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一兆年の夜 第三十八話 三兄弟物語 星々が輝く世で(三)

『アリスティッポス大陸。それは国家神武にとって最も取り返したい場所。あの大地
が銀河連合の物になったのはいつだろうか。母に聞いても曖昧に答えが返ってくる
だけ。僕にはさっぱりだよ。だから僕はこう想像してみるよ。あそこは僕達の先祖の
姉、生子様が死んだのと同時に銀河連合に渡ってしまったと。うーん、この場合は
学者一族の一つであるバルケミンから聞いてみよっかな。あそこには僕の友者も居
る事だし。そうそう思い出したんだけど僕の親友である色葉七不思議がアリスティッ
ポス大陸からやって来た銀河連合を倒すのに参加してるらしいんだ。僕よりも二つ
年上でなおかつ先祖代々から続く望遠刀の名手なんだ。いやこの場合は武器使い
の名手の方が正解かな。どうでもいいか。とにかく僕は兄さん達が無事に帰ってくる
事を願う。でないと母が悲しむし、美智琉姉さんや美弥さん、それに姪っ子の星季
ちゃんや今度産まれてくる甥っ子が悲しんじゃうしね。僕は安全な場所からこんな事
書いていいのかな』

 三月五十九日午後十時七分八秒。
 場所は西物部大陸ニギハヤヒ地方櫛玉砂丘。西物部大陸で唯一の砂場。
 本来なら極冠の大地からはるばる上陸する銀河連合の方が圧倒的不利と考察される戦場。
 ところが戦況は大きく異なり、こっか神武側の死者が多数を占め、戦いは二十四日目の夜を迎える事になった。
 この日の天気は雨で足場は更に安定しない状態であった。
(この大地に上陸する銀河連合はほぼ全てが種子型。奴等のやり方は時を追うごとに巧妙化が進んでゆく。自分がこの戦場に来れば士気の高揚で少しは良くなると期待していたが、付け焼き刃でしかなかったとは!)
 面積にして成人体型にしておよそ二百の陣幕が張られた陣の最奥で鉄製の椅子に腰掛ける指導者--国家神武最高官天同星央は右手親指の爪の甲を顎に付けながら悩む。
 その様子を右横に座って見守る副司令官--齢四十五にして十の月と二日目になるルケラオス虎族の老年が口を開く。
「総司令イイス。各地域に配属されておられる鬼族の者全員を招集するべきじゃないでしょうかアアス?」
 遠すぎよう--左横に座る齢二十四にして七の月になるゼノン燕族にして参謀総長シュトラウス・ベンデルウムが反論。
「でもオオス、このまま膠着状態が続けば確実にわしらは全滅するウウス。わしがもっと若ければ種子型の一体や二体なんて--」
「タイガーフェスティ殿。過去の自分を誉めても戦況は変わりません。それは即ちこの場に『自分の先祖の姉君であられる生子様が入れば数の問題はすぐに解決出来る』と言っているに等しい。なので自分達は時間と共に進む以上は時間が進む内に銀河連合を倒してゆくいかないのですよ」
「その通りであられる。タイフェス翁、ここで私はある提案をされよう所存で御座いましょう」
 提案--その場にいた二名はどんな話か耳を近付ける。
「そろそろ七様を戦場に送られては如何でしょう?」
 七を戦場に送る--分け隔てのない星央はさすがのシュトラウスの提案には耳を疑う。
「参謀総長シュトラウス、もう一度聞く。何て提案した? それに理由も平行に聞かせるんだ!」
 今にも羽ぐらを掴みそうな勢いの星央はシュトラウスに迫る!
「仙者である七様は現在神武鬼族のカゲヤマノツクモノカミから包丁捌きや棍棒捌きの手ほどきを受けておられよう。よろしくて弱い銀河連合二体ぐらいなれよう初陣の七様であれば倒せるでしょう。それに七様が初陣なされる以上兄君であろう八弥様……いえ副防衛官も戦場で七様を死守するるべく奮闘してくれましょう。
 生意気で罪深い事は覚悟の上でろう! よろしくて、星央様に殴られるのを承知で提案されよう!」
 シュトラウスの覚悟ある提案にはタイガーフェスティ・佐々木のみならず星央も爆笑した!
「何がおかしいのでしょうか?」
「いや、参謀総長に一本とられたから笑った。自分もまだまだ、あ、甘いんだなあと自覚された! 見事だよ、シュトラウス殿。
 だがこれだけは真面目に言っておく。七を戦場に送った以上はこちらも手を打たねばならなくてはいけなくなった!」
 手を--どうゆう事をするかを質問しようとするシュトラウスだった。
「これはわしが若い頃から行ってきた馬なのか鹿なのかわからん戦術じゃアアス。いいかアアス、こうゆう事じゃアアス。
 まずは--」
 成る程--シュトラウスは納得する。
 こうして三名は一刻も早く戦いを終わらせるべく行動を開始。
(速く伝えるものを三名程呼ばないと! 生きてるか、ハヤッタにチーチャル、それにモグ正殿!)

 三月六十日午後十時八分八秒。
 場所は西物部大陸プラトン地方国家神武五生市第三西地区鬼通り。その中で一番大きな一階建ての木造建築。
 そこでは神武人族の天同七が齢二十五にして一の月と二十五日目になる神武鬼族のカゲヤマノツクモノカミから三の時もかけて稽古を受けた。
「づか、でだ……」
「今日端ここまでじゃ。それにしても七様端いつ似なったら上達乃芽牙出る乃出しょう科?」
 呆れ顔になりながらツクモノカミは七を心配する。
「多分、明日、には--」
「今似して下さい。成長端生命それぞれです牙、七様乃場合端わし乃修行尾受けて十乃年。七様乃現在出いう齢くらい科羅稽古尾付けている乃似成長しません。このまま出……ん?」
 正門へと入る音に気付いたツクモノカミは背中に背負っていた金棒を右手に構えた!
 誰だ--それに応えるようにツクモノカミの正面より人族の雄が二名分入る位置に齢二十六にして五の月にして二日目になる武内人族の名無しの女性が身体を屈めていた!
「お前端医療班乃者科!」
「年上の者に『お前』呼ばわりなんて礼の欠く雄ね。私は総司令からの命令を伝えに来ました!」
 命令--七とツクモノカミはどうして総司令官天同星央が蚊帳の外である自分達に命令するのかを理解出来ないでいた。
「天同七様及びカゲヤマノツクモノカミには一秒でも早く櫛玉砂丘にある司令部まで来て下さい!
 これは最高官及び象徴である星央様の緊急招集で御座います!」
 ええ--七はどうして自分が戦場に向かわなければならないかを理解出来ない。
「あ、あの、櫛玉砂丘ってどこ?」
「その質問似答える前似まず端名無し余。どうしてわしだけ出なく七様尾戦場似出そう斗お考え科奈?」
「さあ? 私は武内土竜族の美堂モグ正さんを経由してここまで命令を伝えたんだよ。訳を聞きたいならモグ正さんに会うか、そうでないなら直接総司令官に会うしかないわ!
 以上なので私は元の配置場所に戻るわ!」
 名無しが振り返ろうと身体を動かす前に七が口を動かす。
「御免、美女のお姉さん。僕はツクモノカミだけじゃあ安心出来なくて仕方ないんだよ。だからせめて星央兄さんに会えるまで一緒に付いてきて欲しいよ」
 は--七の意外な言葉に名無しは返答に困る。
「済まない奈、名無し余。七様端突然言い出す癖牙あって困るだな。
 けれども一理端あるだろう?」
 一理--名無しは高貴な者とはいえ七に対して何かしらの心配を持った。
「ま、まあ七様の齢から考えれば突飛な事を言い出さないともわからないし……もういい!
 じゃあ私も同行するわ! で、でもこれだけは覚えてね! 総司令官に会うまでだからね!」
 わかった--七は満面の笑顔で答えた。
 こうして七は武の師匠であり、付き者であるカゲヤマノツクモノカミと医療班にして名を捨てた女性と共に二名の兄が今も戦う櫛玉砂丘へと足を進めた……!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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