FC2ブログ

一兆年の夜 第四十六話 ニュートンが支配する世界で

 今日も仁徳島は騒がしい騒がしい。おっとすまんすまん、僕の名前から始めないと始めないと。僕はマキジャクノタコタルゾ。マキジャクノが名字でありますんでありますんで、呼ぶ場合はタコタルゾと呼んでくだせえ呼んでくだせえ。
「タコタルゾや。誰とお喋りしてるんだ?」
「落ち語りの練習ですです」
「複数足会話なんだからいい加減訛りを付けるのはやめとけ」
「ごめんさいイカラン君」
 ついでに僕は仁徳鮹族で現在齢二十八にして五の月と七日目になるピチピチの青年で御座います御座います。ついでに隣の言葉がきついおっさんは齢から--
「だから誰とお喋りしてるんだよ、タコタルゾ!」
「さっきも言ったじゃないか、イカラン君。落ち語りの練習だって」
「いいか、タコタルゾ! 齢二十八にして三の月と九日目だぞ、わしは!」
じ仁徳族士じゃないか、イカラン君よ」
「タコタルゾ。『同』という漢字が二回もかけるのは落ち語りではやるなよ。ついでにわしの名前はダダナガラノイカラン。仁徳烏賊族で通るタコタルゾの同門だ」
 さて今回僕らがやるのはやるのは、かの真正神武で話題沸騰中のセミジャック・ミーントが提唱する『万有引力』だ! そもそも短命で有名な蝉族の雄がどうして成虫になって僅かな期間で理論を確立出来たのか出来たのか?
「だから誰かが居る前で声を出すな、タコタルゾ!」
「相変らずきついな、イカラン君は」
 まあまあそんなこんなで僕らは応神海仁徳島南付近にある深部四へと帰ってゆくゆく。その中で師匠の居る三番目に大きな洞窟が僕ら二名の寝食を共にする場所へ向かうのだ向かうのだ。

 えっと第二区画で僕ら二名は『万有引力』について腰砕けをしていたしていた。
「引力なんて可愛い雌っ子を誘う為だけに使えたらいいのに!」
「それは出来ない相談だよ、イカラン君。もてない歴二十八の年の雄では--」
「五月蠅い、タコタルゾ! 君だってわしと同類だろ?」
「いや、鮹と烏賊では形が--」
「そっちじゃない! 『もてないという点では同類だろ』、と伝えている!」
「そんな二本の触腕で大袈裟に表現しなくていいだろ」
「あーあ、セミジャックが生きていたら引力講座にでも参加出来るのに」
「無理でしょう、イカラン君。そもそも海と陸では隔たりが大きいですし」
「それを突っ込むな、タコタルゾ。とにかくこれだけはわかる。『万有引力』は水の惑星とお月様が引っ張り合う力でくっつき合ってるのが証明されたんだよ。あんなに短い寿命で良く思いついたな」
「噂では林檎が木から落ちるのを参考にしたとか。本当なのか?」
「林檎が落ちるのは水の惑星に引力が働いている証拠。仮に働いていない場合だったら今頃は我等海洋種族が国を築いていただろう」
「そこは対抗意識を燃やさないでよ、イカラン君」
「仕方がないだろ! 引力の発見はどうして海洋種族が表舞台に出られないかを証明させる事になったんだ!
 わしは勝ち気な性格でよ。何事も誰かに勝つのを優先するんだ。だからこそ未だに海洋種族が陸上種族に生活水準の差で負けているのに我慢出来ない!」
「まあまあ、後ろ向きな話はこれくらいにしましょう。とにかくカバレイ・ジョンソン先生が確立した地動説の土台としてセミジャック・ミーントの『万有引力』が鏡付けとなった訳。それだけでも素晴らしい理論じゃないかな?」
「出来ればわしに雌っ子の一名でも引き寄せる力を授けて欲しかった」
 無理だって。ミーント先生は理論を構成する学者であって金銀を創造する者じゃないんだから。ましてやエーテルを操れる訳じゃないじゃない。どうしたって生命には無理な現象はたくさん……とか言ってる間に師匠がやってきた。
「また独り言か、タコタルゾや」
「落ち語りの練習をしてました、カイ彦先生!」
 紹介しますよ。齢四十九という高齢の方こそ僕ら二名の師匠である扶川カイ彦先生。ラテス貝族一の落ち語り師です。
「落ち語りをする貝というのはどうもしっくり来ない」
「それはわしの台詞です、師匠」
「これも引力の作用じゃ。イカランは『それはわしの台詞です』とまんまと伝えてしまったぞ」
「こじつけですよ、師匠。そんな事よりもさっさと--」
「それよりもタコタルゾは何か伝えたい事はあるかの? 『<万有引力>は全て真実でしょうか』とは伝えなくとも何かを--」
 さっきそれを伝えようとしたした! それ以外に何を伝えたいかわからないわからない!
「おやあ? 独り言を呟くかの? 確かに『万有引力』については真実かどうかはわからない。某達は落ち語りを生きる者じゃ。科学の為に生きる生命ではないからの。
 それにセミジャック・ミーントとかいう若造は成虫になって十の年より後に亡くなったから後の者が偉い苦労しておるのう」
「そりゃあミーント先生は蝉族の者です。蝉族は長生きでも三十を少し越える所までしか生きられません。そりゃあ僕達二名も短命な種族です。四十以上生きられるかわかったものじゃあありません。ですが、ミーント先生と異なり、子作りはもう完了してますので後は--」
「後ろ向きな話は止めるんだ、タコタルゾ! わしらは辛い話も笑い話にする碌でもない者達だぞ! 後ろ向きなんて心が冷えて生命が笑ってくれめえ!」
「無理に傾くのはよさんか、イカラン。馴れない事はするもんじゃない。ここは一つ某が見本を披露しようか!」
「ようやくやる気になったな、師匠!」
「何伝えるんだか、イカラン。その為に無理な傾きをしたんだろ?」
「足を止めろ、タコタルゾ! そろそろ師匠が落ち語りを披露するぞ!」
 始まる……扶川カイ彦先生自慢の--
「それじゃあ『エーテルホーラウ返し』を披露しよう」
 え? 何それ? 先生の得意な落ち語りは『はじめての戦い』じゃないのじゃないの? ってか何? 『エーテルホーラウ返し』って?

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR