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一兆年の夜 第二十八話 大樹の銀河連合 前篇(二)

 午後十時零分十八秒。
 場所は応神諸島北西応神小島。その中央にある小屋。
「まだ筋肉鍛錬? 真面目? それとも--」
 齢十九にして六の月になったばかりのエウク蜘蛛族の少女は二式目の腹筋をするアリゲルダに聞く。
「わしは臆病なんだっぞん! こうして鍛錬でもしないと心が折れるんでっがん!」
「怖い。怖くてする。わかった」
「美貌の割には赦しを容れないとはだあ」
「糸井家は代々美しい? 正直思った事無い」
「味が好かん答えッケロ」
「居たのかオタマンっざん」
「礼を欠く雄だッケロ。どこに健全な肉体に健全な心があるんだッケロ」
「それは大きく違う。本来は何事にもよくを抱く前にまずは心身の健康を大事にしなさいという意味。別に身体を鍛えたくらいでは精神が鍛えられる訳じゃない」
「ウウうッケロ!」
 オタマンは糸井と呼ばれる少女に指摘されて後退りする。
「百五十っど! ふうがん、これで二式目終了っだ。後十三式あると先が長いっぜん!」
「やめる? それもいい」
「わからないかざん? 一度やり出すと途中で止まらないっぞ。君だってそうだろっぞ?」
「私糸井サク巳にとっての糸巻きは日課。ただし必要最低限の生活費を稼ぐまで夜は続く。暇が長い。代々そのような家系」
「日課という点ではわしも同じがん! 銀河連合を全て倒すという点も形は違えど--」
「やめる。私をあなた達みたいな穢れ大きいのと一緒にしない。現にあなた達は明日ここから成人体型一万も離れたラテス島で銀河連合を全て死なせる。それは罪深い行いだとわかる?」
「わかるっぞ! それを忘れる為にわしはこうして筋肉鍛錬に励むのっだん!
 五十二っじ、五十三……」
 サク巳はアリゲルダとオタマンの年離れた幼馴染。なので彼等が死なせる以外の心理的苦痛があるのを知っていた。けれども彼女はそれを口にせず--
「わかった。あなたの覚悟をしっかり受け止める。出来れば生きて帰ってくる!」
「うはあッケロ! サク巳ちゃんに念入りされたらたまらないッケロ。まあ恋者になれないのは念が残るッケロ」
「それ以前にサク巳ちゃんには草食系の夫を持ってるだっろ! 百四十五っど、百四十六っがん……」
 三式目を終えたアリゲルダは息抜きの為にインコ体操を一週こなして腹筋四式目に入った。
「今回彼は大丈夫?」
「一の週より前に赤ちゃんを授かったばかりだッケロ。きっと大丈夫だッケロ」
 サク巳にとってはその方が余計に生存が危ぶまれる要素だった--本来子作りとは万が一に本者が死ぬ事を想定する。仮に本者が生き残れば死を覚悟する意識は薄れる。本者が死ぬのなら生前の間に悔いを残さない行動に移る。そこから辿ると自然と雄と雌は自分の分身を作る為に交尾をして体中の苦しみと共に子供を産む。その子供こそ自分の分身。
 以上の流れから子供を作る者は生きる覚悟よりも死の覚悟を優先するようになる。サク巳にとってそれが心配だ。
 一方のアリゲルダは明日の為に万全の体勢を整える。筋力鍛錬しながら。
(待っていろ銀河連合っぞ! わしは子供に格好良いところを伝えるべく強すぎる状態でお前らの前に立ち塞がるっぞ!)
 次の日、朝目覚めるアリゲルダは筋肉鍛錬をし過ぎておよそ二の時が経過するまでカメレーオとカマキュロスに両前足を支える形で歩くしかない状態だった。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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