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一兆年の夜 第二十七話 海洋藤原の伝統(五)

 二月七十日午後三時二十七分九秒。
 場所は東海洋藤原廃武智麻呂村深部二。数百にも及ぶ藻で絡まれた二番目に大きな洞穴。
 藤原マス太とその養子マス次郎の二名はアジオ・カワックの薦めでこの洞穴に暮らす。
「海底火山の直撃を受けた四村。その内の武智麻呂村が一番水質が良いと良く聞くけど本当だったね、お母さん」
「ちょうど海洋植物が生い茂るお陰よ。ここなら死んでも良いわ」
「吉でない事を伝えないで下さい。安心出来なくなったらどうするのです?」
「それよりもここの火山はどうなったのよ?」
「無視はやめて下さいよ。えっと、今のところ穏やかです」
「穏やか? 穏やか?」
 彼女はその報告に何か良からぬことを感じた。エラで--穏やか--と連呼しながら思考を巡らす。
「お母さん? お体の調子が宜しくないのですか?」
「異なるわ。ただ私は考えてるのよ。火山が穏やかである訳を」
「考えすぎだよ! 火山の神々が穏やかならそれで良いじゃないですか! 銀河連合によって作為的に起こされるよりは--」
 突然マス太の両眼は力強く開く! それに驚いたのは近くにいるマス次郎だった。
「驚かさないで下さい! 心臓が止まって死んだら罪深いよ!」
「違うわ! 火山が穏やかな訳を思いついたわ! 今すぐこの村から脱出しましょう!」
 マス太は荷物を首にかけると勢いよく出ようとした! マス次郎は突然の行動に頭が回らない!
「ど、どうし……まさか僕が伝えたあの言葉でわかったの!」
 頭が回転し始めたマス次郎は同じように荷物をかけてマス太の後を追う!
 洞穴を出た二名の前に顔面蒼白で迫るアジオが現われた!
「ちょうど良かった! ここからさっさと出るんだ! 銀河連合が火山の中に潜って周辺にある廃村目掛けて何かを仕掛けようと--」
「気付きましたよ、アジオさん! あいつらは火山噴火を少し遅らせる事で廃村に逃げた僕達村の者全員を死なせるつもりだよ!」
「はあ? 何で火山噴火を遅らせる事が自分達を死なせる事に--」
「割り込むけど、海底火山は本来櫛灘彗星が現われたと同時に噴火してなきゃいけないのよ!
 何せここ三十以上もの年まで噴火しない火山は力を溜め込んでて噴いた時の衝撃は溜め込む年数に比例するのよ」
「知ってる! だからってどうして櫛灘彗星が火山噴火に繋がる?」
「実は僕の考えだけど彗星には地上へ与える何かしらの見えない力があるんじゃないかな? 例えば水の惑星とお月様が互いにくっつき合うような力とか」
「もしや引力とか言おうか?」
「そこまではっきりしないけど……ん? お母さんとアジオさんにも聞こえる?」
 マス太とアジオも気付いた--大地だけでなく海中を揺らす力の轟きを!
「みろよ二名とも! あの黒い煙はまさか!」
「火山は既に噴火してしまったの!」
 火山灰は三名の遊泳速度を大きく上回るように近くにある洞穴や海草にこびりついた岩などを次々と呑み込む!
「深部零に行けば少しは--」
(熱いン! 間に合わな--)
 火山灰は数十の時をかけて房前村、宇号村、麻呂村、そして武智麻呂村といった廃れた村々を更に焼き尽くすかのように呑み込む!
 マス太は意識を向こうへ向ける前に銀河連合の特性。内の一つを見つけた。
 それは惑星が持つ得体の知れない力を操作出来るという特性を!
 産卵から二の日より前の望みが無い日が本格化する……。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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