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一兆年の夜 第五話 恐怖心と怒り(四)

(全くいつも通り手紙の基本作法がなりきれないな!)
『我こっそはキッシャ・キッシェール。ゼノン村で歴史学を専攻する者なっり。早速だがストルム・ササーキーだったか?ゼノン村は良いところだっからいい加減に家を持ったらどうって?まあいいっか!そんなことよりと我らの長、飛遊家では実通之みつの様のご子息である兎通実うつみ様が今年で十八になったと。そういや前の手紙でも書いったか?そういや思い出したけど、実通之様の二つ年上の姉に当たる羽通実うつみ様は名前を大層満足しない様子らっしだ。まあ言葉にしたらややっこいし。ってそれも前に言ったっど?(略)』
「あの、覗き見すれど申し訳ありませぬが、キッシャ様は何族でありましょうか?」
「彼はメデス蠍族だ!」
「ならばお手紙に訛りありに伝うるは宜しくなかろうかと」
「何度も伝えはすれど、結局直すは困難。それで良いと俺は思いしが」
「そ、そうでありえますか」
「それよりも手紙の続きは読んでいよう……」
『(略)何よりも羽通実様は困った方でありまっし。今は亡き実兎様の勝手な性格が似てしもうってのか、我に対する注文が大変多くって困っとりまっし!万物の神々を考古学的に調べるのは神さまに申し訳つけってないのに。あの御方は全て入念に調べろと口が大きいんでっすだ。おっと思い出しとったが、ストルム君から丸投げされた例の暦について思い出してそれを書きっつもがあることをすっと忘れしまってた!実は手紙のやりとりの度にそれについて書くつもりだったのにゼノン村の毎日が楽しすぎていっつも忘れおっとるだ!えっと少し忘れっとうしもうたっと!こんなときだ、えいって!ここは一つ良くない報せを書き記して思い出そう!(略)』
(良からぬ報せとは!)
 ストルムはそこに書かれた内容に恐怖を感じた!
(キッシャが暮らすゼノン村に彼らが迫りくるなぞ!)
 ストルムの二つの故郷を食らったモノが近い将来ゼノン村をも食らうという内容だった!
(プラトー村で俺は両親や村の皆を失われとう。メデス村ではヒュット様や村の皆を!
 だ、駄目だ! こんな感情は呼び起こしモノであるまい! こんなのは罪深きものだ!)
「ス、ストルム隊長! ど、どうしたのでしょう! よからぬならば自分に変わりても--」
「平気で良い! 続きは責任持って読む!」
 ストルムは続きを読んだ!
『(略)とにもかくにも今は知恵者一族のバルケミンが得体の知れっねモノがいつ来るかを計算してっところだよ!現在はリーベルダスの一人娘のベリエールがいるんだが、この雌はものすごく綺麗すぎる上に叔父のユーリディスに勝るとも劣らねえ頭の回転の良さなんだって!ああ、それも前書いとったことだってな!ああ、我はこんな調子では神さまに申し訳がないよ。この手紙を書き終えたら一日中村全体の神さまにおじきしないっとうて!ただし食事は無理をしない程度で許してくれっかな?そうこうしているうちにやっと思い出したってと!実はストルム君から貰ったというIC。つまりイマジナリーセンチュリーについて何だって。あれは今我の弟子達と共に研究した結果、一の年を太陽暦にするっていう案はストルム君と同じだっが、そこへ太陽暦の四の倍で調整すれば宇宙に追えっとう暦に繋がるのではないかと分かった!ただし、これだけでは今の年代がどれくらいなのかも、膨張する宇宙の全てを必ず終えるわけとも限らんのはあの時と全く変わらないって!何せ今はICイマジナリーセンチュリー十二年なのか?二十一年なのか?いずれにしってその間だってこと分かっていだ!これだけでも伝えられっとらストルム君と親友という誇りに少し自信が持てるかもっと!じゃあまたな、その時は家族をもっとや!我は今でも独身だ、悔しい!』
 手紙を読み終えた。何だかんだとは言えストルムにとって親友との手紙のやりとりは心のどこかで安らぎを感じるものであった。
(俺は一人であるまい。今まで死にいく者達の命を俺は背負い続ける。
 いや、彼らだけではあるまい! 俺には今を生きし親友の存在。
 ストルム隊という六名の仲間がおりよう! 俺は決して孤独であるまい!)
 手紙を通じることで心の支えを得た。
 ただし、ある一点にはどうしても納得いかなかったところ彼にも意地はあるみたいだ。
(キッシャめ! あれほど耳が腫れ上げるだけ言うるのに暦の名称を間違えるとは!)
 イリュージョンセンチュリー--幻想世紀。
 親友の聞き間違えにより正式名称は決まる。


 ここにIC--イマジナリーセンチュリー--未想世紀。
 以後も遠すぎる過去を追う暦として語り継がれていく。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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