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一兆年の夜 第四十六話 ニュートンが支配する世界で(四)

「ようやく思い付きました。尻切れ蜻蛉にならないように落ち語りを始めます。
 エーテル論を専攻する女性研究者ミス・マハルーンが思い付いたのは『エーテルホーラウ返し』……ではなく『ホーラウス的転回』でした。
 そもそも『ホーラウス的転回』とは今まで常識とされた星は平面という事実から星は円いという常識に変わる認識。この常識に移るのは簡単ではある。けれども一般の生命がこれを言い出すには礼節なり自らを律する心なりが遮り、中々難しい。何しろ今まで信じられてきた教えを投げ捨てるものです。わしはとてもとても出来るものではありません! けれども、『歪み公式』を世に送り出したホーラウス・フォーディーはこれをやってのけた!
 さてと、前置きはこのくらいにしてそろそろ『エーテルホーラウ返し』第四部を始めたいと思います。
 マハルーン氏は『エーテルホーラウ返し』ではなく『ホーラウス的転回』を思い付きました。それはいいとしても四本足が空に向かって付きだした体勢から元の地面に根を張る体勢に戻らねばなりません。けれども四本足の種族はその体勢から元の体勢に戻る事は自力では無理なのです。試してみて下さい、四本足の方々よ。首を捻っても足をばたつかせても中々どうしてか。横に倒れてくれませんぞ。
 そんな体勢で困り果てたマハルーン氏は側にいるエリフュウリに頼みます。
『助けてよ、格好良イーいエリフュウリさん!』
『煽てる気かうえ! どうして俺が三十過ぎのババアを助けなきゃならんのだうえ?』
『エリフュウリさん? 後でどうなアーアるか覚えて下さイーね』
『とはいうえ、神々への礼節でえい! それ……元に戻ったろうえ?』
 エリフュウリのお陰で元の体勢に戻ったマハルーン氏は--ありがとうね、エリフュウリ--と感謝を込めて頭を下げるとすかさず隕石を持ち上げようと三度目の試みを開始!
『またひっくり返っては困るでえい。俺も手伝ってやるうえ!』
『ありがとう、エリフュウリ。これで仕返しはなしーイになったわ』
『ついてるねえい! そんじゃあ合図を送るからそれに併せて掛け声を上げようぜえい!』
 せえーエの--二名はそれぞれの両前足で隕石を持ち上げた!
 するとどうでしょうか! 二名の力が大きすぎて隕石は成人体型四まで跳ね上がりましてな。二名は隕石を飛ばした反動で後ろに転んでじたばたするような体勢になったのです。そう、さっきマハルーン氏が困った足を空の方に向ける体勢ですよ。
 肝心の隕石はどうなったか? それは二階の廊下が見える一番真ん中の窓に硝子を割って入ってしまったよ!
『あなたのせいーイじゃないの? あたしのせいでエーえは済まなイーわ!』
『そんな事よりもどうにかならないのかうえ! 二名とも仰向けでは第三者に助けて貰う以外にないってえい! えっと銀河連合が来たら俺達は食われるけどうえ』
 助けに来る者が現われるかはわからない。何しろ彼等は板垣親子の喧嘩を観戦しに建物の五階に集まってる訳だ。さあ話は第五部に移ります。
 一旦ここで休憩を取ります」
 そう言えばこの落ち語りの冒頭は天文学者親子が空最強の生物を巡って喧嘩する者だったね。それがどうして隕石降ったり降ったり、『ホーラウス的転回』なんて物を思い付いたり付いたり、その隕石が二階に飛ばされたりするんだろうだろう?
「大分複線を回収しとるのう、イカラン」
「あのう、師匠。正直複線を回収するどころではない気がします。どうやって落ちを付ければいいか迷ってますが……」
「そんな物は気合いで十分じゃ」
 いやいや、師匠! 気合いで片付けられる状況じゃないですよですよ、この調子では!
「もう口を閉じろ、タコタルゾ! 今わしはあれこれ四回苦しんだ! 更に八回もの苦しみを味わっているんだぞ、わしは!」
「正直諦めようよ、イカラン。適当に終わらせれば--」
適当? それは逃げる事と等しい! ならばますます落ちを念入りにしなくちゃいけなくなったじゃないか! 覚悟しろ、師匠!」
「ほっほ、存分に苦しみ抜け! 落ち語り師は苦しみ抜いたものがどうであれ世に送り出す以上は足を抜く事は礼を失するからの。ここで全力を出しても叱りはせん。後で叱りはするけどの」
 それじゃあ余計に力を入れちゃう入れちゃう! 早くしてくれくれ、イカラン!
「急かすな、タコタルゾ! いつも通り次の部で思い付くから待ってろ!」
 だから誰に向かって伝えたんだよだよ、全く!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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