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一兆年の夜 第三十六話 弥勒菩薩を待ち侘びて(七)

 午後十時零分一秒。
 場所は巨勢集落酋長邸一階寝室。
 部屋には五名居た。先程まで鉄風呂に入ったマンマミーとそれを沸かしたミスティーが一の時より前に部屋へと入った。
 彼等を呼んだのは酋長ムカッヒ。武内百足族の老年。跡取りは居なくて代わりに養子であるミスティーを次期酋長に選ぶ。
 ムカッヒは四名の前である伝えを聞かせる。
「今から限りなくククく未来にして遙かなる記憶の世かカカからお伝えだと思われるのじゃ。そうじゃジャジャじゃのう、神々が神々でなかカカかったお話から伝えようか?
 いや意味不明瞭ウウうじゃの。我々が置かれている状況がガガが好転する予言をヲヲを伝える方が良いじゃろうかの。それは恐らく銀河連合と思われる存在がガガがこの星にニニに降るのと同時期じゃった。当時の酋長ムカッテコじゃジャジャじゃったかな? わしの先祖があアアある予言をヲヲを聞いたのじゃ」
 既に言い伝えを聞いていたミスティー以外の三名は息を呑んだ。
「それにニニによると『これから一兆年もの遠すぎる時の流れで我々と災いは戦い続ける運命にある。災いは我々の行いを利用しながら災いを広げてゆく。一方で我々も只倒されてばかりでいられない。ある者の行動で戦う術を身に付けると瞬く間に反抗を開始する。これ以降は鼬ごっこの如き戦いの世が展開される。我々は災いを倒す為に力を求め、災いは我々には及ばぬ方法で我々を食らってゆく。それは星の中の戦いに留まらず、星々を巡る戦い、星の集合体同士の戦い、果ては宇宙を巡る戦いへと広がる。それは一兆年という長い年月をかけて行われてゆくのだ。ここで極めつけなのが一兆年が経った後なのだ。そこである者が誕生する。その者こそ悠久にも及ぶ戦いを終わらせる存在を放ち、世界を現在のあるべき姿へと進ませてくれよう』これが現在もモモも集落に伝わりし予言のノノの内容じゃ」
 短くもそして理解不能な予言を聞かされた三名は三様な反応を示す。
一兆年が引っかかるじゅう! あの一兆年という意味は只一兆年経つという意味にならないはずじゃあ。ICでは一年は四年と閏日に等しいと聞くじょお。そのIC暦による一兆年なら一体どれほど我々は待つのじゃあ?)
「確かに予言は当たってるナア。戦いを始めたのハアベアール・毛利というプロティ熊族のオ少年だア。あの方が居なければ俺は今頃軍者ニイなってないからナア」
 べア彦は戦いを始める予言の方に着眼--それ以外に興味を示さない様子。
ある者トハ誰でょうか? カンガルー族ですか、それとも仙者ヲ輩出する人族ですか?」
 一方のマンマミーはある者に着眼--父同様に格好付けたがりな者は状況を一気に好転させる存在に興味津々だ!
「何度聞いてもおじいちゃんの予言は理解不能ね。大体最後の一文『世界を現在あるべき姿へと進ませてくれよう』なんて想像出来る? 抽象だとか規模が大きすぎるとかそんなもので言い訳しているに決まってるわ!」
「全くミスティーとトトと来たら。まあ信じないのノノのも無理はない。若い者に理解させる方がガガが難しいものを只説明させる事はハハは単純じゃないからのう」
「老年のわしでも解らんじゃあ。これは一重に年齢が足りないせいじゃあ?」
「百の年も生きられるとトトと思うかの?」
「生きられんナア。どうせ負け熊がア生きているのも神々ノオ褒美として--」
 突然扉が開く--そこから血相を青くした二名の雄が現われた!
「馬族のギャロウンとトトと子守熊族のコアラン。どうし--」
「どうしたあのこううしたもなああいだろうがあ! 土砂がこっちいに来るんだああ! 急いいで脱出してえ下さい酋長とおおミスティー、それにい旅の方々よお!」
「土砂だトオ! ドレエくらいの規模だ!」
「集落をっこ丸ごと呑み込む規模だよ! だからっこ急いでっあ脱出して下さいな!」
 それハ大変だ--マンマミーだけでなくべア彦はギャ論と呼ばれる中年とコアランと呼ばれる青年に誘導の元駆け足で集落を脱出してゆく!
 一方残った三名の内一名は--
「わしはここにニニに残ろう」
「おじいちゃん何言ってるの! 死んじゃうわよ!」
「遅かれ早かれわしはハハはもうじき死ぬ身じゃ。それならば神々の文字でデデで記されたこココこの部屋と運命をヲヲを共にするのもモモも良いじゃろう」
 コブ吉はムカッヒから溢れる何かを感じた--それは即ち死を受け入れる覚悟から放たれる生者の叫び!
「死んだら一生会えなくなるのよ! そんな想いを四度も受け入れたくないわ! だからお願いだから早く--」
「お嬢ちゃんじゃあ! 酋長の言葉に従えじぇえ! あの老年は死にたくて死ぬのではないじい! 悠久を生きる為に死を受け入れるんじゃあ!」
 何を言って--コブ吉は強引にミスティーを背中に乗せると扉を破って待っていたコアランの指示に従い脱出する!
「同じ老年じゃからララら理解出来るものか。その通りじゃ。悠久を生きる為にわしは肉体かカカから解き放たれるのじゃ。会えるまでにわしはハハはわしでデデで居られるかのう?」
 やがて部屋は何かに押し潰されるように崩れてゆく--部屋に残るムカッヒさえも平等に

 午後十時二十分八秒。
 おじいちゃん--誰かを助ける為にミスティーは無謀にも集落へ向かって走る!
「油を断つ間にあんな所まで……ってあれは--」
 コブ吉以外の誰にでもわかる原形を留めない木材の集合--真っ直ぐミスティーに迫ろうとしていた!
「あノオ小娘を死なせてたまるカアア!」
 べア彦は低姿勢から後ろ右足を蹴って加速--すぐにミスティーの所まで辿り着く!
「べア彦さん? 何を--」
 こうスウルに決まってるだろうが馬鹿牝がアア--べア彦は前右足でミスティーの襟首を掴むとマンマミー目掛けて放り投げた!
「きゃわ! あ、あれは……早く--」
「ごめんミスティーさん。間ニ合わないよ」
「どうやらここで幕引きのようだナア。後は--」
 木材の集合は情無きにもべア彦を呑み込んだ
『どうやら悠久を生きる覚悟をしたのは酋長だけではなかった。真鍋べア彦もまたその
内の一名であったとは。果たして最後まで彼は負け熊だったのか? わしは異なる見
解を示そう。彼は最後に勝ち熊となった。でなければわしはどこに彼の死から目を背
けよう。彼の残した者は必ずや我々生命が果たしてみせる。
 話は明日の朝に移る。酋長の死を認めないミスティーはどうゆう訳か我々と同行する
事を決めた。<集落はどうした>とか<責任あるのか>という意見が集落民から出る
のう。じゃが生き残った一名で最も長生きな武内蜘蛛族のタランティーノンの鶴族に
似た一言で皆が黙認。こうしてミスティーは旅の道連れとなり、目的無き目的の同行者
となってしもうた。
 集落はどうなったかはタランティーノン指導の下、復興が始まる。朽ちた物を再び治
すのはわしの寿命でも可能な作業じゃないのは目に見える。じゃが彼等ならそれが出
来るとわしは思っている次第じゃ。何故ならあの酋長の下で暮らす民じゃ。出来ない道
理ではないのじゃよ。
                                    十二日目の悠久なる朝じゃ』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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