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一兆年の夜 第四十二話 三兄弟物語 三つ星は今(二)

『かくして全生命の歴史上初めての政党制度が誕生した。じゃが、政党を結成しよ
うと動く者はまだ皆無じゃ。当然の事よ。政府が率先して行う政策には初めの内は
必ず反発するように政党制度を成立させてもいきなり政党を結成する動きは見られ
ない。それを解っていたのかある者が突然官僚十名を連れて辞職届を提出しおった。
 提案者のカゲヤマノスサナミキじゃ。スサナミキがこんな行動を起こすには訳があ
る。あやつは政党制度に重要性を知らしめる為に自らが政党を結成してまでそんな
行動を起こすのじゃ。じゃが、すぐに賛同する官僚が居るという事は初めからあや
つはそれを想定してたのかものう。まあ、すぐに動いてくれる生命が果たしているの
かは心配じゃ。塵を積もらす行動は急ぎ足の者には退屈で仕方のないものじゃ。わ
しだって早く作業を進めたいのう。でも、確認が不十分じゃと官房長官に送り返され
るからのう。じゃから丁寧に進めねばならない。書類を済ます作業は。
 さてと、そろそろわしの任期も七の年に入り始めた。いい加減に効果が出ても良い
頃じゃ。でないと後の者に最高政務官を引き継がせる作業に入る事が叶わないぞ。
        んで気になるのは--古式神武--は最高官制度は大丈夫かの?』

 ICイマジナリーセンチュリー百八年七月八日午前一時九分十秒。

 場所は古式神武雄略大陸大泊瀬おおはつせ地方若建わかたける山。
 現在端にしている全ての山で最も標高が最大とされる。その山の成人体型四千付
近にある集落金錯銘鉄きんさくめいてつ
(耳鳴りがまだある! どうして僕はこんな所にまで来たんだろう?)
 齢二十八にして四の月と十日目になる神武人族の青年は白い息を吐きながら父
譲りの豹族によく似た目の奥に強い光を宿してこの地に立つ。
恵弥めぐみ様。もう一度忠言しますが、何モこんな所マデ来る必要ハなかったノでは?」
 齢三十一にして四の月と十八日目になるタゴラスカンガルー族の中年にして象徴
天同恵弥の付き者ミリッツ・レヴィルビーは反対の立場であった。
「自分を強くする為なんだ、ミリッツ! いつまでも八理やつりに拘っていては弱くなるだけ
なんだ! そんなの八理が望んじゃいない!
 だからこそ僕はこの山を登る! 強くなる為に! そして死を忘れる為に最愛の者
を妻にしたいんだ! この集落には美しい雌が居ると聞く!」
 積極的なんっだな、意外っと--齢二十五にして五日目になるタゴラス鶏族にして
旧蘇我鶏族の青年で付き者の一名禾野コケ也は恵弥の行動に振り回されながら付
いて行く。
(それにしてもこの山を登る為に僕を含めて二十名いた登山者も半分の二十名に減
少した! また道標を増やしたと登山者は悲しむのか? 或は彼等の死を忘れない
為に上ることに挑戦してゆくのか?)

 午前八時九分十秒。
 場所は金錯銘鉄集落酋長邸。一階建てであるが集落一広い鉄製建物。換気は行
き届いており、密閉空間で起こる中毒死の心配は無用。
 その中で酋長室にあたる暖炉近くの空間。建物内で最も狭いが、生命一名分が寝
るにはうってつけであった。
 そこで朝食を済ましたばかりの恵弥は齢四十八にして九の月と六日目になる雄略
羊族の老年にして酋長タージカ・マハルーン十八世と会談。
「何仰いますかイー。あの子を嫁にーイ貰う気ですか?」
「はい。『古式神武』は確かに最高官が居れば政治に困ることはありません。けれど
も導き手……象徴が不在では何れ廃れる運命にあります。
 そこでマハルーン殿にお願いがあります。どうか集落一の美雌……人族の者を僕
に下さい!」
「……君はこの目でデーデ彼女を見たかの? 基準が異なルルーと美雌は違ってく
るぞ」
 あら、礼を失するわね--恵弥の後方に現われたのは集落一の美雌。
「これが……集落一美しい雌なの、か?」
 恵弥は驚く--彼の美しい基準からは離れていた!
「どう、美しいでしょ? 特に前歯が一本欠けてる所が更に私を可愛く見せる……な
んて集落中の雄が言ってるけど」
 た、確かに美しい--中心地出身の者にとっては色黒で肌の色とあまり変わらな
い下腹部を覆わんとする長い髪と上下唇とはあまりに幅の異なる両眼は美雌に程
遠い印象を与えた。
「何、その反応! まるで銀河連合を見るような目で生命を覗かないでよ!」
 だから言ったじゃアアーろうに--マハルーンは亀族に似た顔の形に驚く恵弥を見
て呟く。
(……しかし、性格はどうなんだ! この雰囲気、それに雄に勝る勢いの猛々しさ!
 八理に似ている! どうやら僕は彼女の容姿ではなく、性格に者目惚れした!)
 どうやら恵弥の好みに一致したようだ!
「えっと、名前は何て言うんだ!」
「ええ、あ……ああ。シャオルーよ。まだ名字はないけどシャオルーって呼ぶのよ、齢
は二十七にして、えっと--」
「月と日はわしが言おーオう。三の月と八日目。未だにーイ雄の誘いイーを断る続け
る困った雌じゃ……ってお主まさか!」
「ええ、そのシャオルーを僕に下さい!」
 お断りよ--即答した!
「断る……ということは妻にするには条件が必要と仰りたいのだな、シャオルー!」
「本気……なの? 都会の雄は私の容姿を見て諦めるのに、えっと名前は何て--」
「神武人族の仙者にして『古式神武』の象徴天同恵弥だ! 『恵』まれると弥生の
『弥』を足して『めぐみ』と言う名前です。齢は二十八にして四の月と十日目になりま
す。
 どうか宜しくお願いします!」
 こ、こちらこそ--突然の勢いに負けそうになるシャオルー!
「ではシャオルー! 君を娶るにはどんなことをすればいい?」
「あ、のねえ。初めからあなたの妻になるとは決めてないわ。
 そ、それでも私を連れて行きたいの、なら山の頂上にのぼ、りなさい!」
(山の頂上……ただでさえ耳鳴りと厳しい寒さでたくさんなのに!)
 恵弥は暖房の効いた空間で大量の冷や汗を至る所で流す--床に滴り落ちなが
ら!
「止めときなさいイー、恵弥様。山の頂上に到達しーイた者は現時点で一名も居なイ
イーのじゃぞ! いくら仙者とハハーいえ、下手をすれば--」
「……じゃあすぐに行こうか! たった一名の心を掴めないようで何が象徴と呼べる
か! 僕はこの山に登ったのは生半可な覚悟の為ではない! 想念の海に旅立つ
たった一名の姉に苦言を聞かされる前に行動する!」
「ほ、本当にやる気! や、止めなさい! 私の為に命を捨てるような茶が無い行動
なんて!」
「無茶も謀り無きことでもない! 僕は仙者だ! 頂上如き登れずして雄が務まる者
が居るか!」
「もしかしたら銀河連合が居るかも--」
「居たら倒す! 僕達生命体は彼等と戦う運命にあるんだ! 銀河連合を倒せない
なら僕はそれまでのこと……だが僕は雌を娶る者! 必ず生きて戻る!」
 無茶苦茶だわ--シャオルーは何時の間にか蘇我鋭棒を身に着けていた。
「君まで来る必要はない。死んでしまっては困るから--」
「私だって戦士よ! あなたがどれほど屈強かは知らないけど雄に負けるような柔な
身体じゃないわ!」
 ますます八理にそっくりだ--恐らく拳による喧嘩をすれば自分は負けると感じた
恵弥。
「シャオルーの言葉は正シシーいぞ。あやつは綱引きで十年間頂点に君臨すルルー
のじゃ。恵弥様は足手纏いーイになるぞ」
 なあに、八理に比べれば今のところ大したことないよ--死者と比べられて歯軋り
を鳴らすシャオルー。
「その……えっとあなたのお姉さんよりも強いと証明すれば私の強さを認めてくれる
かしら?」
「勿論……けど今は頂上を登るのが大事だ! 行こう、シャオルー!」
 恵弥はシャオルーのみならず、付き者のミリッツ、コケ也とエリフレインと共に標高
成人体型五千四百以上になる頂上を目指す!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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