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一兆年の夜 第四十話 三兄弟物語 八は輝き、七は動く(三)

 前方にいた百獣型は八弥の斬撃を読むように斜め上空に飛んだ--だが、それは八弥の読み通りだった!
 八弥は寸での所で振るのを止めると刃先を上向きに切り替え、姿勢をしゃがむギリギリまで落とす!
 百獣型は無理な体勢でなおかつ間合いを詰めるのが困難になる--乗っかかるような位置まで急接近しながら前足を動かす。
 けれども触れる事は叶わず、股間から口にかけて一本の線が胴体を分かつ!
 八弥が休む暇も与えず胴体の別れた所から上空に配置した百獣型が落下!
(全ては代価を払ってでもか! こちらはさすがに--)
「避けるよりも速く攻撃するぞ!」
 宣言通り八弥は柄を支点に左対空蹴りを仕掛ける--正確に顎へと直撃させ、後方にバク宙着地させた!
 休ませろ、いい加減--次は逆立ち状態から背中方角に配置する百獣型が八弥に小言を吐かせる程に隙を与えず仕掛ける!
 八弥は新たに左手を支点にさせながら右回転による右蹴りで右米神に命中--神を失うが如く八弥に背を向けながらうつ伏せになった!
 直立に戻った八弥は突如二体の百獣型に身体を掴まれた--首根っこを百獣型の両前足、腹部を別の百獣型の両前足で!
(さて、と……二体は俺を掴む為にいる。問題は前方に飛び込んだ銀河連合だな。動かすのも困難な状態からどう出よう……かな?)

 午後六時三十分二十八秒。
 七とツクモノカミは齢二十四にして二十九日目になる大陸藤原闘牛族の藤原バッファ鱗率いる四名からなる藤原組と共に裏門へと向かう!
「バッファ鱗! 本当に兄さんはこの先にいるんだろうな?」
「本当っっだ! 八弥様はお一名で銀河連合百獣型と戦っておられまっっす!」
「どうして八弥様尾一名似した!」
 八弥様の命令でっっす--その言葉を聞いて納得してしまう七。
「実力尾過信しすぎだ、八弥様端! このまま出端……音牙聞こえる?」
 打撃音にしてはどうにも好きじゃない感触がするんだけど--ちょうど鉄を爪で掻くと耳に良くない鳥族のような肌を立たせる音。
「これ端……内臓似穴牙空いて中科羅飛び出す音だな。しかも記憶尾司る重要臓器乃肉牙飛び散った--」
「余計に震えるよ! ただでさえ寒くて震えそうなのに今度は別種の震え--」
「七さっっま、どうやら音は静まり……見えましっった!」
 七は見た--そこに立つのは十体もの百獣型を死なせて右肩の掠り傷らしきものを受けた天同八弥の姿を!
「来たか、七! 俺の方は羅羽承とはいかないまでも全て倒してやったぜ!
 刃毀れを二度もやっちまってもうあと一回しかまともに斬れない」
 『星央』の刃先は近くで見るとあちこちに三角形の後が点在する。
「いいって! 八弥兄さんが無事なら星央兄さんも安心してるよ!」
(兄貴。ここに眠るんだな。にしても百獣型十体は予想以上に厳しい。先祖天同生子のように掠り傷付けずに戦えたらどれほど楽な事か……掠り傷?)
「どうしたの、兄さん?」
 いや--違和感を覚えて左指で触るが、掠り傷である事を確認した八弥。
「休む暇はこのくらいにしよう! それよりも部下達を--」
 報告します、戦闘は終わりました--チーター班六名が全く同じ報告を裏門にいる全員に伝えた!
「終り? その報告は真実か?」
 真実だよ、八弥--チーチャルはため口のまま返答。
「この目出見るまでわし端信じないぞ、チーチャル」
 いや、真実だがん--チーター班の隙間から鰐班五名が顔を出す。
「わに十! という事はここを取り戻したってので良いよな? な?
 これで中継基地を--」
「喜ぶのは大陸を全て俺達の所に還ってからだ! まだここは半分にも達していない!」
 半分ではない--彼等は思い出した。アリスティッポス大陸は食われて以来、誰の力でもとり戻すのが容易じゃない氷の大地である事に……!
(右肩がまだ痺れた……ような? まさか毒を塗ったんじゃないよな?
 気のせいか?)
 右肩に掠り傷を与えた攻撃には何の毒も塗られていない--けれども傷は徐々に八弥の足下を掬いにかかる

 午後十一時七分八秒。
 場所は司令室と思われる一室。机も本棚も鳥族の羽を無理矢理集めて作った椅子も全ては神々。故に飾りと変わらない。
 そんな神々の魂たる羽がたくさん入った椅子に座る二兄弟。
「傷は大丈夫みたいだね、八弥兄さん」
「この程度なんて今後の戦闘に響くかよ!」
 本音ではなかった--包帯で巻かれているとはいえ、掠り傷部分は細胞分裂すらしない状態。
(もしかすれば『世界観補正』が銀河連合側に……飛躍しすぎか)
「どうしたの、八弥兄さん?」
「いや、それがな。未だに寝られないお前に俺から稽古を付けて寝かせようと考えている次第だよ! どうだ、やるか?」
 いいよ、痛いのは好きじゃないから--七は首を横に振りながら自らの意志を伝えた。
「だったらこれならどうだ? 俺の包丁演舞を見せるというのは?」
 見せてよ--即答する七。
「いいだろう! ただし、条件がある!」
「条件? まさか--」
「俺の見せる演舞をしっかり目に焼き付けるまで眠るんじゃないぞ!」

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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