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一兆年の夜 第二十九話 大樹の銀河連合 後篇(五)

 午前七時二分七秒。
 場所はラテス海。海洋種族用中型船。その甲板。
 キキミミノ組副長正岡シ紋。会計オタマン・ジャクソン。医師ギッガーン・ダッジャール。ギッガーンの生徒チャアダ・ロナウジーニョ。
 四名が見つめる先はラテス島海底火山に住み着く大樹型銀河連合。大樹型は現在も異様な雰囲気を甲板まで届かせる。
 堪えきれないのかチャアダが口を開く。
「五名とも生きてるでちょうか?」
「生きてるさッケロ。特にアリゲルダは俺の親友だッケロ。あいつが死ぬようなら大樹型を倒すことなんか出来るかッケロ!」
「立案した我が言うのも何だがい、この作戦の成功率は極めて低い。十割は下回るい。それでも送り出す理由はわかるよない?」
「まさか乗り切れると信じてるのでちゅか!
 無理なことをどうしてするのでちゅか!」
「やめておけ。無理奈羅最初科羅断る。けれども君達二名尾含めて七名牙承諾した理由端藤原海洋出発生した不比等村牙食われる事件。それだけ出端ないだろう?」
 チャアダはギッガーンの言う不比等村が食われる事件について初耳だった。
「何でちょうか?
『不比等村が食われる事件』というのは」
「我が説明しようい。あの事件はちょうど三十の年より前に東藤原海洋で発生した不比等村の住民全員が近辺の島々で死体となって発見された事件い」
「死体! ど、どうゆうことでちゅか?」
「驚くのも無理はないかッケロ。俺が産まれる前の話だから馴染みは薄いけどあの事件でとある有名な種族が途絶えたッケロ」
「どんなしゅ……もしかちて伝説の藤原……えっと?」
 チャアダが頭の中で単語を探す暇もなくシ紋は--
「藤原マス太い。人族のバルケミンい、梟族の蘇我フク兵衛い、鯨族の吉良と並んで最も知能の発達した一族い。彼等の研究成果は歴代毎に違いはあれど全てが他を圧倒する論文ばかりだい!
 我みたいな知識に偏った者でも藤原マス太達の伝統芸能は真似れまい。そう思えるほどにな!」
「熱く語るよう駄奈。彼等乃功績似ついて端語る斗日牙暮れる科羅止め似入る。
 本筋端不比等村牙食われる事件乃方だ。あの事件出死体弧楚見つからなかった牙間違いなく海洋藤原乃血端途絶えた」
「それがどんなに--」
「まだわからんッケロ? あの事件で偉大なる知能の一つが永遠に現われなくなったんだぞッケロ!」
「わかりまちたよ! ってそれじゃあ僕達はこれから他三家の知能に頼らちゃるおえないの!」
「そうなるなッケロ。でも他三家はそれと言って功績が--」
「話を戻すい。その事件がどうしてキキミミノ組が無理に近い頼み事を引き受けざるおえなくなったかい? それはあの事件では不比等村以外で食われたモノがあったい!
 付近にあった海底火山い!」
「ええっ! 何か話が飛んでま--」
「実は不比等村が食われる原因は海底火山が噴火した事にあったい!」
 チャアダの疑問を無視するかのようにシ紋は説明を続ける。
「ちょっとま--」
「五月蠅い! 後で聞くから黙って我の話に耳を傾けい!」
「ということッケロ。副長は一度話し出すと止まらない蜻蛉だッケロ」
「理に尽くちゃない」
 チャアダは下を向く--質問を聞いてくれなくて少し意固地になる。
「火山噴火時はちょうど櫛灘彗星が夜空に現われる日であったい。それが不比等村が食われる事件へと繋がるい。あの噴火は本来は彗星が現われると共に火山活動が大きく活発しなければならない!
 しかし、こともあろうに銀河連合は火山を乗っ取ってしまったい! その結果が予定より遅く噴火したい」
「あ、あの。もう喋っていいでちょうか?」
「いいぞい」
「噴火した事で不比等村が食われたのはわかりまちた。
 ですけど、噴火と大樹型がどう繋がるのかわからないでちゅ」
「ああい、その事についてはオタマンがよく知ってるはずだい」
 話を振られたオタマンは目玉を左右上下に動かす--何から始めればいいか悩んでいる様子だ。
「でッケロ、でッケロ、では三つの学説を簡単に説明しますッケロ。
 まずは仁徳島に住むアデス羊族のメエメエ・メヒイストによると火山にかかる貸借対照表が生命側と銀河連合側を比較して対外火山灰が銀河連合に傾いた為に世界中に大樹型の種子がばらまかれッケロ、それが大樹型へと繋がったという説ッケロ」
「いつ聞いても無理が有り過ぎる説だよい!
 何で経営関係に必要な貸借対照表が地学関係で使用されるのか訳わからんぞい!」
「続いては同じく仁徳島に住む仁徳鬼族の鈴村きね正の説ッケロ。
 それによると海底火山を乗っ取った銀河連合は櫛灘彗星の放つ未知なる力を火山力に盛り込みッケロ、不比等村の住民を死なせると同時に世界中の至る所へと真正細菌型の大きさくらいしかない種子型を風や雨雲に乗せてばらまいたッケロ」
「利似適いそう出何科異なる。そもそもどうして大樹型似変化した乃科牙説明されてない」
「最後は武内大陸に移住したばかりの仁徳人族のフルハタ・バルケミンの怪説ッケロ。
 拠点型の発展を促す為に銀河連合は大樹型をばらまく。彼等が大樹型を造れる理由は別世界で大樹型に関する成長過程を知ったからッケロ」
「確かに怪説でちゅ。別世界なんて僕らが知る訳ないでちゅか!」
「とまあこんな感じで良いでしょうかッケロ、副長ッケロ?」
「会計のオタマンが説明出来ない以上はお手上げだい。
 ただはっきりする事は……」
 シ紋を初めとした四名は視線を大樹型に集中させた。
「……銀河連合なら木にだって成れるい。不比等村を本当の意味で解放するのならあの大樹型を倒す以外に通は無い。いつだって我等は過去に残した宿題を済ませなければならない。
 今がその時だい!」
 オタマンを除く三名の目には何かの決意が込められる--例え叶わない事であっても諦めない。どんな結末であれ最後まで戦うという決意の目であった!
「この戦いが終わったら俺はやり残した会計を全て済まさないとッケロ!
 ……格好が付かないなッケロ、俺ってそうゆう者ッケロ」
 小声でそう決意するのはオタマンであった……。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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