FC2ブログ

一兆年の夜 第三十八話 三兄弟物語 星々が輝く世で(八)

 三月六十八日午前五時二分四秒。
 場所は国家神武首都ボルティーニ中央地区天同星央の館正門前。
「今回は僕の参加はないんだね」
「万が一の事があれば美智琉、それに星季、輝星、美世の身を守れない。だから七が自分の代わりに死守しろ!」
 『死んでも守れ』って--七は右こめかみ辺りから汗を流す。
「心配無用よ七様! 家族を死守する七様を死守する二名の頼れる部下が居るんだから安心しなさい!」
「わし端死なん! 逆似全て死体似する!」
 はは、おっかない--さっきとは逆方向辺りから汗を出す七。
「あなた、無事に帰られるの?」
「ん? 心配か、そうだな。五体満足とはいかないまでも必ずここに帰る!
 だな、八弥!」
 やつみくんはいないけど--星季はさっきまで星央の後ろにいた八弥の方向に左中指で示す。
「黙って先に向かうとは。まあいい!」
「と、とにかく輝星の事とかは僕が頑張って癒すから心配無用だよ、星央兄さん!」
 期待してるぞ--星央は口も利けない程の傷を抱える輝星の頭を撫でる。
「あなた、絶対に帰ってきてね!」
 ああ、必ずな--星央は美世の右頬を右人差し指で触れた後、美智琉の唇に自分の唇をおよそ一の分かけて触れた。
 そして旅立つ--新天地に想いを馳せて!

 三月七十七日午後十一時七分五十九秒。
 場所は北蘇我大陸石川麻呂地方防波堤跡。現在は真鍋傭兵団専用の村が建設予定。
 責命者は齢四十九にして三の月と五日目になるいつ引退しても不思議ではない応神鰐族の老兵ヤマビコノアリゲルダ。天同星央は老年アリゲルダと酒を飲み交わす。
「ハハハがん! 酒飲んで次の日に船で向かおうなんてどこまで忙しい雄っざ!」
「フフ、そうゆうアリゲルダ殿もこんな年齢になってまで現役を続けるなんて相当な冒険家ですね!」
「臆病なだけがん! わしは筋肉鍛錬と同様に生涯仕事を続けるのだがん! それはそれは大変苦しくて楽しいものっざん!」
「要点は異なりますが自分と共通しますね! ハハ、ハ!
 自分もまた臆病故に仕事や自己練習に身を削っておる次第、らよ!」
「おうおうっざ。そこまで呂律が回らなくなるまで酒飲んでいいが、がん?」
 あらたの方おそ--星央はそれでも酒に咽を通しながらアリゲルダに肩車する!
 暴れてもいらっだ--対するアリゲルダも同様に肩車しながら眠りに就くまで腰を砕けた騒ぎをした!
(一応念の為だが、自分がここへ来たのは船で行くと大地以上に条件が厳しい海では様々な要素が重なってアリスティッポスに到着する前に予定の半分近い兵力になる恐れがある。それを防ぐ為にはるばる大陸から大陸、島から島への経由でこの防波堤跡まで足を運んだ! それだけじゃない。
 もう一つあるとすれば、各地を見て回る事で各地の通信員に調査報告書を中央官邸で自分の代わりに政務を執る官房長官ログホラーニに送るんだ。そうすれば今後の政務に支障がきたさなくて済む!
 そして、この防波堤跡。現在は真鍋傭兵団が新たな訓練施設建設の為に村へと変わろうとしている。その為の助言をアリゲルダ殿におよそ二の時より前に伝えたばかりだ! 跡は自分の助言がどれほど組み込まれているかを随時報告するだけ。
 さて……美智琉は今も三名の子供を寝かしつけてるのかな?)

 七十九日午後零時十分八秒。
 場所はアリスティッポス大陸南エウへメロス地方廃ヘメロ港。
 息も凍り付く気温。この地を訪れない者にとっては命に関わる程の荒れた天候。
 すでにこの近くまでに体調を砕いた軍者は六分の一に上る。
「ただでさえ、さ、あさ、さ--」
 酒で体温を暖め続けた八弥でさえ極冠の大地は身体に堪えた!
「あまり無理して喋るな。はあはあ、真鍋べア彦の遠征記録を基に進まなければなら、ない。ふうふう……この天候では却って危険だ! ふっっふうふっっふう、もう少しましになるまでは遠征隊が作ってくれた鎌倉で暖をするぞ」
 大声で指令を下せない星央--それに代わって伝達者が各班に指令を送ってゆく。
「あに、き。酒は、どれくらい、飲めば、良い?」
「ふうふう、酔わない程度に飲め! はふうはふう……酔えば銀河連合との戦闘に影響する!」
 ひ、とこ、と、よけい--寒さに堪えながらも返し言葉を吐く八弥。
(この地に留まれるのは先程の二日分を引くと後二の週。いくら進んでも撤退すればすぐに元通りだ!
 さ、寒い! ここまで冷えるとは思わなかった! 想像はこれ以上現実と一致してくれはしない! なればこそ自分は真鍋べア彦が遺した遠征記録を参考に進んでゆくしかない!
 こ、これは勝ち負けの問題ではない! 自分達が進まない限り銀河連合との長き戦いに終止符を打てない! 山を破るには小石で三井から少しずつ削る以外に道は無いのと同様なんだ!)

 午後一時五十七分四十二秒。
 熊族だけの班。班長は齢二十五にして四の月と二日目になるプロティ熊族の毛利ベアレル。班員は最大五名。班長含め全員が新米だった。そんな彼等がどうしてアリスティッポス進行作戦に参加出来たか?
 それは--
「--オイラを含メエテ全員熊だ! 白熊が住めるんダア! オイラ達が住めナアイ道理があるか!」
 ベアレルは班員を鼓舞した!
「んン? 何ダアろう?
 ネエ班長!」
「どうしたマウグスタヨオ。何か……アアレは?」
 誰が見てもわかる銀河連合--人鳥型--が南東より滑走して接近中!
「人鳥族に似タア銀河連合! たかが一体如きで俺達を--」
「腰砕ケエを言うな! 銀河連合は『正々堂々』と言う四字熟語を知らないんダアゾ!」
 だっタラら僕は--班の一名は油を断ってアリスティッポスの氷を踏みしめる事になった!
「足下に気を……え?」
 前に出た班員はそのまま食われてしまった--氷を突き破って出現したアザラシ型によって!
「二体……いやもっといるかも知れナアイ! お前ら全員星央様らの居る所マアデ撤退するぞオオ!」
 命令を出すのがもっと早ければもう一名が死ぬ事もなかったのだろうか--人鳥型によって攻撃する暇も与えずに班員がまた一名骨になった!
「ヘクッショオ! この寒さなんて克服してヤアルんだああ!」

 午後二時五分九秒。
「だあ! これで二体目……残り一回となった!」
 星央は齢四十八にして十の月と二十六日目になるルケラオス虎族にして副司令官を務める老兵タイガーフェスティ・佐々木と背中合わせになりながら襲い来る銀河連合十体中四体を倒したばかりであった。
「わしがもう少し若ければペンギン野郎に手こずる事もなかろうにイイス!」
「年は関係な、にスックショ! はあはあはあはあ、この程度の動きで、つつかれちゃあうとは!」
 二名とも鼻水がつらら状に凍る。呼吸をしやすいようにつららを落としてゆくが次から次へと外に出るつららと残り六体の銀河連合相手に苦戦を強いられる!
「でえいイイス! 頸動脈を斬って持ちが勢いよく出な……ガアアア!」
 タイフェス翁ああ--叫んだ相手は氷を突き破って現われた銀河連合アザラシ型によって左前足を骨ごと喰われた!
 左前足を喰われた反動で蹌踉けるタイフェスの隙を突いて今度は右後ろ足を喰らおうと人鳥型が氷を滑走して大きく口を開くが--
「自分を無視して老兵に襲いかかるな!」
 星央は『わに兵衛』で口を開かせたまま両断した--物部わに兵衛から貰い受けた物切り包丁をまた一つ使えなくした。
(後五体! もうタイフェス翁に残された時間は少ない! それでも自分は錆びた愛刃で銀河連合を慎重に斬ってみせる!)
 星央は思った通りに錆びた『わに兵衛』で銀河連合の頭部や中心点を打撃してゆく!
 しかし、倒せたのは僅か一体。後は刃が折れ、星央の肉体に数十カ所もの掠り傷が形成されてゆくだけだった!
「はあはアアス、わしは、も、う--」
 タイフェスの体力は限界を迎えようとしていた! 自分自身がわかる老兵だけでなく星央もまたタイガーフェスティ・佐々木は仮に凄い医者に治療されても助かる事は有り得ないと断定した!
「最後に大きな花火……は控えて下さい! 残り四体は自分が片付けます!」
 そうは、いか、ウウス--タイフェスは三本足で立ち上がった!
「助けられますか?」
「こと、わる、ウウ、ス。これ、がやり、たか、た……」
 タイフェスの心臓は永遠に止まった……
 意地を見届けた星央は十の秒両眼を閉じた--隙と見た残り四体の銀河連合は一斉に星央に襲いかかる!
「星央様をやらセエルか!」
 毛利班只一名の生き残りになったベアレルは星央を死守すべく二本の雄略差し包丁で攻防を分けた使用法で銀河連合の一体を倒す!
「援護するぞ、兄貴!」
 ベアレルよりも遅れて駆けつけた八弥は『六影』で二の秒もの間に綺麗な包丁捌きで二体とも正中線に沿って両断した--勿論刃毀れを起こさない程の華麗さで!
 残り一体は全速力で星央を突き飛ばそうと突進!
「間に合わナアイ--」
「もっと早ければ--」
 間合いに半分まで入った瞬間十秒経った--星央の両眼は力強い楕円を描くように開き、前のめりする!
 両足を力強く踏みしめて両の手は寂れて折れた包丁を突き出すように構えながら銀河連合の死がある部分に倒す!
 星央自身は全身に力を入れる事で衝撃の大半を下に流した--氷は大きくひび割れ、今にも星央を落とすかわからない状態であった!
 一方の銀河連合は突き刺さる事はなかったものの自身の突進による衝撃と星央による突きの衝撃を心がある部分に受けて口の内から赤い嘔吐物を外に出してそのまま息を引き取る!
 血を浴びながらも五体無事に生き残った星央はタイフェスの死体を見届けた--老兵がいる場所の氷は割れ、彼を埋葬するように沈めてゆく……。
(さよなら、タイガーフェスティ・佐々木。自分は一生あなたの事を忘れない……)
 タイフェスが眠る氷の大地だけでなく、星央が立つ大地も割れた--間一髪のところで八弥が拾い上げたお陰で一命を長引かせた……。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR