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一兆年の夜 第二十九話 大樹の銀河連合 後篇(三)

 午前三時五十五分二十八秒。
 アリゲルダとカマキュラスは五段上までよじ登り、カメレーオがくれた情報が正しいかを確認。
「種類が多いぞス。舌の長いのはカメエオンだス。どうやら周囲を警戒する必要が高いなス」
「組長がん。わしが確認したところ十は上ったがん。先程のカメレオン型だけでなく蟻型っだ、蜘蛛型っだ、蠍型っじ、熊型までいるぞっど。他には猿型と蜻蛉型と百足型と鍬形型と……んっず? 短命で有名な蝉族の形態までいるっざあ」
「蝉型ス! あいつらの特性から考えて混合型が複製型も出てくるぞス!」
「やりにくいがん。特に複製型は弱いのを複製するなら良いけどっぞ、強いのを複製されたらひよっこは直ぐ倒されてしまっだ!」
「だなス。後はカメレーオがくれた情報に……あったス! 銀河連合は果物の木まで成れるのかス。これはどうしようものかス」
 アリゲルダは無言で--ここはわしに任せろ--という合図を送る。
「そろそろ行こうかス! 俺は出来る限り奴等を惹き付けるス!」
 両刃を引っかけながら鳴らす音を合図に二名は飛び出す!

 午前四時零分四十七秒。
 サンショウ五とカメレーオは--
「果物は拙者が食べないと?」
「死ぬのと同じだよ? 僕達は加勢だけすれば--」
 二名は先によじ登ったアリゲルダとカマキュラスの後を追う!
「アリゲルダと組長のどちらかが食べてもいいのか? 拙者は御免被る?」
「それも良くない? でもね? 僕は--」
「どのみち拙者らは誰かを死なせる行為に及ばなければならない? ならば拙者がその役目を果たすのだ?」
「どうしてそう考える? 軍者から傭兵になる切っ掛け?」
「別にそうじゃない? 拙者は前に指摘された事がある?
 『アリゲルダは拙者に似てる』と? 最初は認めていないものの仮眠した後になって--」
「その話は後にしよう? 僕達は必ず生きて帰らないといけないから?」
 カメレーオもまたアリゲルダと同じく救える生命を死なせた過去があった。だが、カメレーオ本者の口からどんな過去なのかを吐き出す事は永遠にない……。

 午前四時二十二分五十八秒。
 カマキュラスは苦戦する!
「数が多すぎて神武包丁を変える暇がないス!」
 熊型との直接対決を避けつつも蟷螂族独特の構えで次々と倒してゆく。
 しかし両刃に装着した包丁は既に八割以上は錆びており、カマキュラスは劣勢に追い込まれる。
「俺より早いのが何体もいるから中々一対一にならないス!」
 一方のアリゲルダは果物が生えた枝に乗るものの--
「何故果物を守るっぞ! 中々辿り着けないがん!」
 蟻型と蠍型、それに蜘蛛型が合計二十体アリゲルダに襲いかかる--果物を守るように!
(こんな考えは好きじゃないがん! 果物を守って倒された後に俺に果物を食べさせて……やっぱりそんなのは罪深いっじ! 只でさえわしらは死なせるという罪深いことをしてるのにこんなことまで考えたらもう死ぬしかなっがあ! 今は只進むしかなっぞお!)
 得意の関節技で外殻の堅い相手も内側に強い衝撃を与えて倒してゆくが、アリゲルダもまたカマキュラス同様に劣勢となる。
(さっきからこいつらの動きが良くなってっざ! 学習するって知ってるがまさかここまで思い通りに行かなくなっだあ! 万事休すなのがん?)
 その時だった--枝から枝へと赤く細長い物を駆使してアリゲルダが乗る枝に飛び移る影を!
「カメレーオさんっが!」
 カメレーオは無言で頷きながらアリゲルダの背後に立つ!
(了解しまっざ! 後ろは任せますのでわしは前方の二体に集中しよっぞ!)
 前方の二体--両方とも蟻型である。だが成人体型が一とコンマ三を超える。
「蟻族の特性を知ってるかどうかを命がけで試させてもらっがあ!」
 左側に向かって捻り回転をしながら突進! 左方は横に避けながら右方に合図を送る。それに気付かないアリゲルダではないが、それでも同じ相手に突進し続ける!
(間合いを詰めて……いやわしを海に突き落とすのっが? いやいやそうじゃないのだがん?)
 アリゲルダは突進を避けられながらも出方を予想する。
(銀河連合と心を一つには出来ながん。何せあいつらの心文字はないのが常識っざ。
 だけども予測は出来っぞ! それはわしら生命体が考えないことを--)
 アリゲルダが捻り回転を使用とした瞬間、左方の蟻型は間合いを詰めながら頭上から鰐族と同様の動きを真似ながら食らおうとした!
(これは予測出来ないがん! だがん、それがわしの狙いっだあ!)
 左方がアリゲルダの左前足を噛みつくと右方が下から首筋目掛けて噛みつく!
(首を噛まれたがん。分もかけずにわしの頸動脈は引きちぎれるっど。
 けれども分をかけないのはわしも同じっだ!)
 アリゲルダは二体に噛みつかれるのを確認すると五の秒も経ずに右螺旋回転飛びを始める--回転すればする程噛む力が重くなり、死を免れない。
 その回転数は一の秒にして十以上。すなわち--
(どんな生命だって意識を暗闇に送られることはあっだ!)
 二体は意識を遮断した形になり、着地したアリゲルダは正面から一体ずつ蟻型の首を切断して倒す。
「はあはあっざ。カメレーオさんは無事だろっが?」
 アリゲルダはカメレーオの居る方角に身体を向ける。そこは銀河連合全てが事切れ、カメレーオが舌で果物を乗せる。
「良くないっだ! それを早くわしの方に--」
 投げて下さい--咽から発する前にカメレーオは一気飲みをする!
「心配するながん。拙者はこのくらいで死な、死な?」
 カメレーオの表情はみるみるうちに変化--顔中の細胞は崩れ、前後両足の皮膚は骨を剥き出し、目ん玉は原形を留めずに枝の下方に落ちてゆく!
「カメレーオさんっざ?」
 真鍋傭兵団応神支部の知るカメレーオは永遠にいなくなる。そこに立つのはカメレーオの姿をした銀河連合だった……。
「カメレーオさああああんが!」
 カメレーオ型銀河連合はアリゲルダに襲いかかる--カメレーオの戦闘力そのままに!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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