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一兆年の夜 第四十四話 コペルニクス・ガリレオ・ケプラー(三)

 ICイマジナリーセンチュリー百四十二年十二月二日午後八時九分四十二秒。

 場所は古式神武応神諸島南西応神小島。土地は農作業に向かないが、中心部は
木々で覆われた小島。そこでは天体観測にはちょうど良い丘があった。そんな場所
で一名は骨になるまで食われ、一名は恐怖で身体を震わす!
(ぼ、ぼ、僕は齢二十七にして十の月と一日目になる応神河馬族の雄グバア。こ、こ、
こんなこことでおおびええるんだッグバア? 腰くだだけだだグバア!)
 彼の名前はカバレイ・ジョンソン。ここで天体観測をしに来たカバダーノ・ジョンソン
の甥に当たる。だが、目の前でカバダーノが骨になって衝撃を受けたのか、猫羊型
銀河連合にカバレイは背後を向けようと足を左右に揺らすばかり!
 彼は生き延びるよりもどうやって太陽系が回っているかの証明に頭を悩ませる!
(ど、どうせ今日ここに流れ星が二つ落ちたんだグバア! それももの凄い轟音を一
つと、もの凄い襲撃を一つ貰う形でグバア!
 伯父さんが死んだのは運がなかったで済むなら神様だって運がなかったって腰砕
けに見るようなものグバア! だ、だけど僕は運がないから伯父さんが死んだので
はないグバア! 新天神武で計算された歪みの計算式に誤りがあることに僕達は気
付かなかったから伯父さんが死んだグバア。全くホーラウスの爺さんはちゃんと計算
して欲しいグバア!
 も、もういいグバア! これから走馬燈の中で僕は太陽系が回る理由を述べてやる
グバア! それが出来たら潔くおじさんの元に旅立ってもいいグバア!
 で、でも覚悟が出来ないから叫び声あげて死ぬのかグバア! も、もう現実に戻る
のを諦めるグバア!)
 カバレイ・ジョンソンは己が武芸者でない事も、運が良くない事も解っていた。そし
て、覚悟の据わった生命でない為に直前で叫び声を上げる事も解っていた。それで
も彼は走馬燈の中で太陽系が水の惑星同様に回る事を証明しようと頭の回転を試
みる!
 そこで繰り広げる内容は学者としての難解な文字列と難解な数式。更にはここでは
書き尽くせない程の説明--例えば星が円軌道を描く事を説明するだけで裏表の
紙を使っても五枚必要な文字数--を一つの証明に費やす。
 そうして走馬燈時間で三の時かけてようやく水の惑星がお日様の周りを動く事を証
明した。これはちょうど天動説における水の惑星をお日様が回る事を証明できない
事を示し、なおかつ地動説の絶対性を確立させてゆく作業だ。そして、他の惑星に関
しては水の惑星が公転する事を証明した事を前提にした消去法で短い時間をかけ
てお日様の周りを動く事を証明。
 そうしてようやく太陽系が公転する事を証明開始。ここでカバレイは『メヒイスタ』で
教義と化した『貸借対照宇宙論』とホーラウス・フォーディーが遺した歪みに関する公
式をカバレイ独自の改良を加えるジョンソン型歪み公式を用いて中心の太陽系を計
算。その結果浮かび上がったのはブラックホール。そう、彼の考えではブラックホー
ルこそ銀河系におけるお日様だ。ブラックホールに関する資料はどれも実在を証明
する手(足)掛かりはない。それを主張したのは五代目藤原マス太。彼女のブラック
ホールに関する主張を疑う者は現在において存在しない。疑うとしたらエーテルと同
様に実在するのかどうかであった。
 話は太陽系が公転するという証明に移る。カバレイによるとブラックホールは見え
ない力で太陽系を動かし、まるで周りを軌道するように各太陽系を引っ張る。その力
が何なのかを証明する為に『貸借対照宇宙論』を用いる。一方でジョンソン型歪み公
式を用いて水の惑星が公転するよりも速く太陽系が公転する事を証明してゆく。
 そして後一歩という所で走馬燈に突然終りが来た--鼻の差まで猫羊型が接近し
ている事に気付いた!
「あわわわ、せせめて証明させてから近付いて--」
 カバレイの右脇腹に木製の長い棒で叩かれたような衝撃が走る--衝撃で左後ろ
に仰け反る!
「ヒデデ、遊んでいるのは目に見えるグバア。イデデデ……走ってきたグバア!」
 今度は反対側に頭突きを受け、丘から勢いよく落ちてゆく!
(マ、まるでブラックホールに呑み込まれる感じだグバア!
 とこ、ろでブラ、ク、ホォ……)
 転がり落ちる衝撃により彼は星々を動かす何か得体の知れない力を閃く! だが、
意識もまたブラックホールに吸い込まれたらどうなるか解らないのにそれを連想しな
がら奈落へと引き寄せられてゆく……ただ解るのは自分がまだ死んではならない命
運びである事実。
 彼は今、死ぬ運命になかった……。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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