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一兆年の夜 第三十四話 袋の鼠(三)

「のわあああ!」
 三名の真下は突然開く--床は開閉式と成っており一定の体重になると重石は崩れ、そのまま下の方に開く構造だった!
「張鋳汰ともあろちゅ雄がああ!」
「銀河連合の考えるこちゅを甘く見た罪だわ!」
 三名は成人体型八はある穴に落下してゆく!
「「「あいでええええ!」」」
 浅い穴だったのか三名全員は気絶せず打撲で済んだ。
(イデデデ。銀河連合は襲ってくちゅと当たり前に思いすぎた!
 あいつらはいちゅだって--)
 我々生命体の考えることの真逆をゆく--思考したと同時に床は自動的に閉まってゆく。
「さちゅないわよおお!」
 チュンナは真後ろにある壁をよじ登って元いた場所に戻ろうとするも結局間に合わなかった--彼女はそのまま落下し、背中をぶつけた!
「いだああ! 全く雌をこんな目に遭わせちゅ銀河連合なんて絶対好きにならないんだからね!」
「大丈夫なの、チュンちゃん?」
「心配ありがちゅう……いだいわ。いつだってチューバッハは優しいんちゅから」
 サムソンはチュンナに優しさをかけるのは別に誰に対してもではなかった。
(わいはチュウ太郎の代わりなんちゅ務まるのか? できっこないよな。わいはチュウ太郎と異なり頭は良くない方だちゅ。それに潔癖ちゅは程遠い雄だもんな)
 サムソンの悩みを看破したのか鋳汰は--
「サムソン・チューバッハ! 悩みはここを無事脱出したら聞いちゅやるから!
 今はどうやってここを脱出するかを考えるんだ! 例え考えが回らないサムソン・チューバッハであっちゅもだ!」
 と本者は励ましたつもりでいるようだが余計な一言がなければサムソンの額に汗は流れなかったであろう。
「全く雄達はだらちゅないのね。姉さんが見たらどう思うかな?」
「ええ。姐御は絶対に遊んできまちゅね!」
「フランシチュ・ドヴェルスはいいだろう。今はどこに脱出口があるかを見ちゅけることが先決だ!」
「わいとちゅてはフランさんの他にもチュミシタがどう思ちゅかが心配じゃ」
「オラはいつものサム兄とボスだなあと思っていちゅけど。それがどうちゅたの?」
 ならいいか--と鋳汰は鶴の一声で脱出口を探しに三名を牽引する--何時の間にか合流した齢十八にして七の月と七日目になる神武鼠族の少年ヤマカゼノチュミシタに気付かない振りをして。
「あのお? オラのこちゅ忘れてる?」

 未明。
 場所はサムソンが連行された場所より下にある真正細菌族が蠢く土の上。
 チュミシタは二十の分かけて今まで自分がどこで何をやっていたのかを説明。それによるとヤマカゼノチュミシタは目覚めてすぐに銀河連合ピューマ型に襲われて何もない真っ直ぐな道を只ひたすら走っている内に穴に落ちたとの事。
「それで落ちはあちゅの? チュミシタの相手をちゅるほどわたいも暇じゃないの」
「二十の分かけて説明ちゅたのにこの扱いはないよ!」
「チュンナ・カテリウォットとヤマカゼノチュミシタは五月蠅いぞ! 今は脱出口を探すこちゅから始めろ!」
「ちゅとよ、チュミシタ」
「はあ……あれ? ところで田中兄は? 難聴で有名な田中兄がチュンナ姉を置いてどっか行くはちゅないのに!」
 田中チュウ太郎--彼の名前の一つでも耳に入ると三名は険しい表情をする。
「チュウ太郎はここには連行されちゅないよ。わいが言うんだちゅら間違いないって!」
 誰でもわかる真実味のない言葉--けれどもチュミシタは気付かないのか--
「そうか。それならこの場にいないのもよくわかちゅな! きっと入口付近でオラ達を助けちゅ為に健闘してるんだよ、きっと!」
 と自信満々に意味不明な事を言った。
「今は田中チュウ太郎の分まで張鋳汰をはじめとちゅた者達が生きねばならない!
 それにしちゅも行き止まりが多いな、この部屋は!」
「いえ、この広さちゅかないわ。下の区画は」
 成人体型縦二十、横十四、高さは八。地面は真正細菌族が活発。
(地面を掘って脱出出来ちゅのか? わいは土竜族や蚯蚓族じゃないから無理ちゅよ)
「肩車で届く高さちゅないよ。だってオラ達の平均身長は成人体型コンマ七に満ちゅないよ」
「寧ろ鼠族の平均身長ではコンマ二ちゅらい大きいわよ」
「張鋳汰達の身長はいいちゅろ! 今はどこに脱出口があるかさがさ--」
「……えちゅ?」
「探すと言われてもわい達が落ちゅた所の他に穴のあるのは反対側だ--」
「……こえちゅ?」
「この声は--」
 二度目にしてようやくチュンナは気付く。
「聞こえちゅかしら?」
「姐御の声がすちゅけど、上かな?」
「そうよ! 早くちゅないと食べられるわよ!」
「フランさんか! といちゅことはわい達と反対側の--」
「今開けちゅわ!」
 反対側の穴はゆっくり開いてゆく--向こう側から齢二十二にして八の月と二十三日目になるエピクロ鼠族の女性フランシチュ・ドヴェルスの凛とした美顔が見えた!
「フランシチュ・ドヴェルス! 相変らずお美ちゅいな!」
「『総合名で呼ばないで』と言ってちゅでしょ? 学習ちゅないわね、張君は」
「姉さん! 生きてちゅのね!」
「妾はそう簡単に死にま……いいから早くちゅて! 銀河連合が来たらどうちゅるの?」
「そうは言ってもどうやっちゅこの張鋳汰達を助ける?」
「『張でいい』と何回言わちゅるの? 覚えやすいのはわかちゅけど」
「何呑気な事言ってちゅんですか、姐御! どうやってオラ達を--」
 助けるんでちゅか--と同時に縄が投げ込まれた! 取っ足はフランが利き前足である右で握りしめていた!
「ありがちゅう姐御! じゃあ早速--」
「待て! 先にチュンナ・カテリウォットから引き揚げろ! 常識ちゅろ!」
「ええー! 公平じゃないよ!」
「『ボスの言うことはいちゅだって正しい』とチュウ太郎ならちゅう言うぞ!」
「じゃあお言葉に甘えちゅ!」
「せえの……はああ!」
 フランは見た目に反して力持ちであった--瞬く間にチュンナを引き揚げた!
「二名揃ったのなら三名同時でも大丈夫だろ?」
「無茶言わないちゅよ、張君」
「そう言いながら本当に引っ張ろうとちゅるのね。さすがは姉さんだわ!」
「急がないと銀河連合が食べに来ちゅから仕方ないのよ!」
 フランとチュンナは阿吽の呼吸で両前足でしっかりと掴む三名を同時に引っ張り上げた!
「ぶはああ! 何とか助かっちゅのう」
「サムソン君は時々親父言葉にならないの。雌の子にもちゅないわよ」
「フランさんの説教癖も治ちゅた方が良いんじゃない?」
「そこまでにしろ! どうやら張鋳汰達以外の物音がした! 急いで隠れちゅぞ!」
「いきなり隠れろといわ--待っちゅよおおお!」
 出遅れたチュミシタを含めて五名全員樽や木箱の中に隠れた! すぐ後に銀河連合二体が部屋の中に入ってゆく。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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