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一兆年の夜 第四十四話 コペルニクス・ガリレオ・ケプラー(六)

 ICイマジナリーセンチュリー百四十五年十二月五日午後十一時零分三秒。

 場所は真正神武仁徳島西仁徳市第三地区六番地。二番目に大きな施設。三階に
ある隕石観察室。
 およそ四の年かけて超小型隕石の研究を行った者が椅子に座り、お茶を口に入れ
る。
(今日も外れか。歪みに関する研究はこの隕石のお陰で進だよな)
 齢三十七にして五の月と十七日目になる仁徳鴎族の老年はまたお茶を口に持って
ゆく。
(隕石の研究にっよ私は天動説では宇宙を示せな事が解った。何て罪深い雄だ。長
年培ってきた天動説を今年になって捨てなんて!
 そんな事はもいい。仮に捨てももっと外側ではきっと天動説に決っま! それっな地
動説との併用は可能だ。どちらが正しいとかそれでない。どちらも正しい事も証明し
ないと神々や先祖に申しわけない。
 それでどうして私が天動説を捨てる事になたか? それは--)
 彼はお茶の入ったお椀の真ん前にある百枚で収まった束の紙に翼をとった。題名
は『歪みにおける真の公式と楕円軌道を巡る真なる公転』。
 内容はより簡潔に説明するとホーラウスが示した歪み公式には正しくない部分が
あった。それを修正したのが地動説を主張するカバレイ・ジョンソン。修正する事で
二~三年もの誤差から二~五年もの誤差に変更。更には三つの国家でより緻密な
流れ星と銀河連合認知発生率を調査。その結果、誤差は年間平均一まで縮める事
が出来た。そう、歪みと流れ星と銀河連合は繋がっていた。
 なお、協力者はカバレイ・ジョンソンだけでなく、暦学者キンジャア・キッシェール、天
候学者鈴村きね吉、測量研究家田中ハム助、地質学者蘇我フク次。
 次に星の公転はどのように軌道するかを簡潔に説明する。それによると星は楕円
軌道に動く。完全な円では星の逆行運動を説明出来ない。それだけでなく、人族の
男の子が林檎を遠投した時、林檎が僅かに形を変えて移動するという説明が付かな
いからである。故に星は楕円に移動する。ただし、これはお日様にも適応される。そ
れは銀河内を回る時において。ではお日様は何を中心に回るのか? 中心点は更
に大きなお日様でもブラックホールでもないお日様。その星は北を極めし星でもある
のか? それとも周りを軌道する星座達なのか? いずれにせよ太陽系もまた楕円
軌道を行う。なお太陽系内にある惑星がお日様に近い惑星程速く公転するように太
陽系もまた中心太陽系に近い程速い速度で公転する。ただし、何故お日様の周りを
全生命が暮らす水の惑星を含めて軌道するのか? どんな力が働いて公転するの
かについては現時点では判明しない。
 協力者はカバレイ・ジョンソン、暦学者キンジャア・キッシェール、測量学者田中ハ
ム助、地質学者蘇我フク次、ブラックホール研究家トーン・ボー。
 最後は歪みの大きさと今後訪れるであろう未曾有の危機について簡潔な説明。こ
の部分だけは著者カモツ・カーモネーが超小型隕石を研究して得た事を纏めた物。
 それによると、歪みは一等星くらいの大きさなら矮小規模の銀河連合、新月規模な
ら小隊規模の銀河連合、三日月規模なら集落規模の銀河連合、半月規模なら大規
模な銀河連合、満月規模ならかつての旧国家神武を食らった規模の銀河連合、お日
様規模なら国中を覆う規模が迫る。
 そして、歪みは距離にもよるが大きさで説明するなら矮小、小隊、集落は平均二~
五年の誤差。半月なら五~七年の誤差。満月になると七~十三年の誤差。お日様
なら最小十三の年。最大四十二の年にもなる。なおこの誤差には例外がある事も後
付けで記す。
(超小型隕石は本当は小型なんかでない。あれは所々何かに喰わった後がある!
歪みだ! 歪みで喰わた箇所は何度も調った以上全部で六百六十六カ所。数字が
吉を呼ばなさすっぎ……待てよ!
 六百六十六? もしやまだでかいのが来っか? そんなはずは--)
 突然外が騒がしくなり始めた。カモツは最初、それはただの腰の砕けた騒ぎかと思
われた。けれども騒ぎは徐々に大きな唸りとなり、突然彼の背後にある反対側の扉
が叩き壊す勢いで開かれる!
 大変っし、大変っし--齢二十一にして九日目になるカモツの助手である応神鶏
族の青年コケッチ・コケラッタが顔面蒼白で現われた!
「その顔は……という事は歪みが発生しただな!」
「し、しかもスンゲエ規模っす!」
 行ってみる--白衣を纏いながらカモツはコケッチと共に屋上へと向かった!

 午後十一時十二分五十八秒。
 これは--カモツの全身に衝撃が走るような感覚に襲われた!
 現われたのはお日様よりも巨大な歪み--しかも一向に収まる気配がしない程の
長時間続く恐るべき物だった!
 カモツは『たまたま星の向きがそうなった』のだと一瞬思ったが、数分で却下。次に
『天気がやや曇っているからそうなった』と思考したが、それも数分で却下。最後には
このような結論になった。
「なあコケッチ君」
「あ、あっの? 何でっしょ?」
「この規模の場合はおよそ四十二の年から最大六百六十六の年まで続くっだよ。ま
あそこまで覚えていられる生命が果たしていっのかどかだな。こんな光景を見なくて
良かったよ。ジョンソン先生はもう目がお見えにならな状態だかな。
 でも私は見てしまった。そして、最も出したない結論へと導いてしまった。
 それは--」
「あ、あの? そんな事はお口にするべきじゃあないと思いまっし。い、今はもう遅い
ですので家に帰りまっさ、ね?」
 そのよだ--出したくない結論はこの後二度と彼の口から出る事はなかった。
 歪みは一の週経っても二の週過ぎて続く……収まる気配が無く、生命にとっては当
たり前の光景と化した。
 そんな歪みを見て三の週の後、カモツ・カーモネーは三十七の人生に幕を閉じた。
死因はホーラウスとは場所が異なるが、肺がん。彼は癌を隠し通しながら研究を続
けて突然破裂したと思われる。
 彼の後を追うようにカバレイ・ジョンソンは両眼が見えない状態で家族に看取られ
ながら息を引き取った。享年四十。死因はホーラウス、カモツと同じく癌。しかも彼は
胃がんを摘出しながらも同じ場所に再発して看病空しく想念の海に旅立つ。
 ホーラウスもカバレイもカモツも死に際にある結論に辿り着く……!





『百億光年の叫びは回る銀河の力に乗って大群を我々の住む惑星へと向ける! し
かも正確な位置を定めながら今度は近隣の太陽系がもたらす力にも乗る。乗った力
で更に近隣、更に近隣と来て我々が暮らす太陽系に入る! 今度は外惑星の力に
乗って大群を一挙に水の惑星まで運び、最後はほぼ全ての領域を呑み込んで我々
を食らい尽くす! この術から逃れる方法は一つ。それはそれまでに大群を倒せる
力を我々が持つしかない。そんな時間が我々にあるのか?』





 ICイマジナリーセンチュリー百四十六年三月十日午後十一時三十分五十五秒。

 第四十四話 コペルニクス・ガリレオ・ケプラー 完

 第四十五話 フェルマーは笑う に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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