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一兆年の夜 第二十八話 大樹の銀河連合 前篇

 ICイマジナリーセンチュリー九十四年八月百十日午後二時五分六秒。

 場所は応神諸島中心島応神市中央地区二番地。中央より三番目に大きな正三角
形の建物。
 そこには齢二十二になったばかりの応神鰐族の青年が筋肉鍛錬に励む。
「フウウウウウウどう! はあっぐ! だあっと!」
 成人体型一とコンマ五にもなる大きさでありながらも必要最低限の筋肉を身に
つける。
「百二十一っぎ、百二十二……」
 青年の名前はヤマビコノアリゲルダ。真鍋傭兵団に所属する実力者。
「二百っぐ! はあはあはあ……」
 倒立腕立て伏せ二百回十式を完了したアリゲルダは全身に大量の汗を出しながら
仰向けに倒れ込んだ。
「はあはあはあはあっが。また強くなって困っちゃうごう。はあはあはあはあ--」
「たかが腕立てで強くなれんのッケロ?」
 齢二十二にして二の月になったばかりのエピクロ蛙族の青年が籠を担いで建物の
中に入る。
「扉叩いてから入れよっぞ。それが礼儀だろっぜ」
「同じ傭兵同士なんだから気にすんなッケロ」
 青年の名前はオタマン・ジャクソン。真鍋傭兵団の会計担当。
「そんでわしの給料はいつ出るんっどう?」
「月末だッケロ。と言っても今日中かもしれッケロ」
「じゃあさっさと渡げん!」
「はいッケロ。およそ二万四千マンドロンッケロ。参花様二十四枚分ッケロ」
 オタマンは籠から千マンドロン札二十四枚をアリゲルダの腹に乗せた。
「へへへっげ。わしは金に弱い生命っじゃ! 安いけど参花様二十四枚は幸せ
だげん!」
「金に眼が眩む腰くだッケロ!」
「変に訛った言い方はやめっで! 聞き間違ったらどうすっごう!」
「はははッケロ!」
「楽しいじゃねえかどう、ハハハっぶ!」
 二名は親友同士。その為なのかつまらない事でも笑いあえる。
「しっかしまだ体力あるんだッケロ。笑うだけ後らが残るなんッケロ」
「へへっぜ。鰐族の雄の底力はたかが筋肉鍛錬でくたばっらあ!」
 アリゲルダは仰向けの状態から倒立し、千マンドロン札二十四枚を拾うかのように
二回宙返りをした後、直立歩行状態で着地した!
「人族じゃないんだから四本足で構えてもいいッケロ」
「参花様二十四枚を拾う為にそうなったんだから仕方ねえぜん、オタマンっだあ」
「その有り余る肉体は肉体労働に使うべきだッケロ、アリゲルダッケロ」
「その肉体労働がたった今決まったよス!」
 齢二十九にして一の月になったばかりの応神蟷螂族の青年が蟷螂式応神木製の
木丁を装着しながら入ってきた。
「カマキュロス組長かっぞ! 全くオタマンといい他所の建物に入る時は--」
「話は後だス。
 国家神武からの要請で俺達真鍋傭兵団応神支部はラテス島に住み着く
大樹型銀河連合の打倒が決まったス!」
「「何!」」
 大樹型銀河連合--その言葉に反応した二名は驚愕のあまり少し後退した。
「どうしたス? 念願の肉体労働じゃないか--」
「組長っず! いくらわしが強くてもあれの打倒はさすがぢい」
「俺も同じッケロ。大樹型は洒落じゃありませんッケロ」
「オタマンは別に戦わなくて良いぜろ! 会計担当なんだからぜえ」
「話を少し逸らすがス、大樹型銀河連合が出現したのはいつ頃かアリゲルダと
オタマンは知ってるよなス?」
 アリゲルダは脳にまでで筋肉が詰まるのかそれを聞かれて悩む。
 一方のオタマンは--
「三十の年より前ッケロ。確かその時期は櫛灘彗星が見えッケロ」
「櫛灘彗星のことは後にしろス」
「ええとッケロ、確か不比等村が食われた日だッケロ。海底火山を取り込んだ種子型
が火山灰と共に芽を大量発生させッケロ、やがて--」
「ああああっう! ややっこぜえ! ンで結局なんだよっや!」
「相変らず長い話は好かん雄だッケロ。芽は惑星中に広がりッケロ、現在は
東藤原海洋海底火山ッケロ、アリスティッポス火山ッケロ、そして--」
「僕らがゆくラテス島火山にまで及ぶって所?」
 齢二十五にして三の月になったばかりのラエルティオ山椒魚族の青年は袋二つ
抱えながら現われた。
「どいつもこいつも礼儀がなってないっぞ!」
「仕方ないね? それが僕達傭兵の性さ?」
「話を戻ス。ラテス島の大樹型を倒す傭兵は全部で六名。
 まずは自分キキミミノカマキュロスだス。次にここにいないがルケラオス鯨族の
吉良ホエ人だス。さっきやってきた山一サンショウ五だス。ヤマビコノアリゲルダ
だス。最後はもうじきここに現われる武内カメレオン族のカメレーオだス」
 カメレーオの名前を聞いて一番驚いたのはアリゲルダ--思わず倒立をしてしまう
くらいに!
(カメレーオといったら地上偵察では右に出る者がいないと言われるくらい有名な
元国家神武の軍者だっぞ!
 よく了承したなっず! あいつはわしと同じく--)
「拙者と同じだと思ってるのかっず?」
 齢三十二にして五の月になったばかりの武内カメレオン族のカメレーオが天井から
下りてきた!
「いたんだス。いるならいると声を出せス、カメレーオス!」
「オタマンが来る前からいたよス。拙者もまた鍛錬好きでありましてス」
「やっぱり同じじゃねえかっぞ! わしもカメレーオ殿もっぞ」
「一緒じゃありませんっぜえ。拙者は元軍者っぞ。あなたとは経歴が何もかも異なる
っだ」
「全くカメレーオさんはッケロ!」
(後はホエ人さんっがい。あの方は海洋種族だからここに来れんが。
 大丈夫がん? 六名なんていくら素人でも無謀と見えるっぞ!)
 若くして数十以上の戦場を駆け巡ったアリゲルダだからこそわかる。
 この戦いでは勝利よりも生還するのが難いという事実を……!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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