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一兆年の夜 第二十八話 大樹の銀河連合 前篇(三)

 午前七時零分二秒。
 場所はセネカ海。応神諸島からラテス島までの航路。北西応神小島手前。
 全長成人体型縦四十、横七十、高さ五十五にもなる海洋種族用の船。
 それに乗るのは真鍋傭兵団キキミミノ組組長キキミミノカマキュロス。齢三十にして七の月と一日目になるラテス蜻蛉族の正岡シ紋副長。会計のオタマン・ジャクソン。齢四十二にして八の月と一日目になるテネス鬼族のギッガーン・ダッジャール医師。齢十五にして九の月と一日目になるオゲネス鼠族のチャアダ・ロナウジーニョ医学生。操舵士には齢三十五にして十の月と一日目になるルケラオス鯨族の吉良ホエ人。それ以降の組員は突入要員のヤマビコノアリゲルダ、山一サンショウ五、カメレーオ。
 以上の数でラテス島海底火山を取り込む大樹型銀河連合を倒す。しかも戦闘に関わらない者を除けばカマキュロス、ホエ人、アリゲルダ、サンショウ五、カメレーオの六名だけで目的を達成しなければならない。
(シ紋副長は作戦立案と後方支援のみがん。オタマンだって同じさっだ。
 でもなあっど、それでもわしは糸井が睡眠も取らずに作ってくれた特注の服を着て任務を達成しないといけねえぞっと! それは全生命の為じゃないっぞ! わし自身の過去にも踏ん切りを付ける為だっど!)
 アリゲルダは拭いきれぬ過去を抱く。それは他の者達も同様。そんな絡み合う過去を背負って今、船はラテス島へと歩を進める。
「なあカマキュロスい」
「組長と呼べス、シ紋副長ス!」
「もしも我等が全滅したら傭兵団本部はどうするい?」
「その時は数を増やしてまた攻めるだろス?」
「それが全滅したらい?」
「これは質問と回答が無限に広がるス。ここで止めようス」
「組長ニ副長! 僕達が無事に倒ズ事が出来レバ他の者が死ヌ事もないデショウ!」
 ホエ人の声に船体は大きく揺れる。
「揺らすなス! 沈んだら神々にも歴史にも恥ずかしい一ページを刻むだろうがス!」
「ごめ--」
「声を出さなくていい。ホエ人操舵士は黙って操縦すればいいだけだい」
「鯨族は力強くて困るス」
 船の速度は遅い。だが、それでも徐々にラテス島へと近付いてゆく。
 一方のアリゲルダは自室で筋力鍛錬を使用とするが--
「ヤマビコノアリゲルダ。医師として筋力鍛錬尾勧めん! 速やか似倒立尾やめたまえ!」
「そうでちゅよ! 筋肉痛で銀河連合に食われたら元も子もないでチュ!」
「折角のわしの楽しみを取り上げる気がん!」
「あのなあッケロ、ギッガーン先生もチャアダも私情を挟んでてもお前の為にと思って言ってるんッケロ!」
「それくらいはわかるっだあ。でも雄として楽しみを貫かなくてどうすっだが!」
「世話乃焼ける鰐だ! こうなれば私模手段尾荒くするぞ!」
 ギッガーンは鬼族とは思えない俊敏な動きでアリゲルダの尻尾と顎を極めた!
「がががっがあ!」
「すごいッケロ! あのアリゲルダだッケロ! あいつを極めるなんて普通は出来ないッケロ」
「鬼族端皆強い者達だ。傭兵より強くなけれ把医師端務まらん!」
「その理屈はおかしいでチュ」
「だって医師よりも傭兵をやった方が良いかも?」
 何時の間にかサンショウ五はアリゲルダの自室に何食わぬ顔で入った。
「サンショウウオの雄は油を断てないなッケロ」
「それはカメレオン族も同じではない? だって風景と同化して天井に張り付いてる?」
 サンショウ五の言葉に素早く反応したギッガーンと極められたアリゲルダは天井に視線をやると確かにカメレーオがいた。
「気付かれたか?」
「うわあああ! カメレーオさん! 居たんなら居たと言って下ちゃい!」
 カメレーオもサンショウ五と同じく何食わぬ顔で飛び降りるなり、チャアダを見つめて--
「職業病でチュ。拙者は軍者として一流でちゅが、傭兵とちて半者前。隠れてちまうのを直したくても出来ないちゅ」
「病なら直せると思ったら大間違いでちゅ! 寧ろそれは病じゃありまちぇん!」
「チャアダ。職業病斗いう病端確か似あるぞ! この私乃よう似!」
「腰砕けをしないで下ちゃい! 笑いごとになりまちぇんよ」
「そうだなっだ。わしが医者如きにやられては笑えなっがあ!」
 六名の表情に笑顔が溢れていた。
(気持ち良いっだ! この感じはかつてを思い出すっぞ。この時は子供の頃から一緒だったあの三名とわしとオタマンとサク巳だったっがい? もう昔の事だがん。どれくらい昔だったかざ?
 やめよっど。心が萎んでしまっどう!)
 アリゲルダの様子に何かを感じたのか、オタマンはアリゲルダに話しかける。
「まさか三の年より前を引き摺るッケロ?」
「そうだったかなっだ? そんなに古いのっが!」
「二名とも何のは……何だっが?」
「緊急事態発生! 北西、南南東ヨリ合計十体の銀河連合が海カラ接近!
 繰り返ス! 北西、南南東ヨリ合計十体の銀河連合が海カラ接近!」
 ホエ人はアリゲルダの左右を大きく揺れるほどの声を出しながら緊急速報を船中に響かせた!
「海からッケロ! じゃあ組長は出撃出来ないッケロ!」
「拙者も同じッケロ。爬虫類じゃあ海は潜れないッケロ」
「じゃあ僕とアリゲルダだね?」
「これは勧められるよっだ、ギッガーン先生っで!」
 ギッガーンは首を縦に振った。
「じゃあ日頃の成果を試すぞっど!」
 アリゲルダとサンショウ五は海洋種族用通路に入るとそこから船頭方面の出入り口から出撃する!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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