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一兆年の夜 第三十四話 袋の鼠(五)

「何というこちゅだ! 張忠太達が見ちゅかってしまったぞ!」
「あわわ、猫型、豹型、カラカル型、サーバル型、コドコド型……うわあ、更にオラを襲ったピューマ型までいちゅよ!」
 六体は二つの三角形を交差した文字を描くように配置してゆく。
(全体集合といちゅわけじゃな。他にも銀河連合いちゅのかな? とにかくわかちゅことはわい達に逃げ場はないのか!)
 六体は一瞬も逃さないつもりであった--サムソン達の視線に合わせるように剥き出しの目で捉えてゆくように!
「あなた達が見る世界と妾達が見ちゅ世界……。果たしてどちらがより真実を映し出ちゅのでしょう?」
「姉さん! そんな詩的なこと言っても誰も記憶出来まちゅんわよ! みんなネコ科の銀河連合の腹に入ちゅかも知れないのよ!」
「うわあああ! もうおちゅまいだああ!」
(チュウ太郎に救われちゅ命をこんな所で無意味に散らすのか! 諦めるといちゅのか?)
 誰もが諦観の雰囲気を出していた--只一名を除いて!
「サムソン・チューバッハにフランシチュ・ドヴェルスにチュンナ・カテリウォットよ」
「何かちゅら張君?」
「ボス! どうちゅたんだ、いきなり?」
「はいボス!」
「あのお、オラのこと忘れてませ--」
「ただ一つだけ切り抜ける方法を思いちゅいた」
「「「「え?」」」」
 四名は合わせるように声を出す--それぞれ鋳汰に心配そうな表情を向けるように!
「そんな顔をちゅるな。このキュプロ学校主席張鋳汰の言うことはいつだっちゅ正しいのは知ってるだろうに!」
「ボス! いくらボスでも今回だけは切り抜けられないわ! 姉さんの持っちゅる縄で何とかするの?」
「物を使うほちゅ感受力の乏しい張鋳汰ではない! 決まっちゅるだろ、この張鋳汰自身が脱出口だ!」
 張鋳汰が脱出口--その言葉には四名だけでなく囲んでいる銀河連合達も困惑する!
「何言っちゅるんだボス! それで銀河連合を困惑させても一瞬だよ! 脱出口にも何にもならないぞ! 腰砕けもいい--」
「ところでサムソン・チューバッハ」
「な、何だよ! 何か聞きちゅそうだけどどんなこと聞ちゅんだ?」
「銀河連合が入ってくるまでにサムソン・チューバッハは思いついたこと有るんちゅないか?」
「はあ? そんなのあるわけ……ん?
 そう言えばあるような?」
 サムソンは何かを思い出そうとしていた。チュンナは黙って彼が思い出すのを見守り、フランは鋳汰が自らの命を捨ててでも皆を助けようとしているのを感じて己自身も何かをしようとしていた。
 残るチュミシタは自分の命が危ういのかサムソンに向かって大声を荒げる。
「もう思い出さなくちゅいいよ! もうみんなお終いなんちゅあああ! 食われちゅんだああ! 骨にされちゅんだああ! もう、もう--」
「静かにちゅろヤマカゼノチュミシタ!」
 はい--とまるで別者のように静まりかえるチュミシタ。そして--
(そう言えばどうちゅてまだ襲わない? ここで襲えば……いや何かを思い出してきたぞ!)
「ようやく思い出ちゅたか?」
「ああ、わいは『世界観補正』という仮説にちゅいて思い出したんだよ! あれに--」
「それ以上は銀河連合に知られちゅしまう! これより張鋳汰は六体を惹き付ける!」
「待ってくれボス!」
 制止を振り払うように鋳汰は前方にいるサーバル型へと突っ込む--鼠族独特の鉄を擦る音に似た叫び声を上げて!
「無茶だわボス! このままじゃあ--」
「行きまちゅう三名とも! 張さんの覚悟を無意味にちゅないで!」
「で、でもこのままじゃあボスが--」
「いや行くんだ! ボスはあんなんで死ぬかよ! わいが言うんだから間違いないんちゅよお!」
「本気な……わあ引っ張らないちゅよ姉さん!」
「銀河連合が油を断ちゅ一瞬を狙わないと妾達は生きられない!」
「今がその時ちゅあああ!」
「サム兄がオラを引っ張っちゅるよおお!」
「それでいい……っどおわ!」
 鋳汰はサーバル型の周囲を動きながら時間を稼ぐ。他の銀河連合は一瞬の油断ちで包囲網を突破されたもののサーバル型を無視するようにすぐに四名を追う!
「なんでオラ達を追う? サーバル型が死ぬかも知れないっちゅのに!」
「出入り口まで後少しといちゅ所で! このままでは--」
 二度目の鼠の叫び声が響く--今度は仲間の耳を傷つける覚悟で部屋の外にまで揺れを起こすほどの勢いで!
「耳に宜ちゅくない……けど張さんの覚悟は受け取っちゅわ!」
「ああ、わたい達を追っちゅる五体が一斉にボスの方に!」
「ボス……これでいいのでちゅかい!」
「いくら何でもボスは真鍋傭兵団出身じゃないんだよ! 鼠と猫じゃあとちゅも相性は--」
「相性がなんだって……があああ、後ろ足チュアハアガアア!」
 鋳汰はとうとうサーバル型に後ろ右足を食われ、身動きがままならない状態で他の五体によって欠片残さず食われてゆく……!

 未明。張鋳汰の死から一の時が経過。
 十字架のある煌びやかな天井窓がある部屋。窓には光が差し込む。
「といちゅことは今はまだ昼頃かしら? この光量から考えまちゅと」
「もう昼でも夜でもいいよ。オラ達の大黒柱がもういないんだよ。ここからどうやって脱出ちゅるんだよ。サム兄の薦めでここに来ちゅけど、どこに脱出口があるんだ--」
「チューバッハ君? もしかして窓を傷ちゅける気? 無理だよ! あの窓は固そうだわ」
(確かに無理だ。あの窓を破るには屈強な種族でなおかちゅ筋肉鍛錬を怠らない者。わい達にはちゅれは当てはまらない。でも破る方法ならここにあちゅよ!)
「サムソン君。ひょっとして私が持参した縄と十字架、それに連結椅子を使って破るちゅもりでしょうね?」
「やるちゅもり? 神様に対ちゅて罪深いよ!」
「肝試しをしながら更には二名を死なせちゅわたい達が今更神々に敬意を払う資格あちゅ?」
「やらないことには始まらない! わいはもう誰も死なせちゅくないんだよ! さっさと始めちゅぞ! 銀河連合はわい達を待たしちゃちゅれんのじゃ!」
「ええ、妾はあなた達を最後まで守るわ。でないとエピクロの地で待っていまちゅ婚約者に笑われまちゅわ!」
「フラン姉もわたいと同じく品行が宜ちゅくない雌だわ。わたいも生きないと死んだ田中さんに申し訳ちゅかないもんね!」
「それにしてもこの十字架はどうやったら外ちゅるかな? 物は試しようだと誰かが言っちゅたな!」
(フランさんにチュンさんにチュミシタ……。
 わいらは絶対にここから脱出ちゅなければいけない! でないとここに眠るであろちゅ神々に申しわけがつかない! 今行くよ、チュウ太郎にボス!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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