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一兆年の夜 第五話 恐怖心と怒り(八)

 午後十一時一分五秒。
 空は雲で覆い始めた。ササーキー隊は東ユークリッド海へ入ろうとしていた。
「今日の天気予報は確か快晴じゃないのでしょうか? 御子の予報が外れるのは何だか心配にな--」
「弱気なことを言おうか、スラ貴! 御子の予報は正確であろう! だが空の神様の気分を確かにするることでは天気予報は中々うまいこと運ばないな」
「よく分からなかろうが、カエ彦さんの仰る通りかもしるるな!」
 そうやって雲行きの怪しさに対する不安を仲間同士の会話で和らいでいく雛鳥たちであった。
 ちなみに天気予報といわれるものは齢十代後半から二十代前半の雌が朝四の時に約二の時をかけて万物の神々の前でお辞儀をし、心の中で神々の意志を汲み取ることで今日の天気を予報するもの。古くから伝わる呪術的な儀式だ。ついでに御子とは古くから天気予報をするものの役職である。
「御子の予報が外れるなら皆の者よ! 万が一に備えること羽に受ける風の量を減らそう! でないと--」
 ストルムが最後まで話す間もなく、雲は水分を含んだものをゆっくりと落としていく。やがてその量は多くなっていき、そして--雨となりササーキー隊に襲いかかった!
「うわああああ! 雨だ雨だ! 雲の神様がお怒りであるんだああ!」
「デュー雄ちゃん! これは雲どころか雨の……いや風の神様までお怒り何じゃなかるのおお! あんんでがえしゃべりづらくう、ならであが--」
「そんなことしてっと手紙入り鞄が飛んで言ってしまわれるよ! お喋れべはやめ。ってうわああ自分お鞄があ!」 ストルムは風をうまく裁き、すかさずスラ貴が離した鞄を嘴で掴んだ!
「全く何やってようだああ! 夜の点呼の時にあれだけ紛失に関して注意を促せれっれたっどろうあが! 次かれああ気いつけんろ、っておい!」
 今度はカエ彦の鞄が飛んでしまった! だが、飛んだ先にはシュラッテ-がいた!
「さすがシュラッテーちゃん! すかさずカエ彦ちゃんの鞄を掴めようってすんごいわああう。ってかぜがぎづげだっってできぎゃうな--」
「ありがどう、シュラッテー! しかし俺はなんで未熟だんだ! ごんだごとちゅえは一生雛鳥じゃ--」
「いちいち悔いていたら前に進めひょう、カエ彦さん! おおう! 気合いあろうのみ! それだろうがわしの人生じゃ!」
 何を言ってるのかさっぱり分からないが、フッケンは精一杯の慰めをしているようだ。
「隊長! ごどままではとばとばざじぇでえ--」
「どうじだ、スラ貴! 口まで弱気にだろぶが! 我々ササーキー隊は神様に怒りを受げずおうがあ、黙りとう受け入れるなぞ神様に礼を欠く行為! 見事にこの雨を乗り切ることが神様べぞん感謝を示せずことび繋がろう! だから我ら全員、くおの飴を無事に乗り切れい! いいな?」
 暴風雨の中、ストルムは声を荒げてでも六羽の雛鳥たちに渇を入れた! 
 そして雨が降り始めてから三の時が過ぎ、ようやく止んだ。
「ばあ、ばあ……やった。自分はこれで口だけの雄じゃなくなるるのだ!」
「雨で鞄だけじゃなくて手紙もたっくさん濡れよう! 届けたって苦しい情が返るけど、これも配達員の運命っと。僕ちゃんは日頃の神様への礼を欠いた行為をしよう罪はいつもうけるよう。今度こそ大変な目に遭うねえ。どんな罪なのかはしっかり考えないとだ--」
「こまけえことはその時にしよう、孫諾! わしは苦しい情を返されることに堪えようも鍛錬の一つだと想われるな! フン!」
「筋肉を誇示する構えはやめるんだ! 鞄を落としたらどうなろう!」
「遅刻しないですもうかな? 多分三の時が過ぎたような気がする。いくら島についても延着が決まるだろう。ああ、良くない雄だな、自分は」
「まあとにかくこれで自分達は雛鳥から少し成長したって所でありましょう、隊長! って隊長?」
 スラ貴の言葉に反応を示さなかったのには理由があった。それはスラ貴の真下に得体の知れない何かが迫っていた! ストルムはそれが自分の故郷を二度滅ぼし、大切な者達を奪ったモノの仲間であることを!
「忘れるはずだったのにいいいいい!」
 ストルムの中にある赤いモノは呼び起こされた! 彼は迫り来るモノからスラ貴を守るために嘴で攻撃した!
「心が! グウ、こんな事をやっちゃ駄目なのは知っていよう! だが、俺の怒りは! 雛鳥たちを守るためにあろうのだああああ!」
 ストルムの攻撃を受けたモノの外見は烏型。烏型は攻撃を受けたことによってすら気へと向かう方向の反対側に仰け反った。
「こ、こ、これがああだ、駄目だ! だ、だ、だでめだ。じ、じぶんは。は、は」
 スラ貴はもしストルムに守ってもらえなかったらと思い、、体中が凍り付くような感覚に襲われた。
 スラ貴だけでなく、他の者達は得体の知れないモノを初めて見ることで自分の中にある恐怖心に身体の機能が麻痺する状態に陥った。雛鳥たちにとっては人生初めての正念場を迎えることとなる。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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