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一兆年の夜 第四十話 三兄弟物語 八は輝き、七は動く(六)

 三月五十一日午後一時二分十七秒。
 場所はアリスティッポス大陸ティッポス地方。
 年中吹雪が発生する地方。それ故にここに暮らす生命は一名としていない。
 ただし、他の大陸では冬は寒気に見舞われる時期もアリスティッポス大陸では比較的暖かい時期となる。この地方も例外ではないはずが--
「おかしい! 氷の世界では冬は夏のような気候じゃなかったのか!」
「どうやら銀河連合似よる操作端わしら乃予想尾超えたもの似なる! 先乃強制的奈裂け目斗いい、不可思議奈現象斗いい、そしてここ乃吹雪斗いい、こ、こ、れ端--」
 し、し、しぁ--七達が声を出す事もままならない程吹雪は強くなった!
 それは赦しすら容れる余地もなく進行部隊の体調を崩してゆく!
「どどがでででやややす--」
「マモノスすすすうッツつつつ、ささあささ--」
「シカックもも、マモリモルノスすすも、ああわあ、がが--」
「無理、されような。シカック殿も、マモノス殿も、りすこ殿も」
「と、と、とにかくオイラ達ハア、ここを制シイ、なないトオ!」
(制するなんて拙には無茶な要求に感じるっざ。特にこんな都合良く出来た現象の中でっぜ。都合良いのは本来は本当に正しい者にしか与えられないはずっじ。包丁鍛冶にしてもっぞ、服を着る順番にしてもっぜ、正しい行いをしない者には都合が良い展開はやってこないと昔から言われてきたっず。
 ところが今では銀河連合の方が都合が良いっだ。これも吉良家に代々伝わる『世界観補正』の賜物なのだがん? 拙は学者じゃないんでこれ以上は論理展開出来なっず)
 物部わに十は強烈な吹雪に耐えながらもどうやって利がない大陸を乗り切るかを思考する。
(七様が居れば不思議と乗り切れる気がしてならんっず。けれどもあの方は強くない。寧ろ鍛冶職者よりも弱いっが。寧ろここまで来た事が不思議でならないっだ。
 だが、七様だから乗り切れるとも限らんっじ。拙達が何とかしないと意味を為さないっざ。にしても止まれば余計に死は近づくっぜ、かといって進んでもしに近付くっだ。ならば進む以外にないのっざ。
 それ以外なら弱い時間帯を狙って進むしかないのかっず? まるでたたら作業だなっず。少しでも風を通す力を違うとすぐに全てが終わるっぞ。どうにもならない仕事だっじ)
 わに十はその後三の時も模索をするも全てが当てにならないと気付き、諦めた。
 一方の七は鼻水が凍り付いてもなお死んだ二名の魂を背負って進む。ただ弱音を吐くことなく進み、無言の鼓舞を皆に与えてゆく!
「わた、しは、あき、らめ、ない、か、らあ、な!」
 それから七の日が経ち、ようやく真鍋べア彦が最後に辿り着いただけで終わった難問のテオドロス地方に足を踏み入れた--アリスティッポス大陸に足を踏み入れた数の七分の二だけになりながら!

 三月五十八日午後九時十三分四十四秒。
 場所はテオドロス地方。
 気温はティッポス地方ほど急激ではない。けれども問題は--
 助けっと下さう--北条組三名は緩い氷を踏み、凍える海へと消えてゆく!
「何て事だ! じゃあ私達は大丈夫な氷とそうでないのを区別しながら進まなければいけないのか!」
「そのようとですといえるまでに。拙者の考えなことのではテオドロス地方の環境であるべきと銀河連合による都合の良い運びならです、それらが--」
「口を挟んで申しわけありませっざ、いつ現われるとも知れない銀河連合に十分注意しながら進行して下さいっず!」
 わかった--ただでさえ赤くなった顔を更に赤くする七。
(海に落ちれば冷えすぎた湯に浸かっじ、拙でも死ぬだがん。どこかに銀河連合が潜っぞ。氷の崖は少しずつ欠け落ちながらもなお奴等を隠し通すっが!)
 わに十は全周囲を隈無く見渡すものの未だに銀河連合がどこから現われるのかを予測出来ない。
(半透明の氷を寒すぎるほどの気温であっても両眼をかっ開いているってのに居ないっじ。おかしいっず! この機会を逃す程奴等は間抜けであるはずがなっざ!)
「わに十ヨオ。オイラ達の見方が違ってルウンじゃないか? 現にいくら凝視しても銀河連合ラアしき存在を確認出来ない! 奴らは必ず居るハアズだ! オイラ達ノオ勘は告げているハアずなのに!」
「五月蠅いぞ、二名! 銀河連合尾探しているようだ牙、わし端とっく乃昔似気付いたぞ!」
 何--七とわに十、それにベアレルは一斉に驚きの声を出す!
「じゃあ教えてくれ、ツクモノカミ! どこにいるんだ?」
(あの爺さんがわかるくらい当たり前の場所に潜むのがん? どこだがん? 奴等はどうやって拙達の目に幻を……幻っざ? ま、ま--)
「なあ班長ぶ。氷に出来る限り力を加えぶに渡ればいいってこぶ?」
「そうだナナ。そうして動いてゆく氷を出来る……ってなななんダダ?」
 どうし--齢二十五にして八の月と十一日目になるゲネス猪族の近藤イノ太郎の部下である豚族の班員が先に前右足を踏み出し、そのまま氷に食われ、骨にされた
「ヒイイ! 氷が、氷が!」
「落ち着いて下さいっじ、七様っが! 銀河連合はどうやらアリスティッポスの氷にまで姿を変える程にまで変異出来るようだがん!
 まさに難攻不落の地方っず! 拙達はこんなにも奴らの好き放題を受けるなんてっぜ!」
 氷型銀河連合は次々と班及び組の者達に襲いかかる!
 彼等のやりにくい所は--
「小野りすこを舐めるんな! きま……破片になっても襲い来るん!
 うわあああ!」
「りすこおおおおう!」
「そうかッツ! 奴等は氷だから水になったら水型銀河連合となって俺達をッツ!」
「ここまで我等に都合無きだとどうすればよろしいか!」
(火で燃やすしか道は無いっざ! さすがの氷型も火に炙られれば耐えがたいっじ!)
「ここは私が銀河連合に命を差し出す!」
 ななっが--わに十は一瞬、七を疑う!
「これ以上生命が死ぬのなら私が奴等の攻撃を受ける!」
「死にマアすぞ、七様!」
「大丈夫だ、ベアレル! 私は命を差し出すつもりはない! もしも危なくなったらすぐに飛び出して良いぞ!」
(だったら拙が七様の盾と成って--)
 まだ早い、わに十--ツクモノカミがわに十の歩みを止めた!
「死んだらどうすっざ! もう残るのは星季様っが、輝星様っだ、美世様っず、八里様っぞ、恵弥様しかいないのですぞっど! 責任取れるのでっざ!」
 信じるんだ、七様尾--ツクモノカミは右人差し指で七を示す。
 七は中央官邸並の体積を持つ銀河連合に身を差し出す!
「私は神武人族の長にして代々受け継ぐ仙者天同七なんだ! 天同七ならここで死ぬ事は有り得ないんだ! 私は自らの鞘から包丁を抜かない代わりに魂に於いて包丁を使う!
 自らの系譜よ、私の呼びかけに応えろ!」
 七はようやく八弥が遺した言葉の意味を理解し、左手で鞘を強く握りながら氷型に進んでゆく--兎のような目をした青年は今、瞳を煌めかす!
(ようやく八弥様が七様をこの地に連れてきた理由を納得したっが! 彼は間違いなく運命に愛されているっず!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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