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一兆年の夜 第五話 恐怖心と怒り(九)

(やはりあいつらにはこのモノと出会うる機が早すぎようか!
 恐怖で海に落ちたらどうしようものか! いや、そんなことを防ごうが--)
「何をやろうか! 腰を砕けるまま空難事故を起こそうか! 日頃からの注意を思い出でよ! 日頃から自らに言い聞こうことを思い出せ! でないとあれはお前達を、って--」
 ストルムは雛鳥たちを必死で鼓舞させたが、それが終わる前に烏型は孫諾に襲いかかった!
「ひいいいい! 僕ちゃんを食らう気!」
「させるかあああ! 雛鳥たちより俺を食らえ! 今の俺は怒りで周りの全てが真っ暗であろう!」
 ストルムは烏型の襟首を噛んだ! 烏型はストルムを振り落とそうと遠心力をかけた!
(これは険しかろう! 遠心力で意識を暗闇にさせる気だろう!)
「た、隊長! 大陸藤原燕族の藤原カエ彦が今すぐあなた様を助け候!」
 カエ彦とシュラッテーはストルムを助けに烏型へ挟むように突っ込む!
「く、カエ彦シュラッテーが動いてるっていうのにわしが動かなくてどうなるうう!」
「じ、自分はこのまま遅刻したら一生鳥になれよう! なれようううああ!」
 フッケンとデュー雄もストルムを助けるために烏型に別々の角度から突っ込む!
 一方で先に突っ込んだ二羽は烏型が果物包丁の鋭利な刃先くらいぎりぎりでかわされ、かわされた空間で衝突した!
「がああ! なんで避けられるうう!」
 二羽は墜落寸前で急上昇し、別々の角度から突っ込もうと試みる!
 一方フッケンとデュー雄は前の二羽と同様の状態になるもの衝撃が甘かったため、すぐに体勢を整えた!
(まずい! も、も、う、だ、め、だなあ……)
「僕ちゃん達まで何もしないなら一生悔いを残すよ! こんなの神様にも申し訳立つるのよ! 僕ちゃん達がこんなんじゃ雌達にもたない! 色出し雄の格じゃあらない! そんなのよからない! でも喋ってても動こうとしないなら色出し雄と言おうか! 言おうか!」
 孫諾はお喋りしてでも恐怖心を振り払おうとした。
「そうだ! 自分が何もしないなどどうかしよう! こんなことであいつらが食われようなら一生悔いを残さん! 自分は鳥になろう! 雛鳥から卒業しなかろうが神様にも! 先祖代々にも!村の人々にも! 生命全てにも! そして隊長や仲間達や自分自身にもおお!」
 スラ貴はそう口に言い聞かせて恐怖心を振り払おうとした!
 そして二羽はストルムを助けるため、全速力で烏型に突っ込んだ!
(あ、れ、あ、そうか。よ、やく……だな)
 ストルムの意識は暗闇へと落ちた。

 ストルムが目を覚ました時には日が昇り始めようとしていた。
「隊長、良かった! やっと目を覚まされるようですね!」
「スラ貴か! まさかお前が担ごうとはな。少しは口達者なところが近こうか?」
「いや口達者であろう、万年二番手は! 何せわしら六名がかりで隊長を助けようなので! フン!」
「フッケン! 素直に言わないでくれようか! せっかく自分が内実ともに両立かなえると認められように」
 スラ貴は落ち込んだ。だが、ストルムの表情は笑顔で溢れていた。
「嬉しそうでなによりでしょう、隊長! 自分はずっと遅刻ありきで体調の笑顔を見られる機会が少なかろう悔しい気持ちであられた。
 でも今度は隊長の期待に応えることが出来ように、この木戸デュー雄は人生最高に幸せで一杯でありましょう!」
「デュー雄ちゃんが珍しく嬉しそうであるのもご都合なことでないね。僕ちゃんも隊長のために頑張れたことがとてつも良かろうね! これなら雌たちに自慢できよう! 僕ちゃんさらにモテモテで恋の駆け引きが加速して! 今のうちに本命を決めかねなきゃと人妻も得られないなら子供を作れないなど困ろうよ! ああ、どう--」
「話が長い! そんなことはひと仕事を終える後でよかるうこと! とにかく自分たちはラテス島に無事、手紙を届けるに専念すればよい! そのあと身を崩すのが一番であるだろ?」
 シュラッテーはカエ彦の言葉に頷いた。こうした会話で一番うれしいストルムは反面、疑問に思うことがあった。
「ところであのモノはどうなろう?」
 ストルムの質問にスラ貴は答えた。
「ああ、あれは自分たち六羽の連携で隊長救出後、体勢を崩れて海に墜落しるる。たぶん死ぬほどの傷を負わないので大丈夫かと思われるかと。それに痛みを分かりさえすれば二度と自分たちに良からぬことはしないでしょう!」
 その言葉を聞いたストルムは案じえないモノを感じた! その予感はすぐ当たった!
「身を崩している場合かああ! あれは生かそうとはなら--」
 ストルムはかつて左目を失う感覚に近いモノを感じた! それはストルムを掴んでいたスラ貴にも伝わった!
「た、た、隊長! な、な、な、何であれはまだこのような事を!」
「当たり前だ! あれは俺を恩人を食らった生命でなしであろうな!」
 殻姿はストルム達の眼前に飛翔していた! ストルムの左足を銜えながら。
 ストルムは左足がなくなった個所から赤いものを出すのを間近で見た。激痛を感じながらかつての恩師であるヒュット・ヒッスイが死ぬ寸前に何を考えていたのかを推測した。
(かつて、テレス村の生き残りである牛族の青年は怒りに身を焼こう。生命でなしへの得体の知れよう感情で身を滅ぼそうとも。
 かつて、テレス燕族の少年はメデス村で暮るるも、古里が食われるという報を聞き、恐怖心を抱こう。
 だが、老年になった彼はそのモノの仲間と出会い、やがて恐怖心は怒りというものに変質。彼は牛族の青年の怒りっを引き継ごうとしてそれと対峙し、自らの矜持を俺に見せよう! 俺に自らの暦に伝承という形で引き継ぐ!
 俺にヒュット・ヒッスイというる人生の暦を! 恐怖心と怒りという形で!)
 ストルムは自らの人生に終止符を打つべく、力づくでスラ貴を離し、自ら持っている鞄をフッケンめがけて投げた!
「た、隊長! な、何故スラ貴から離れようとしうるのか! 無茶はやめてくだ--」
「うるさいぞ、カエ彦! 俺の鞄はフッケンに預けよう! それを持って昨日から続くラテス村への手紙配達を遂行しうるのだ! 俺はこのモノからお前らを引き離そう! って--」
 烏型はデュー雄に向かって突っ込む!
「自分に向ってこよ、うわあああ!」
「させるかあああ!」
 ストルムはデュー雄を突き飛ばした! 代わりにストルムは右翼を食われた!
「よくも隊長をおおおおおお! 僕ちゃんが隊長をおお!」
「来るなああ孫諾ううう! 俺がこのモノに食べられるのだああ! お前らはあああ」
 ストルムは檄を飛ばした! 同時に烏型が右翼を食らって間もない瞬間を逃さなかった--そこを狙うように嘴を力一杯使って烏型の左翼の付け根を掴んだ!
「そのまま行けええ! もぐじゅごじゅじいじでゅゆだぼれぼおゆいぐうう!」
 噛んでいる以上、うまく話せない! だが、彼らはその言葉が何なのかを理解した!
 六羽はその場で口論した! だが、すぐに隊長のことを考えた。
 そしてスラ貴から先に離れた! 彼は礼をした勢いで急上昇しながらラテス島へ向かって飛ぶ!
 次にフッケンが目を瞑りながらラテス島のほうに振り返り、飛ぶ!
 そしてシュラッテーが無言でストルムの周りを三回旋回し、ラテス島の方角に飛ぶ!
「ストルム・ササーキー隊長! あなた様のことは一生僕ちゃんの心に刻もう! 貴方様に今まで教わるることを復唱しるるども貴方様を忘れないつもりでいよう! たとえ年をとって忘れがちになろうとも、死ぬ瞬間であろうとももあなた様のことを忘れま--」
 孫諾は彼なりにストルムへの感謝の気持ちを口に出しながらラテス島の方角へ飛んだ!
 デュー雄は大粒の涙を流して、頭を十回以上下げていき、垂れ流しながらラテス島へ向かい飛翔!
 残ったカエ彦はラテス島の方角に少し飛んではストルムのほうへ振り返り、また飛んではまた振り返りを三回続けて見えなくなるのを確認した後、急加速して飛んでいく!
 ストルムは雛鳥たちが見えなくなるのを確認すると、噛む力を抜いた--それと同時に烏型は一気に離れて、急旋回するようにストルムを食らおうとしていた!
(父さん、母さん、プラトー村の皆、ヒュット様、キッシャ、それに馬族の少年。どうやら俺は最後の最後に六羽の鳥が羽ばたけるのを見れようぜ! あいつらは自らの暦を作ろうとするんだ!
 イリュージョンセンチュリー、いやイマジナリ-センチュリーでいい! そんな暦の中であいつらの内の誰かが次の暦を刻もう気がしうる! まあそれは恐怖心と怒りに遊んでいた俺とは違おう暦かろ--)


 ICイマジナリーセンチュリー十四年二月二十九日午前四時五十一分二十五秒。

 第五話 恐怖心と怒り 完

 第六話 特別配達員 ? に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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