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一兆年の夜 第三十三話 蛙の子は蛙

 ICイマジナリーセンチュリー九十六年二月百七日午前八時二分九秒。

 場所はエウク山標高成人体型七百六十五付近。伏流水が湧き出る絶好の場所。
 付近にあるのは二軒並ぶように木製の小屋があった。東側にはとある家族が住み、
西側には得体の知れない何かが住む。
 東側から齢三十にして九の月と七日目になるエウク蛙族の熟女は木製の器を頭に
乗せながら西側の小屋に向かう。その様子を齢三十一にして五の月と十日目になる
アデス蛙族の中年が見つめる。
(あれから八の年かッケロ。俺達夫婦はオタ奈を育てる為に傭兵をやめてエウク山の
伏流水が良く湧き出るここへ移ったんだよなッケロ。八の年は短いと思ったのにこれが
中々長いものに感じたよッケロ。オタ奈の義理の弟ッケロ、妹達の面倒とかオタ実と事
ある毎に喧嘩とかそんな生活ばっかりで短く歳月が過ぎられんかったなッケロ。
 おっといけないッケロ。そんなことよりも重要なのはオタ奈の方だッケロ。
 どうして俺達家族がここへ移り住んだかということだなッケロ。それにはオタ奈が関係
してくるんだよッケロ。オタ奈は銀河連合だッケロ。しかも雌雄がはっきりしないッケロ。
銀河連合という者は両性具有の存在なのかッケロ? それは専門家に任せるとして
もッケロ。
 それにしたってオタ奈が銀河連合というだけでどうしてこんな山奥に住むのかッケロ?
そこが重要ッケロ。銀河連合は我々全生命体が倒さねばならない存在だからだッケロ!
銀河連合は水の惑星に飛来しておよそ三百八十の歳月が過ぎたッケロ。奴等のせいで
死んだ生命は兆を下らないッケロ!
 ある者は流れ星を見ている時にッケロ。ある者は家族と楽しい時を過ごす内にッケロ。
ある者は愛する者を逃がす為にッケロ。ある者は食われる為に命をかけたものよりも先
にッケロ。ある者は部下達の成長を促す為にッケロ。ある者は戦って死にッケロ。ある者
は戦う者と意見を異にしながらも守る為に後押しするようにッケロ。ある者は先祖代々
の故郷を無茶苦茶にされた嘆きの果てにッケロ。ある者は超越しすぎた故にッケロ。
ある者は……もうしつこいなッケロ。とにかく銀河連合は生かしてはならない存在なん
だよッケロ!
 そんな銀河連合を俺達家族はどうして育ててるのかってッケロ? それは俺の妻
オタ実たっての希望なんだッケロ! あいつの気持ちを汲んで俺川上オタ留はオタ奈を
育てようと決心したッケロ! けれども俺達が住んでいたアデス市ではオタ奈を育てる
には余りに苦しすぎるッケロ。現在も傭兵を務めるメデス蛙族の王蛭戸の薦めで山奥の
伏流水が湧き出る場所に暮らすようになったんだよッケロ! 勿論俺達蛙族は水のない
生活環境では干涸らびるッケロ。こうゆう場所はうってつけだし、もしオタ実を埋めた時
の大地の枯れも……いやそんなはずはないッケロ!
 オタ実は絶対銀河連合じゃないんだよッケロ! 元から銀河連合になる訳じゃない事
を俺達夫婦が示さないとッケロ!)

 オタ実が運んだ皿にはオタ奈の好物と思われるエウク山菜が載る。
「さあお食べッケロ、オタ奈ちゃんッケロ」
 オタ実はエウク山菜を部屋の奥でうずくまるオタ奈と思われる蛙族用の衣服を身に
付ける事で剥き出した部分を覆い隠す銀河連合に寄せる。だがオタ実は身体を震わし
ながら食べる事を実行しない。
「そんなに安心出来ない心境にならないのッケロ! 私はあなたのお母さんですのよ
ッケロ。母が子供を恐れさせるようなことはしないってオタ奈ちゃんもわかるでしょっけろ」
 それでもオタ奈と呼ばれる銀河連合は身体の震えを止めない。
「どうやら山菜を食べるよりも先に遊びたいんでしょッケロ! わかりましたよオタ奈
ちゃんッケロ! お母さんはたっぷり遊ばせますわよッケロ!」
 オタ実の言う遊びとは水遊びの事である。彼女はオタ奈の気分を良くしようといつも
蛙族の子供が比較的好きな水遊びをする事でオタ奈に安心感を与えてきた。
 そうして安心しきった後にようやく食事をする。オタ奈に言う事を聞かせるのは一苦労。
 けれどもそれ以上に彼女は養い子であるオタ奈を愛する。オタ奈はしびれを起こし
かねないくらいオタ実の母性本能を擽らせてきた。今日という日の朝も彼女の母性を
刺激してゆく。
「あらッケロ? まだ遊び足らないッケロ? しょうがない子ねえッケロ!」
 山菜を少し食べてはまた水遊びを要求……彼女はすっかりオタ奈に夢中であった。
「ふうッケロ。ようやく食べ終えたわねッケロ。それじゃあ御馳走様の構えをしましょう
ッケロ」
 ごちそうさまッケロ--オタ奈は言葉を一切出さない。それでも仕草くらいはしっかり
出来た。そうして今日の朝食は無事終わる。オタ実は空の食器を頭に乗せるとオタ奈
に背を向けながら小拍子で飛び跳ねていった。
 その様子を覗いて今日も安心してゆくオタ留。彼もまたオタ奈に父性を刺激される
者の一名であった。
(これなら近い将来はみんなに紹介出来るなッケロ。オタ奈は我々と同じ生命の一員
だってことをッケロ!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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