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一兆年の夜 第四十五話 フェルマーは笑う

 ICイマジナリーセンチュリー百五十年六月四日午後十時五十分四十八秒。

 場所は真正神武首都六影第七北地区星季通り。第二代最高官天同美世の治世
から計画が進められ、着工開始したのは第六代最高官天同洋蒼から。そして完成し
たのが、彼の第三子になる第八代最高官天同蒼馬が世襲した年。以来五の年もの
間、下半期毎の整備を除いて多くの生命がこの道を通ってゆく。
 だが、月夜が活発な時間帯では軍者と夜勤の者以外の者は滅多に通らず、幽霊
通りと化す。そんな道を風の力で飛んでゆく一名の青年が居た! 齢二十五にして
九の月と九日目になるクレイトス蝙蝠族のコウモ・リックマンはある者を探す。
(いるはず! あれわ倒せる生命ご必ずここね! ジャンバほもうえなえせ、こたえっ
ちクマ吾た同等な生命わ我ほ求めん! だここね--)
「オイ、そこの小僧! 警備の妨げダカラさっさト家ニ帰れ!」
 注意するのは齢三十二にして十八日目になる去年国籍帰化したばかりのタゴラス
カンガルー族の中年。服で隠れていてもわかるくらい全身傷だらけの中年。ただの
傷ではなく、鍛錬及び先頭でも受けており、なおかつ生き延びる事が出来る程の雰
囲気を漂わせる!
「帰りますご、その前ね一つ聞きたいことごあります」
「言語道断……と言いたいガ少しダケ聞こうか」
「軍者さんご残している傷ほ一体だんの経緯ぢ出来たなぢしょうこ?」
「んん? えっと訳せば『俺に出来た全身の傷はどれくらいの期間をかけて出来た』っ
てことデいいんだな?」
 ほえ--質問に質問で返されても応じるコウモ。
「そうだな。とにかく古式神武ニ住んでいた頃ダッタかな? えっと軍者ニなったノハ
十九ダカラそれから十ノ年マデずっと戦い続けたな。平和な癖して銀河連合ノ脅威
ハ未だニ残るんだカラ困るぞ。要は強いのカラ齢のマデ油ヲ断つ間ニ受けたノガ原
因だ。だから忘れないヨウニ医者ノ苦情ヲ受けない程度ハ残してる」
「あれ? じゃあ鍛錬ぢほ残してないた?」
「残すか! 鍛錬中の怪我ハ日常茶飯事だ! 出来る限り残さぬヨウニ努めてハい
る! あ!
 そういや、かみさんカラ受けたひっかき傷ハ勲章トシテ残しているぞ! 見るか?」
 ええ--断りの返事をするコウモ。
「カンガルー族故ニ武術デノ喧嘩ハ絶えん。いつだってカミさんニ負ける……涙には
勝てん」
「ほほ、一名暮らしねほわからない悩みだね。それねしてまどうして軍者わ辞めて真
正神武な軍者たしち暮らすんだ?」
 それか、そうだな--中年軍者は理由を話し始める。
 彼の名前はマンダリン・レヴィルビー。かつての古式神武では徒手空拳で一、二を
争う程の実力者。特に彼のカンガルー拳法はカンガルー族に於いては異なる系統
へと発展--突きによる戦法を特化させた攻撃型カンガルー拳法に発展させ、銀河
連合に構えを与える暇もなく一撃で倒す程である。
 そんな彼も平気へと傾く時勢に堪えられずにとうとう二十九にして古式神武の軍者
を引退。妻子を連れて真正神武で国籍取得に励み、去年国籍獲得と同時に正式に
軍者として採用された。
「--だからッテ古式神武ノ功績ガ反映されることなくつまらない仕事ヲコツコツこな
す毎日だ。
 なので早く家ニ帰るんだ、蝙蝠小僧!」
「帰りますご、その前ね頼みたいことごある!」
「帰れ! 俺だって暇じゃねえんだよ!」
「もし有休わ使うのろ大陸藤原ねある中臣地方なクレイトス峡谷ね行ってくれない?
 そこねほマンダリンさんぢま勝てそうねのえ銀河連合ご潜んでいるころ!」
 帰れ--誇りを傷つけられた部分も含めて怒号を浴びせるマンダリン!

 六月五日午前一時十二分五十三秒。
 場所は第六地区。その中で一番高い宿泊施設が聳える。七階建てになり、一階を
除いて全ての階の各宿泊部屋合計は二十四。一階を含めると総宿泊部屋数は
百五十六。全ての階は円構造になっており、一階出入口の合計は八つに上る。
 そんな宿泊施設の五階十七部屋にコウモは三泊四日で留まる--現在二日目に
入った所。
 彼は堅い枕の上に十五枚もの石版を乗せながら思索に耽る。
(マンダリンさんご応じたこほ知らない。けれども、まだまだ集めないたいけない。百
獣型な強さほ幹わ蹴り続ける脚力ま含めち、一見攻略出来そうぢ沈められる強そね
ある!
 我ほもお数学者どかろ戦いほ出来ない。どご、集める事のろ可能ど。それでも誰ご
通用するこほ実際ね戦わせないたわからない。かな公式ね通用する技術た同じく)
 一番中央に位置する石版に描かれる公式は『自然数の最終定理』だ。彼は十の年
もかけて種乗に入る数字を何個も試した。だが途方に暮れた為、その方法を諦め
た。現在は三平方の定理に表したりして公式に立ち向かう。
(それねしたって難しすぎる定理ど。誰ごかんの腰砕けたま思える物わ考えたんだ
よ! カーモネーな球体予想たええ、奇素数同士わ足し併せて六以降な全てな偶数
ね当てはまるこという予想ま難しすぎる! それでも解かねぼならないなご数学者な
使命。
 えっと、他な方法わ探るなまいいこま。例いぼ奇素数同士な何たらのんこぢま『自
然数の最終定理』わ打ち崩す切っ掛けねのれぼ--)
 難問は一日では解決しない--彼は一日二食摂りながら難問に挑戦するものの、
昼一の時を迎える事になる。
 それ以降はおよそ六の時程睡眠を摂り、百獣型を倒せる生命探しへと出る……。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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