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一兆年の夜 第二十九話 大樹の銀河連合 後篇(四)

「カメレーオさんがっず、カメレーオさんがん!」
 均衡が揺らぎ始めた果物の生えた枝。アリゲルダは必死でカメレーオ型銀河連合を枝に叩きつけるが、その度に舌に絡め取られ、振り落とされかける!
「もうカメレーオさんには戻らなっが! こんな現実をわかってもわかっても--」
 アリゲルダはそれでもカメレーオなら我を取り戻す事を信じる。
 だがカメレーオと呼ばれる傭兵はもうそこにはいない--アリゲルダの五体の一部を食らいつく為なら振り落としたり、締め上げたり、急所を突くなど何でも仕掛ける!
 アリゲルダはそれでも諦めずにカメレーオ型を投げ飛ばす--カメレーオがそこにいる事を信じて!
「はあはあはあっざ、強すぎるっぞん」
 糸井サク巳手作りの衣装は破け、秘部以外の全てを露出しながらもアリゲルダは説得する!
 とうとう--
「ぐっず! があっがが--」
 逆に関節を極められる--通常鰐族が使用する関節技ではあるがそれに加え、舌によるまき付けを加える事で長い口を押さえつけた!
(まずっがあ。前の両足が捻り回転でっじ、あちこちに良くない音っが! くるくるくる--)
 アリゲルダは意識を暗闇に放り込もうとしていた!
 その時だった--下から巨大な影が枝ごと食らおうと上昇する!
「こんな高さなど鯨族ノ跳躍を以テスレバ容易だ!」
 海中でアリゲルダの危機を察知したホエ人が鯨族の底力で果物の生えた枝まで跳躍--顔面で下から衝突し、そのままへし折った!
 衝撃で関節技を解かれたアリゲルダは左回転しながら尻尾攻撃をしてしまいカメレーオ型を突き飛ばす!
「ガッハあ……しまったがん! カメレーオさあああんだがあ!」
 カメレーオ型はホエ人と同じ速さで落下し、海中に叩きつけられた!
 その様子を折れた枝の内側に立ちながら眺めたアリゲルダ--瞳からは気付かぬうちに涙が濁流の如く溢れる。
「わしは救えなっがあ。カメレーオさんを救えないっじい」
 アリゲルダは死にそうになりながらも最後までカメレーオが我に返る事を信じた。
 けれどもそれは夢幻に過ぎなかった。カメレーオ型が海中に叩きつけられ、追撃するようにホエ人が正面から胴体ごと食い千切られた今となっては。

 午前五時二十八分六秒。
 戦闘は終了していた。周囲にいる銀河連合は一体残らず生命活動を停止。
 だが--
「組長?」
 キキミミノカマキュロスの五体は機能しない--両刃はもう無く、後ろ中両足はもぎ取られ、右眼は垂れ、胴体には巨大な穴が三つ。
 救援に来た山一サンショウ五が駆けつけながらもカマキュロスは組長の意地で多数を相手した為、とうとう肉体の限界を超え、それをついた熊型によって胴体に三つの大きな風穴を開けられた。
「組長? 大丈夫ですよ? 熊型は僕が何とか倒しました?」
 サンショウ五は熊型によって後ろ左足に傷を負いながらも頭を掴み、首筋に噛みつく事で倒した。
「お前、の、いち、ぞ、くのス。喋りで……があああス!」
「組長っだあ! もう喋るのは止してくださっだ!」
 黙祷を終えたアリゲルダはカマキュロスの方に駆けつけた!
「ああス? かめ、れ、お、さ、はス?」
「無事ですっず。今頃はホエ人さんが彼を心身共に支援してますっず」
 アリゲルダは本当でない事を口にした。
「……た、の、ぅぅ。しんせ、い、ぁ、ぃ、ぃ、ぃぅ。族を……」
 カマキュロスは想念の海に旅立つ。カメレーオと共に。
「組長ウウうううう? 組長うううう? 腰砕けはやめてくださああああい? 返事してくださあああい? 何とか言ってくださあああい? くみちょおおおおう? クミチョオオオオオウ? クミチョオオオオオオオオウ?」
 サンショウ五は悲しみを抑えるべき叫び続ける。
 一方のアリゲルダは黙祷する--カメレーオの死を悼む時と同量の涙を流しながら。

 午前六時零分二秒。
 カマキュロスを弔った二名は切り札である袋に何かを語る。
「二名は先に海へ還ったがん。二名の死を意味ある物にする為にもわしらは運ばねばならっず」
「僕達はいつまでも組長やカメレーオさんの死を悲しめない? 悲しむ暇があるなら今の内に中枢部分までよじ登る? そうだろ? アリゲルダ?」
「そうだがん。わしらは歩を進めるのみっぞお」
 語り終えた二名は袋を背負って中枢目指してよじ登る。
 だがその前には無数の枝が行く手を遮る。
「そんなのはわかってた?」
「山椒魚族の訛りは鴨族同様に気が抜けっず。でもそれでいっぞ!」
 二名は迫り来る大樹型の一部と戦いながら中枢目指して駆け上る!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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