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一兆年の夜 第四十二話 三兄弟物語 三つ星は今(零)

 ICイマジナリーセンチュリー九十九年三月三十五日午前十時零分零秒。

 場所は不明。神々が眠る地。二百の年以上もの間、生命体が離れた不定の世界。
 そこに三名の神武人族らしき若い雄達が集まる。
「星央兄さん。こんな所に連れてきてどうするの?」
「そうだぜ、兄貴! 俺は雌達と一緒に買い物にでかけてたってのに!」
「自分が仕事を放り投げて罪深いと思っていたのに八弥は!」
 真ん中にいるのは天同星央ほしお。齢二十四にして二の月と九日目になる獅子族に近
い目つきをした青年。
 星央から見て右正面に居るのは弟の天同八弥やつみ。齢二十一にして十一の月と二十
九日目になる豹族のような鋭い目つきをした青年。
 星央から見て左正面に居るのは末弟の天同なな。齢十にして九の月と一日目にな
る特殊な呼吸をする少年。
「オホン、自分がこの場所に来た理由はこれから話す」
「んで何? ここに可愛い子ちゃんが居るとか?」
「いないよ、八弥兄さん」
「まずは自分が最高官と象徴の両方を兼任する以上は一度初心に返ろうと思う」
「初心? 何でまた急に!」
「僕には何の事かわからないな」
「七はまだ成者ではない。無理して大人の世界に入らずゆっくりと階段を上ればいい」
 そうだね--七は念が残りそうな表情をする。
「気にすんな! 兄貴は昔から押しつけがましい雄だし」
「オホン、生命の上に立つ者はどうしても下々の目線より上の方に移ってしまいがち
だ。なのでまずは子供心に立ち返り、どうして全生命の希望と成るかを考えなくては
な」
「面倒だ。俺は絶対そんな考えは御免だ!」
「八弥兄さんのそんな部分が星央兄さん達に注意されるんだよ」
 五月蠅えぞ、七--七に唾を飛ばしてしまう八弥。
「いいだろ、七。基本的に自分達兄弟は同じように出来ちゃ居ない。自分にない物を
二名とも持っているのが証拠だ」
「兄貴と異なり、俺は政務をこなせんぞ」
 そうじゃないだろ--星央は首を横に振る。
「つまり星央兄さんはこう言いたいんだね。八弥兄さんは戦闘の才が優れていて、僕
は長生き出来ると」
「そうゆう事だ。羨ましい限りだぞ、そんな宝物というのは」
「俺は寧ろ兄貴を羨ましいと思ってるぜ! 何たって美智琉と性行為したんだろ?」
「恥ずかしいよ、八弥兄さん!」
「八弥……ここをどこだと思っておる! 神々が眠る場所なのだぞ!
 今度そんな淫らな言葉を出したら四六時中十名以上の付き者をお前の所にくっつ
けるぞ!」
「それはご勘弁な事だな、兄貴。今のは腰砕けな言葉だ」
「だったら言わないでよ、そんな恥ずかしいのは」
「それで何が言いたい、八弥」
「俺と違って仕事熱心で真面目な上に良い嫁さんも持ってるんだ。それに俺と違って
どんな案件にも受け答え出来るってのは--」
「それ以上言うな、八弥。自分はこう見えて無理をする雄だ。何でもしないと最高政
務官は務まらない。お前も何れ自分の後を継ぐんだ。なあに、無理だったら官房長官
や他の大臣に協力を惜しんでもいいのだぞ!」
「はあ、俺には出来ないな。応援要請なんて」
「僕は応援以前にみんなに頼ってしまうな。僕は星央兄さんのように努力する事も八
弥兄さんのように戦いが得意でもない。あるのは母の様に長く生きるだけだよ」
「十分羨ましいだろ! 俺は戦いばっかだから長く生きる自信がない」
「自分は残業ばかりしているから早く死にそうだ。仙者に産まれればどれほど弱点を
補えたかわからない物だぞ」
「そうかな? 何か気になってるけど話ずれてない?」
「そうだったな、すっかり忘れていたよ! オホン……では話の続きだ。
 自分達はいつかこの地に戻るだろう。その時はどこなのか?
 自我が溶け込んだ後なのか、逃げる事を諦めた時なのか、付き者と共に永遠の冬
眠に入る日
なのか?」
「はあ? 何だそりゃ! 兄貴の癖して何不思議話じみたこと言ってる!
 まるで俺達の未来を予言してるみたいじゃないか!」
「確かに! 達三兄弟の未来がそうなるような予言をして……あれ?
 ところで八弥兄さん? 星央兄さんは?」
「そう言えば居ないな。ここにいるのは俺と七。
 まあ気にするな。兄貴は自我を捧げた後だし、いいよ」
 良くないよ--必死な表情で八弥に問い詰める七!

 ICイマジナリーセンチュリー百三年九月三十四日午前一時九分五秒。

「それに俺は感謝してるぜ。あの時兄貴がそんな予言をしてくれなかったら俺はこう
して迷う事すら叶わなかったんだから」
「兄さん、何だか話の前後が繋がってないような?」
「ああ、繋がらないってのは当たり前じゃないか!
 何たってここは……やめよう。理恵の墓がある前でそんな訳わからん事は」
「そうか。ここが八弥兄さんの思い者との出会い場所か!」
「今でも美弥には未練はあると思うが、理恵と出会わなかったらこうして父親をやって
いたかもわからない」
「はは、確かにそうかもしれないね」
 笑うなよ、恥ずかしいだろ--八弥は上唇近くに生える髭を左人差し指で触って照
れ隠しをする。
「星央兄さんは見守っているかな?」
「兄貴の話を聞かなかったか? 俺は今でも覚えてるぜ。自我を捧げたんだよ」
「そうだったね……ふあああ。
 もうそろそろ寝ないといけないよ。じゃあ僕は--」
「待て、七! 帰る前にこれだけは伝えたい!」
 僕も暇じゃないんだから手短に言って--七は足を動かそうと震わせる!
「手短には言えんが伝えるぞ!
 兄貴の子供達が作った世界俺の子供達が作った世界七が作った世界。どれに
集合するんだ?」
「何言ってるんだよ、八弥兄さん。私にそんな事聞かれても答えられる訳があるわけ
ないよ! 第一……ヘクっしょい!
 寒いんだか……ら?」
 七は自分がどうしてアリスティッポス大陸中心点にいるのかわからなかった!

 九月七十七日午後十一時十三分十七秒。
「そうか。思い出したんだ。私は死んでいった者達の遺志を受け継いで全生命を導く
事を誓ったんだよ! 星央兄さんと八弥兄さんが死んだこの地で!
 子供達はこの先、私より早く死ぬ者も遅く死ぬ者も平等に茨の道を進んでゆく。そ
れは果たして全生命体にとっての希んだ望みなのか? それとも勝手気ままな選択
をした絶たれた望みなのか?
 わしはまだまだ未熟じゃ……記憶に振り回されてこんな夢を見るなんて」
 七は目を覚ますと付き者に布団をしまわせた後、居間で一名になった。

 ICイマジナリーセンチュリー百八年四月一日午後十一時四十五分三十六秒。

 机の前に座り、日記を書き始めた。
『三兄弟の物語も今回で最後になる。じゃから最後まで読みたいのなら是非付きおう
て欲しい。三つの道が軌道に乗る所をよおく読むのじゃ。いや、無理な話かの』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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