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一兆年の夜 第四十一話 三兄弟物語 七と奈々(二)

 ICイマジナリーセンチュリー百六年六月八十日午後四時五十八分五十七秒。

 場所は国家神武首都ボルティーニ中央地区中央官邸三階中央会議室。
 天同七は星季、輝星、美世、それに八理、恵弥だけ招き、ある会議をしていた。
「--アリスティッポス大陸を取り返し、なおかつ銀河連合が棲みつく場所を片っ端
から埋めていった結果、あたし達はもう地上にいる銀河連合の心配をしなくて済ん
だわ。少なくとも地上にいる銀河連合のごうはね」
 齢二十八にして一の月と十二日目になる星央の第一子星季は特徴的な口癖で戦
況報告する。
「ごほごほ、『ごう』は余計だよ姉ちゃん。
 そ、それにごほごほ……海は大丈夫なの?」
 大丈夫だよ、あに様--齢二十四にして十四日目になる病弱な輝星に齢二十二
にして三の月と二十八日目になる妹の美世は慰める。
「にしたって大変な事になったね、恵弥君」
「何が……ああそうゆう事なのね」
 齢二十にして二の月と二十三日目になる八弥の子供達--八理と恵弥--は互
いの利き手で肘をつきながらお喋りをする。
「お前らは相変らず緊張感のない連中だ。確かに陸の銀河連合を心配する必要は
なくなった。だからと言ってもわしらのこれからが長閑でいられる程世の中は甘くな
い。解るな、この意味?」
 解らないわ、七--星季は躊躇なく返答。
「ごほごほ、姉さんはいつも赦し容れないんだから。七叔父さんが言うには……ごほ
ごほ」
「あに様の代わりにあたくしが説明します。強いて訳すなら『領土をどうするか』で
しょ?」
「その通り。わしらが持つには水の惑星は広すぎる。なおかつそれを管理するだけの
数も力も持ち合せていない。そこでお前らに意見を出して貰いたい。
 どうすれば広い領土を維持出来る?」
 はい--利き手を上げる恵弥。
「早速だな。解決策は温めたのか?」
「従来通りで良いです。現場の者達を信じましょう」
 異議申し立てるわ--反論を出そうと席を立つ星季。
「またお姉さんなのか。いつも僕に突っかかる。
 言っておくけど従兄弟に恋した事--」
「そうじゃないのじゃないの! 現場に任せてどうするのよ! 彼等の力が頼りになる
の! あたしはそう思わないの思わないわ!」
「なるさ! あの方達は僕達が思っている以上に優れてるんだ! それとも信じない
のか、一生命の力を!」
「一生命で出来る力で全て解決出来るなら今頃親父も死ななかったわ。大体弱い生
命に全ては守れない! だから中央が全てを管轄してでも--」
「断る! パパもママも強かった! でも結局死んだ! この意味が示す事はどんな
に優れていても結局は全てを守れない! だったら放っとけばいいだろ!」
「ごほごほ、放っとくなんて良くない。みんなは元々同じ……ごほごほ」
「無理しないでね、あに様の言いたいことはあたくしが説明するから。
 えっと……『同じ生命が危機に瀕したら助けないで生命と言えるのか』なんてことで
す」
「それは言えてるわ、美世お姉さん。でもこれだけは勘違いしないでね。
 恵弥ちゃんはただ放っておきたくて言ってるのではないわ。寧ろ信じているから放っ
ておくのよ」
 でも受け容れないわ、そんなの--星季は納得しなかった。
「んで気が済んだか、二名とも。全くわしら天同家だけで話し合いをすれば少しは近
付くと思ったのに開いてみるとバラバラだ! 二の時かけてこんな有様では次期最
高官任命はお預けだ」
「次期最高官……ごほごほ」
「そんなの決まってる、あに様よ!」
「それで摂政はあたしと美世が--」
「お断りだよ。最高官は僕と八理ちゃんが務める!」
「私は防衛官でいいわ。最高官なんて荷が重いんだもん」
「いや、お前には成らせない!」
「七はけちだよ! あたしはこう見えて--」
「その態度がいけないんだよ。わしもかつてはお前らみたいな態度でアリスティッポス
の大地を踏んだ。けれどもあの大地は--」
「わかったよ、おじさん。つまり僕達はまだ『覚悟が足りない』って言いたいんだね」
「何度も聞かせたからうんざりしてるのか?」
「わかってるなら話さないでよ、叔父さん」
「ごほごほ、じゃあ僕も辞退するよ。こんな身体じゃあ誰も導けないし」
 それは後ろ向きだって何度も--美世は輝星を宥める。
「とにかく領土問題はまた集合する時にじっくり話そう。お前達の婆さんと違い、わし
らには山程時間がある。お前らが子供を作れば少しは覚悟が付くだろう。その時に
改めて……」
 じゃあお開きにしましょうのしょう--最後を締める星季の言葉と共に全員席を立
つ。

 午後六時零分五十三秒。
 赤い丸模様の旗の前にある席に座りながら思索する七。その様子を左側に配置さ
れた出入口の外より聞き耳を立てて様子を窺う星季。
(はあ、あいつはもう少し自分を押し出せばいいのに。昔から七は自己主張したがら
ないのないのよ。すれば流れは変わるのにそれ絶対やらないのやらな。
 ったくこれじゃああたしが直接変えてゆくしか道無いわ。これも全ては可愛い輝星
の為。初めての弟なのに心的衝撃が続いたせいであんなにボロボロ。これじゃあ全
生命を導けない。輝星も美世もあたし以上に長生き出来るのに輝星の方は仙者とい
う宝物をあんなにして!
 だからあたしはあのことあの子が守ろうとする全生命の為にも国家神武を変えない
といけない! 現状維持は銀河連合の思う壺、壺だわ! 何も変わらなくて何を守る
のよ!)
 星季は気付かれていないと思っている様子。だが、七は気付いていた--星季は
思ったことを小声で呟く癖がある事を本者は気付かない。
 それでも七は黙認した--何故なら初めての姪っ子だから。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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