あれ夏だ。俺日の光見たのはこれ初めてなのか? とも卵孵る時に一瞬見たのか? 真実死んだ後しかわからない。俺こうしてお日様下で木登るんだ。神々感謝しないといけない……誰?
「君誰だい? 蝉族の者はこの季節に五月蠅くて困るんだがねい。名前を聞かせてくれない?」
「俺セミ吉・後藤。ラテス蝉族齢は二十成ったばかり」
「何だか解釈しづらい訛りだねい。僕の名前は正岡シ点い。正岡シ点と呼ぶい。語尾に『い』が付く蜻蛉族のラテス島出身者だい。齢は十九にして十一の月と三十日目だい。僅か一の日遅いだけで年下なんて悔しい!」
 居るんだ。俺以外僅かな日数の差悔しがる生命がいると。
「それでセミ吉とやらは木に登ってどうするのだい?」
「蝉族知る者なら知ってる?」
「どん……そうかい! 蛹に成るのかい! んであのくそ喧しい音を出すんかい!」
「仕方ないだ! 蝉族代々そうして子孫繁栄してきた! 鳴き声高さ、華麗さセミの右出る種族が聞きたい!」
「いやいやい、寿命が短い上に鮭族並に親の顔が知らないお前らが鳴き声まで記録出来るとは思えないけどい」
 そ、そうだ! 俺達蝉族大人に成って僅か時間で死至るから鳴き声は耳聞き伝え続ける以外にないんだ! まで弱い部分あるとますます成虫成りたくなくなるんじゃない!
「まい、まあ僕の言葉をそこまで受け取らなくてもいいよい。けい、けれども寿命が短いのならいっそ地下生活に戻ってもいいんだよい。そう急いで蛹に成る必要もない訳だしい」
「も、もう遅い。俺これから蛹成ろうとする。から先お喋りは出来ない」
「そい、そうなのかい? てっきり蛹に成っても喋られると思ったけどそうじゃないんだい」
「当たり前。蛹状態お喋り出来るとっく昔に蝶族お喋りしてる!」
「そうだったかい。ところでいつになったら蛹に成るい? 蛹から成虫に至るまでどれくらいかかるい?」
「年齢ほぼ比例する後十二の分。から成虫成るには蛹同じく僅か二十の分だ。まで聞きたい事は一つ絞った方が良い、シ点殿」
「セミ吉とやらはセミジャック・ミーントのように名を残したいと思わないのかい?」
「はっきりいって俺頭の良い蝉じゃない。いって名を残さず土の中眠るのも御免だ。今それ言えない、いいか?」
「蝉訛りは解釈が難しいから。どう反応すればいいか悩むい。うーん……こうだない!
 良かったら『日記帳』を付けて良いんじゃないかない? 『日記』ならひょっとすれば可能性ありだしい!」
 日記……その羽あったか!
「少し表情が軽くなったじゃないかない? 蛹が直前だから気のせいかない?」
「あ、ありがとう! お陰迷う事なく成虫に成れそう!」
「どう致しましてい! そい、そろそろ行かないとない! い、生きていたらまた会おうい。そのセミ吉とやらい!」
「再会近い! 神々の祝福あらん事を!」
 いっちゃった……彼出会えて良かった。お陰で……そろそろ始めようか。大人階段を上る今だよ。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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