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一兆年の夜 第三十八話 三兄弟物語 星々が輝く世で(四)

『予定外だよ。何で僕が戦わなくちゃいけない。訳わからない。戦える者は他にも居
るのにどうして僕なんだ。僕はそれが満足出来なくて困っている。あーあ、戦いなん
て兄さん達だけでやればいいのに何で僕なんだろう。やるしかないのかな。何の役
にも立たないこの僕が。親友の七不思議も雌友達であるバレッタも今も戦ってるか
な。いやバレッタは画家だから戦いはあまりしないはず。多分しないはず。だって
彼女は学者一族バルケミンの者さ。あ、こんな恥ずかしい事何書いてるんだろうか
な、僕。あーあ戦場に来たらさっさと逃げようかな』

 三月六十三日午前五時六分七秒。
 場所は西物部大陸ニギハヤヒ地方櫛玉砂丘。総司令天同星央が居る陣。
 椅子の前で両眼を瞑り座禅を組む星央の前に齢二十にして十一の月と六日目になる雄略チーター族のチーチャル・斉藤が風を切る勢いで報告に入る!
「何だ、偵察員チーチャル?」
 七様が来ました--早口言葉で報告する!
「という事はツクモノカミも来ているんだな」
 それが、医療班の名無しと共にここへ来た模様--早口言葉で三名連れで来た事を伝える。
「済まない。もう一度説明してくれ。今度は解るように分解して」
 医療班含めて三名--早口言葉でまず一つ。
 ここへ来た模様--早口言葉で二つ目を伝える。
「有り難う。どうやら七も思春期真っ盛りのよう……済まない事をした、七よ」
 七は左に名無し、右にツクモノカミを連れて星央の前に立つ--先程まで前に構えていたチーチャルは素早く去った。
「星央兄さん。無事で何よりです。えっとこの度はおはよう御座い--」
「七様。お話牙出来ない乃出したら『出来ない』斗仰いましょう。
 ここはわしが代わりに話す」
 いや、この際だから--名無しに口を抑えられる七。
「七は他者と上手くお喋りが出来ない。だったらこの際ツクモノカミが代弁してくれ」
「了解した。わし端代弁出来る範囲出話せばいい。そうだな、『どうして七様自身を戦場に送る?』尾。
 答えて下さい総司令官」
 星央は椅子に腰掛けると何の仕種もせず自然に答え始める。
「戦いは現在も行われている。そして我々国家神武はアリスティッポスから来た銀河連合に押されているのだよ! 今は膠着状態で何とか持ち堪えてはいるものの、いずれこちらは全滅する。時間と共に!」
「時間斗共似。真鍋傭兵団尾使って模不利端変わらない斗端!」
「本当はもっと軍者を送りたい! 性能の良い包丁や望遠刀を使いたい!
 けれども時間はそう簡単に自分達を潤してはくれない! だったら自分達が決定した事は--」
「戦意高揚尾兼ねて七様尾出す乃科」
「そうゆう事だ。七は誰もが認める仙者。そして誰もが認める際に乏しい雄。
 普通の判断なら自分だって七を送らない。その意味を理解出来たか?」
 出来ないけど--七の口を抑えながら名無しは呟く。
「成る程。だから逃げ道を塞ぐ準備まで」
 え--塞ぎきれない部分から七の驚きが漏れる。
「『え』じゃないだろ! どうせお前はここから逃げるつもりでいたのだろう? だったらこちらからそれを塞げば死ぬ気になれるじゃないか」
 腰砕けにならないよ--名無しの手を振り解いて両手を広げながら星央に詰め寄る七!
「自分はいつだって本気だ! 『最初から背水の陣をやらない』という質問に答えてやる!
 お前のお陰だ、七!」
 それは言えてるんだよな--七以外全員はその場で何故か納得
「僕は戦うくらいなら--」
「それ以外思いつかないお前にこれ以上話し合いをしない。
 とにかく自分が命令する! これから自分も含めて全員銀河連合全てを倒すまで前進するぞ!
 いいな?」
「「「「「「おおう!」」」」」」
「僕は絶対戦わないぞ!」
 星央は齢二十九にして六日目になるアリスト犬族のピーター・プートから渡された神武包丁『わに兵衛』を左腰に掛けて陣へ出ようとしたが--
「大変でえ! 最高官天同星央様はいるでろう!」
 齢二十三にして二の月と二十二日目になるエピクロ隼族のハヤッタ・ハルトマンは頭上より斜め上まで近付く!
「ここにいる! どうしたハヤッタ! 血相変えてまでここに来るという事は何かあったのか!」
「実はレインズ・キングレイ経由で伝えなくてはならないことがあろう!」
 早く言え--催促する星央!
「美智琉様の陣痛が始まったんでえ!」
 何--両眼を可能な限り広げる星央!
「真実か?」
「あっしの言葉が信じられないのなら直接会って下せえ! 美智琉様は星央様が来ることを望んでませえ!」
(行くべきか? けれどもここを離れて万が一にも八弥と七を危険に晒せば--)
「聞いたぞ兄貴。さっさと美智琉の所に行けって!
 後は俺と七、それにツクモノカミが全て倒してみせるからさ!」
 そう言って星央の前に現われた八弥。
「八弥兄さん! ここに来て大丈夫なの!」
 お前が言える口か、七--右拳で頭を小突く八弥。
「全くこうゆう時に限って……いいだろう。
 ただし、必ず生きて帰れよ!」
 星央はそう告げるとハヤッタの両足に掴まる--重そうにしながらもハヤッタは首都ボルティーニへと羽を伸す!
「そう言えば背水の陣になってたね。で、でもハヤッタの力じゃあ墜落するわ!」
「心配無用だアアス。こんな事もあろうかとわしは戦場で支援を行う武内鷲族のワッシンに命令したアアス」
 八弥が現われた所から顔を出すタイガーフェスティ。
「じいちゃん何やってるの! ってか本当にワッシンおじさんが来る訳--」
 その時、ハヤッタの後ろを追う一羽の鳥が現る--齢三十九にして二十九日目になる武内鷲族のワッシンがハヤッタを助けるべく星央の両肩に両足で掴む!
 ワッシンとハヤッタ--二名の共同作業で星央は愛する妻の居る首都ボルティーニへと飛んでゆく!
(二名がいても到着するまで短くて一日と十の時はかかる! けれども妻は向かっている時でも苦しんでいる! 早く自分が来て慰めないと!)

 三月六十五日午後六時零分十二秒。
 場所は国家神武首都ボルティーニ中央地区天同星央の館。
 星央はワッシン及びハヤッタと別れるとそのまま美智琉の居る寝室へと五月蠅く飛び込んだ!
 すると--
「美智琉!」
 そこには元気な赤ん坊に母乳をやる美智琉の姿があった。
「旦那様! ご、ご無事で何よりです!」
「自分はいい! それに何よりも美智琉が無事な事と元気な子が出来て嬉しい限りだ!」
 おとっさあ--星季は跳ねながら星央を呼ぶ。
「元気なえっと……この子は--」
 雄の子よ、あなた--美智琉は微笑みながら星央に伝える。
「そうか。やはりこの子は……仙者だな。
 えっと雄の子なら名前は自分が決めても……良かったかな?」
「雌雄関係なくこの子の名前を決めると言ったのはあなたじゃないの?
 だったら決めてね。別に仙者とかそうゆうのに偏らず」
 星央は星季を抱きながら名前を考える。
(『星風』? 『星晃』、何かしっくり来ない。どうする? この際『星王』でもいいか? それでは母上と七の二の舞いだな。
 うーん、うーん……そうだ!)
 星季を抱きかかえながら星央は--
「『輝星』……自分はこの子を『輝星』と名付ける!」
 この星に新たな仙者が誕生--その名は輝星きせい
「『輝星』……『輝く星』という意味かしら?」
「勢い余って名付けてしまったよ。本当は君の名前も含めたかったよ。どうやら戦場
が心配でついつい--」
「気にしなくていいわ。それに『輝星』はそんな名前を付けられて喜んでるわ、ほら!」
 美智琉は母乳を飲み終えて眠りに就く輝星を見せた--まるで星々を輝かせるか
のような寝顔だ!
「きせー、きせー」
「合ってるぞ星季。この子の名前は輝星だ!」
 星央はこのままここに留まる気でいたが、砂丘で戦う者達の心配のようだ。
「済まないが美智琉、星季、それに輝星。自分はこれより--」
「口を挟んで申しわけありませんが、旦那様の部下であられるワッシン様からの伝言
を承りました」
 何--星季を降ろして美弥の方に振り向く星央。
「『櫛玉砂丘の戦いは終わりました』との伝えを」
 本当なのか--星央は近くにワッシンが居ると感じて裏門より出る!
「ワッシン殿! 居たら返事してくれ!」
 すると本来は戦場に戻っているはずのワッシンが星央の目の前まで降下する。
「本当だっし。わしは信じられない想いじゃっし。経由は飛遊雪穂より弟の飛遊悠輝
に伝わる故信頼性に欠けるが」
 ワッシンも星央同様に情報を疑う--自分が離れて一日足らずで戦いが終わる
はずはないと踏んでいた。
「済まないが自分はこれより中央官邸へと向かう! そこなら情報が纏まるからな!」
 送りまっし--星央はワッシンの気遣いに首を横に振る。
(その後自分は中央官邸に向かうと官房長官ログホラーニ・メデリエーコフから戦闘
終了が真実である事を改めて確認出来た。それによると銀河連合は一体どうゆう
理由かは定かではないが七が出撃するのと同時に撤退をした。これを意味する所
は戦場にいる全ての者が疑問文を出す程だ。勿論バルケミンの娘も同様だ。
 まあ後で考えるか。今の自分は探訪の息子が出来て胸が躍るんだしな! 自分
はこの幸せを大事にしないといけない!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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