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一兆年の夜 第四十四話 コペルニクス・ガリレオ・ケプラー(四)

 ICイマジナリーセンチュリー百四十三年十二月三日午前十一時十七分十七秒。

 場所は真正神武仁徳島西仁徳市第三地区六番地。二番目に大きな研究施設。そ
の二階にある休憩室で二名の研究者が談話する。
 左側に座るのは齢二十九にして五の月と十六日目になる仁徳鴎族の青年で旧エ
ウク鴎族のカモツ・カーモネーは楕円を主張する。一方の右側に座る齢三十一にし
て十の月と二日目になる応神河馬族の中年カバレイ・ジョンソンは円を主張。
「円では星が逆走する説明が付かっな! 星は楕円軌道に回りっま!」
「それはないグバア! そんなのは綺麗な軌道にならないグバア! 星の動きが楕
円ではまるでブラックホールに『衝突してくれ』と言わんばかりグバア!」
 星がどのように動くかで議論を交わす--それは既に一の時が過ぎようとしてい
た。
「それにしてもジョンソン先生はよく生き延びてくった。あの状況だった私めなら骨に
なったな」
「思い出したくないことはいいグバア。あれから走馬燈で思いついたことを紙に書こう
とするグバア。だが、思い出せないグバア。夢日記はいつも付ける僕がこうしたこと
で思い出せずに中途半端な証明になるグバア」
 夢日記なか--カモツは夢日記を付けた事がなかった。
「現在も必死であの時どうやって証明したのかを辿るのだが、どうしても半端な物し
か紙に書けなくていつも塵を増やす毎日グバア。紙の節約をしなくてはいけない時期
なのにそれが出来ずにいつも--」
「ん? 待っよ! ひょっとするとしようした紙の量で何か新しい発見が見っかるので
はなか?」
 カモツは元々は隕石学者らしく、年間落ちてくる隕石が必要な物か、或は不必要な
物かを一族代々調査してきた。彼らしくカバレイに思い出す事よりも先に新発見を見
つける事を勧める。
「まさか完成しない証明を出してはそれを捨てる紙の量に規則性を見出せというの
グバア? いくらなんでもそこに思い出しそうな証明内容の足がかりを見出せるとは
思えないグバア!」
「確かに……けれっも私らの研究だて何の足がかりがあっのかはっきりしないもっだ
ろう? そんな物だよ、数学的っな道は」
 数学を含めあらゆる理の学問には全生命の生活に役立つのかはっきりしない。な
のにどうしてその分野の者達は追い求めるのか?
 それは--
「まあいいグバア! 真理を追究するのに得かそうでないかを考えるのは研究者で
はないグバア。僕はカーモネー先生の勧めることを試しにやってみるグバア」
「ありがた、ジョンソン先生。だからって対価交換として円軌道を認めなぞ」
「ムム! じゃ、じゃあこんな対価ならどうグバア! 実は思い出す過程で僕達の居
る太陽系にはある一定の距離で次の惑星を発見することが出来ると判明しグバア。
それはな--」
 カバレイはカモツにお日様と惑星との距離を表せる簡単な公式を譲った。
「この公式は果たして後の時代でも使えのか? 実際に距離を測れる訳でもないに」
「細かいことを気にするグバア。でも今の時代なら基準といては十分グバア。
 それに僕はもう腹が減って考えが回らない状態グバア」
 そうな--カモツは窓を見渡しながら正午を回った事に気付く。
「なあカーモネー先生グバア」
「何かね、ジョンソン先生?」
「天動説を今でも信じるのグバア?」
「本当だと証明さっるまではどちらの説にも信用は置かっな」
 そうグバア--カバレイの伯父カバダーノは地動説を主張した数少ない学者だ。
 カバレイもまた亡き伯父の後を継ぐように地動説の信者となった。一方のカモツは
代々天動説の信者。その為、天動説の正しさを証明しようとしては天動説の脆い部
分に直面し続ける。
「そんじゃあ僕は食堂に行くグバア。先生はどうするグバア?」
 そうだな--外を眺めるカモツ。
(お日様を見るのグバア? お日様は古くから光と熱を水の惑星に与えたグバア。古
くから中心に聳える星グバア。果たしてそれでも天動説を信じるつもりなのグバア?
 いや僕がこれ以上彼の道に口を挟む意味はないグバア。これから先は彼が進む
道グバア。一体その先には僕が復元しようと四苦八苦中の太陽系公転説やフォー
ディー爺さんの考案したフォーディーの公式より先をゆくのグバア?)
 舞台が古式神武から真正神武に移すように主役もまたカバレイからカモツへ移り
ゆく……ICイマジナリーセンチュリー百四十三年から百四十四年の第四の秋は今も蒸し暑い。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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