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一兆年の夜 第二十八話 大樹の銀河連合 前篇(六)

 八月百三日午前十一時三十二分四十五秒。
 場所は陸上種族用区画二階ヤマビコノアリゲルダの自室。
 毛布にくるまれ、うつ伏せ状態で寝ていたアリゲルダは両眼を毛の太さくらい開ける。
(一昨日は突然出現した大樹型から逃れるべくわしらは予定した針路を大きく逸らしたっが?
 わしらはあくまでラテス島に住み着く大樹型を倒すのが目的だがん。目の前の大樹型を倒す予定はながあ。これが傭兵の辛いところっだ!)
 両眼を人族のての人差し指くらいある幅まで開けると毛布を左に飛ばす。その後は趣味の背筋を始める。
(ラテス島までどれくらいかかるっが? わしらは組長から大気を命じられたとはいえっだ、目の前の大樹型にも手を出せずっじ、大袈裟な行動にも出れないのでは筋力鍛錬以外の趣味が思いつかんっぞ!)
 背筋二百回を済ませると今度は後ろ両足を立てて、膝の曲げ伸ばしを繰り返す動作を始めた。
(暇っだあ。何もしないということほど最も辛い鍛錬はないっじ!
 だからわしは……お腹の虫が鳴いてるっど。そろそろ食事をしないっど!)
 百十四回で止めるとアリゲルダは三回にある食堂目指して自室を後にした

 午後四時七分三十八秒。
 場所は陸上種族用食堂。
 海洋種族である吉良ホエ人以外九名しかいない為、各自で料理を作らなければならない。勿論生で果物や小麦粉を食べる者も居るが大抵は国家神武専属の料理者どころか専業主婦の料理に劣る美味しくないものばかりだ。
 ヤマビコノアリゲルダは料理をしたことがない為、保管庫にある小麦粉が詰まった袋を見つけるなり、そのまま口に放り込む。それを見たオタマンは呆れた顔でこう告げる。
「野生のアリゲルダッケロ」
「真正細菌族や黴菌族と一緒にするなっぞ! わしはこう見えて利口だがん」
「もしくは銀河連合に近付きかねない雄ッケロ?」
「銀河連合みたいな穢れだらけの奴らと一緒にされるとわしの晩年は穢れが大変なことになりそっだな!」
「それにしても……はあッケロ、暇だなッケロ」
 二名は未だに船がラテス島に到着しない事で手持ち無沙汰になった。
「豚族なら手持ち無沙汰でも問題ないッケロ」
「ハハハっがん! 誰が上手いこと言えって頼んだがん!」
「ハハッケロ、そうだよな--」
「緊急速報! 緊急速報!」
 突然船体はホエ人の叫びと共に大きく揺れた!
(もしやラテス島海底火山を感じたっか!)
「前方に大樹の銀河連合ヲ捕捉! 繰り返ス! 前方に大樹の銀河連合ヲ捕捉!」
「行こうッケロ!」
 二名は食堂を後にして五の分が経たない内に甲板に出た。そこには既に組長カマキュロスと副長のシ紋、それに背景と同化しているが微かにカメレーオが先に到着していた。
「先生とチャアダはまだっか?」
「僕をお忘れ?」
 サンショウ五はギッガーンとチャアダと共に甲板に出た。
「目の見えないものでもはっきりとわかるでちゅ。あんなに大きな銀河連合は初めてでちゅよ!」
 チャアダだけではなかった。他八名もまた大樹型の巨大さに驚くばかりだ!
(一昨日見たのは只の木だったのがん? それくらい遠くから見える銀河連合の巨大さに圧倒されっぞ!
 わしらはあんなのを倒しに来てるのっか?)
「ホエ人よス。これ以上近づけば確実に船は沈められるス」
「どうしてでしょう?」
「サンショウ五もアリゲルダと同じくらい脳足りんい」
「わしの名前を出すっが!」
「一昨日は木の銀河連合を見たよねい? あれを思い出してい!」
「思い出したよ? すごく恐かった?」
「山椒魚族の訛りのせいで恐そうな口調に感じないがい。
 それはいいとしてい、あの銀河連合の成長速度を考えれば恐らく大樹型銀河連合の有効射程は成人体型五百は軽く超えるとみて正しいかない」
「よくわからんっぞお! どうして成長速度と有効射程が関係するがん?」
「彼牙言いたい事端たぶん、成長牙早ければ早いほど枝牙届く範囲端大きく拡がる? そんな感じ出いいか?」
「そうだない。あの銀河連合は世界各地で生える木と同じく枝を持つい。その枝の長さは成長速度と関係しておりい、早ければ早いほど枝の長さはどんどん長くなる。成長に追い付くようにねい!」
「よくわからない話だけどい、これだけはわかるい。あの銀河連合に近づくなら拙者達五名で向かわなければならない!」
「まあ俺は傭兵といっても組の会計を試算するしか仕事ないからッケロ」
「我は作戦立案はできるしい、陸上なら戦いだって出来るい。陸上ならない」
「僕達は医者だから戦いに参加できない」
「私端強い牙医者乃信念尾大事似する故、ここ出お前達乃無事尾祈る以外端出来ない」
「僕達だけで向カウシカないよね」
「相変わらずホエ人さんの波長は響きすぎ?」
「船は短くも長く空くが生きてかえられる地震はあるかス!」
「アリマス!」
「わしらは傭兵っだ! 参花様数十枚を稼ぐためにここまで来たっだあ! 死んだら参花様が載った札束を手放っぞん! 金の亡者の底力で生き抜こうじゃないっが!」
「アリゲルダが仕切るのはなんだか違和感があるがス、学べ傭兵団の力を見せつけるぞス、四名ス!」
 オオ--という叫び声と共に五名はそれぞれの準備を開始!
(わしの武器は徒足空拳っだが! 包丁を使うよりこの方がやりやっぞ!
 だがわしらの目的は大樹型の中枢に入ってあるモノを仕掛けることっが!
 それは現在もホエ人のところで待機中っで! 奴等も命を懸けて倒しに行くんだからわしらが命を懸けなくてどうすっだ!)
 アリゲルダは他の者と異なり、準備が出来るまで柔軟体操を徹底した--いつでもどこでも全力を出せるように!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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