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一兆年の夜 第四十話 三兄弟物語 八は輝き、七は動く(七)

(オイラは見てしマアった! 七様に襲いかカアる氷の大地がまるで七様を招き入れるカアのように直線を描くヨオウに分断してゆくのを!)
「はあはあ、どうやら……みんなを安心させるには程遠いか!」
 分断された先に立ちはだかるは八弥のみならず恐らくは星央を死なせた例の指揮官型。歴代指揮官型の中で最も強い銀河連合が最後の希望を食らいに進行部隊全てに恐怖感を与える!
「おかしい! わしまで模凍える大地似片膝尾付ける斗端! 本当似八弥様尾死なせた指揮官型なの科!」
(間違いないハアずだ! この目でオイラは見テエるんだ! あやつこそ……どっから出てくるんダア! お陰で食われる所ダアったぞ!)
 氷の下より奇襲するは白熊型--この奇襲で残り進行部隊の半数が命を落とす!
「マモリモルノス・アダルネスは一体くらい倒して見せたぞう!
 っつってもまさか白熊型四体に囲まれるなんとおう!」
「お前はまだいいッツ! ぐぐッツ、俺は後ろ左足を食われてもう--」
「み、みんな!」
 七はようやくテオドロス地方が難問と呼ばれる意味を知った--自分達の常識がまるで通用しなくなる程に書き換えられた大地!
「気をしっかり持って下さいであります! 七様が弱気に成られたらであられる拙者達までそうならないであります!」
「そうっっだ! 僕達が八弥様が死んでっっも、凍傷に苦しんでっっも、こうして戦えるのは七様が勇気を奮えるお陰なんだっっよ!」
「はあっざ……まず一体を倒したがん! だからお願いだから強気に征きましょうっざ!」
 強気--七は自らの考えを押し通すような心を持ち合せてはいないが、意志を貫く心は誰よりも持っているとようやく気付き始める。
「そうだ! こん、なとこ、ろで膝を、つい、て、どうする!
 私は天同七なんだぞ! 本当に強い気を持つなら立たせて、見ろっと!」
 骨と骨が擦り合う苦し紛れの音を出しながらも七は皆の為に、そして自分の為に自らの足を奮い立たせてゆく!
「あと、すこ、しなんだ! 私の言う事を聞くんだ、私の両足! ぐぐううう……はは、立った!
 たかが気当たり一つで膝をついて動けないなんてどこまで私は学習能力がないんだろう!」
 七は蹌踉けながら鞘から神武包丁『零』を抜いて歩みを進める。
「七様! ここ端……わし乃相手似五体なぞ欠伸ものだ!」
 白熊型一体を雄略包丁で斬り終えると使い物にならなくなった包丁を鞘の中に納め、背中に担ぐ金棒を取り出すと僅か一振りで二体もの白熊型を薙ぎ倒すツクモノカミ!
「二体取り逃がす科! この環境端明らか似利牙ない! 徐々似こいつら乃技牙わし似近付くなんて気乃せいなんてもの……ググ!
 わし牙左肋乃皮尾食われる斗端!」
(ぐううウウ! 前右足はもう肘カアラ先が骨に! でもそれだってどうシタア!
 まダア生きているんだ! なら一度くらい白熊型に仕返ししないトオ!)
 ベアレルは他三体を班員に任せながら自分は強そうな白熊型相手に劣勢を強いられる! 差し包丁は全て氷下に沈み、前右足の肘から爪先までの肉を食われながらそれでも中年は逆転を狙う!
「オオオオオオオオ! オイラは死ぬ事はしナアい! これはあの時から続く部下達への鎮魂ダアア!」
 骨になった前右足を白熊型の喉元に突き出す--その一撃に逆転を懸ける!

 午後十時零分零秒。
 ようやく指揮官型の間合いまで辿り着いた七は包丁を振り始める--当然回避された!
「あの時もそうだが、どうして攻撃しない? 私にはその意味がさっぱりわからない」
 疑問を投げるように右に左に斜め右上に斜め左下に横薙ぎするも捌くまでもなく避ける指揮官型。七はその後も右側面に回って振り、左側面に回って攻撃を仕掛け、飛び込んで体重を乗せるように斬り込むも全て空を切る。
「はあはあ、全然当たってくれない。なのにどうして私を攻撃しないのか全く理解出来ない。
 ぜはぜは、お前らでも出来ない何かを私は持っているのか? そんなものを持った覚えはない。なのにどうして……あれ?
 何かがある?」
 七は指揮官型が攻撃しない理由に気付き始める--瞬間的にだが、攻撃の前振りが見えた!
「はあはあ、まさか今まで攻撃していたんだな。ところがどうしてだか死なせる方法に迷っていたのか?
 ぜはあぜはあ、それだとお前が私を攻撃出来ない理由に繋がらない。そもそも。
 ぜえぜえ、銀河連合が躊躇うなんて聞かない! な、何故なら--」
 七様、ここ端わし牙--七の背後からツクモノカミが急接近する!
「ツクモノカミか……ってその傷で戦うなんて無理があるだろう--」
「無理模無茶模ない! わし牙指揮官型相手似死ぬよう奈玉出ないこと尾証明する!」
 七はツクモノカミの通る道を譲るように右へ下がった!
「指揮官型! 七様乃代わり似わし牙相手進ぜよう!」
 ツクモノカミの攻撃は一見すると力のみで振るっているように見える--ところが指揮官型は捌く事もせず、後方へ三歩先も下がる!
「やる奈! 確か似金棒出乃攻撃尾捌いてから迎撃したい所だ牙、わし乃技量尾考察すれ把分牙圧倒的不利奈懸け似なる。ならばこそ--」
 話の途中でツクモノカミは大降りによる攻撃を三回程度行う--当然指揮官型は難なく回避。
「逃げ回る乃科? それ出端意味牙ない。そろそろ準備牙出来たはずだ!
 さあ攻勢似転じてみろ!」
 準備--七は意味を理解出来ない。
 指揮官型の表情のようなモノが一瞬笑ったのか--刹那が経つとすぐにツクモノカミの懐まで接近!
 互いに少ない陣地の取り合いをしながら急所の見つけ合いを始める--ツクモノカミは金棒の長い柄をものともせず自らの徒手空拳を繰り出し、一方の指揮官型は隠し腕の出し惜しみしながら目の錯覚を利用してゆく!
「あれだけの攻防をしながら全て避けるなんて……うん? どうしてかな?
 私は今まで八弥兄さんやツクモノカミの動きが全然見えなかったのに今では……」
 それから三十の分が経過。最初に疲れが見え始めたのはツクモノカミ--捌く腕も足も徐々に流しが劣り、無意味な動きが目立ち始める!
 一方の指揮官型はあれだけ戦っていながら疲れを感じない--寧ろ活性化が進み、遠目でも追いつけなくなり始める!
 こうなったら一科八科--勝負に焦ったツクモノカミは大振りによる突きを心臓部分目掛けて仕掛ける!
 運がないのか、空を切る--指揮官型は右側面に回り込み、頸動脈目掛けて右隠し腕による一振りを敢行!
「危ない、ツクモノカミ!」
「危ない? 異なります、七様! 危ない乃端銀河連合乃方!」
 ツクモノカミは表情を歪める--余裕の笑顔だ。
 隠し腕による攻撃は空を切った--左足で指揮官型の左足を払い、なおかつ自らの首を左に倒す事で髪の毛の幅で回避!
「凄い! 更には左肘で鳩尾に命中させた後に止めの一振りで頭蓋骨に衝撃を……衝撃を?」
 何--理解不能な一撃を受けるツクモノカミ!
 間合いをとったはずなのに何故か左隠し腕による斬撃でツクモノカミは膝から爪先を肉体から離された!
 ツクモノカミは叫び声を上げる--右手に持つ金棒を離し、左二の腕で痛みを抑えようとしながら!
 隙を突いて指揮官型は隠し足で喉元を狙う!
「これ以上死者を出してたまるか! 相手は--」
 私だあああ--七は自らの身体でツクモノカミを守ろうとする--それによって何故か臍の上に斜め右上の切り刻まれる!
「グウウウ! 今度は攻撃を受けた! やっぱり私には何かあるんだ!」
「腰砕け奈事尾しない出下さい、七様! 自ら盾似成るなんて死んだらどうする乃です!」
 いや死なないよ、ツクモノカミ--七はツクモノカミに満面の笑みを浮かべる。
「まさか、七様端保護されてる乃です科? 『世界観補正』によって!」
「いや……ダアア!
 私の攻撃が当たると思ったのに!」
「今乃攻撃端……学びました奈、わしら科羅」
「当たんなきゃ意味ないよ。それよりもさっさと返答するよ。
 寧ろ未来が未来である為に私は生きられるんだよ、こうして!」
「意味尾理解出来ない牙それ奈羅今まで指揮官型牙どうして七様尾死なせられない科尾理解出来たよう奈。
 それ以前似十四乃年より前似どうして七様牙戦場似出る斗銀河連合牙一斉似撤退した科? ようやく理解出来た。あれこそ七様……いや代々天同家乃仙者達牙持つ『世界観補正』尾打ち破る為似ある『超越者』乃印。あなた乃存在端弥勒菩薩似繋がる--」
「訳解らない事はもう……イデデ。もういい!」
 七は指揮官型を攻撃--前回と同じく空を切るものの異なっていたのは斬撃を全て受ける!
 まだまだ戦う--けれども指揮官型は致命傷に至らない攻撃ばかりして満足いかない様子なのか。
「今度端攻撃出来るよう似? どうやら七様端強くなったせい出攻撃尾受けるよう似……また変わった!
 今度端深手尾受け始めた! 切断する程出端ない似しろ、あのままじゃ……背後科羅音牙--」
 左膝から先を斬られたツクモノカミは振り返るとそこに三本足で特攻しようとする毛利ベアレルの姿を確認!
「その傷出端死似似往くよう奈ものだぞ、ベアレル! 部下端どうした!」
 心配なアイ、その必要はもう無くなっタア--その言葉を聞いて全てを理解したツクモノカミ。
(また部下ヲオ死なせた。今度は別の組イ、班の連中までも死なせながらオイラは生キイ延びた!
 だけど生き延ビイルのもこれで終いダア! 八弥様の呼びかけニイ応え、オイラは魂を捧ゲエる! これハア---)
 七の眼前に指揮官型の右手一振りの攻撃が当たる寸前でベアレルが身を乗り出して受け止めた--咽を貫通しながら!
「ベアレウウウウウル!」
 シデハナアイ--そう言おうとしたが声も出せないベアレル。
 わかったよ、ベアレル--口の動作で全てを理解した七はベアレルの前に進みながら上から下に振り抜く!
(これは、き、せ、ぃ、ィ、ぇ、ぁ、ぁ、ぃ……)
 成長した七を見ながら部下の元に向かった毛利ベアレル。享年三十六。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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