FC2ブログ

一兆年の夜 第二十七話 海洋藤原の伝統(三)

 二月六十七日午後三時三十一分三十九秒。
 場所は深部四。村長一家が住む洞穴。第五区画。
 そこでは村長である齢四十六にして二十八日目になる海洋藤原海月族の藤原クラ玄や藤原マス太を初めとした知識官僚、学者、研究家などが集まり、午前九時から意見交換を催していた。
「ところで真正細菌族のおん代表はあういつ来るかの?」
「村長。エラ会話を見てましたか? 真正細菌族は皆、言葉を話せないのですよ。代表とかそうゆうものが来るわけないじゃないですか」
「ところでえあ君は?」
「藤原鮎族のアユ巳で御座います。勿論雄ですよ」
「んで今はあん何のおう話をおいしとったかの?」
「物部貝族の物部カイ原と申します。今は流れ星が銀河連合かそうでないかを議論してました」
 彼は蓋の開け具合でエラ会話を表現。
「えっと? ラテス鰯族の呉岩士でいいかな? 俺の考えでは銀河連合だ! 今までだって流れ星で奴等はこの星にやって来た!」
「仁徳鯔族のホノノミノボラスケ。岩士の意見に自分も賛成。昼を挟んでおよそ六の時は議論しているけどいい加減、議論は収束しないか?」
 互いに自己紹介しながら意見交換を交わす知識者達を前にしながら当のマス太とマス次郎はエラ会話でお喋りをしていた。
「お母さん。考案した論をいい加減に出したら如何ですか?」
「断るわ。明日の日の出入り前に見られる櫛灘彗星を観測しないと論の確実である事の自信が沸かないわ」
「櫛灘彗星か。海洋藤原ではいつの代で見られるかわからない流れ星でしょ。お母さんの代で見られる事は有り難いよね」
「いいえ、これは大きな良くない出来事かも知れないかな?」
「どうゆう事? 櫛灘彗星は周期七十五か六の年ですよ。現われるならむしろ良い出来事じゃないでしょうか?」
「そうかしら? 七十五の年より前はどんな日だったか知ってる? その日は海底火山がお怒りになってるのよ」
「ぐぐ! 噂だよ、噂--」
「そこの二名! このルケラオス鯵族のアジオ・カワックは気付いてるぞ!」
 マス太は齢二十八にして十一の月と一日目になるアジオの注意を受けても自己紹介した後、自分の意見を述べる。
「申しわけありません。明日の日の出前に現われる櫛灘彗星に興味を持ちまして、それが現われた時に起こりうる状況を試算しておりました」
「本当でない事を伝えるか! じゃあどんな試算か伝えてみろ!」
「はい。彗星が流れるとそれに反応した惑星にいる銀河連合はある一つの銀河連合を生み出しましょう」
「はあ? それのどこが試算だ?」
「この周辺にいます銀河連合は若布型と真正細菌型……だけではありません」
「はい? 仁徳鰯族のホノノミノボラスケだ。他にいるのか、藤原マス太?」
「それは種子型でございます」
「海洋藤原鮭族の藤原マス次郎だけど、どうゆう事? それどこの情報?」
「村長のおん海洋藤原海月族のおん藤原クラ玄じゃ。もしや真正細菌族とおう会話できるのかい?」
「彼等の言語周波は私の代で捉えたわ。それによると--」
「海洋藤原秋刀魚族の藤原サン樹です。どうしてそれを一昨日披露しなかったの、えっとマス太?」
「まだあの時ははっきりしなかったのよ。説明を続ける。
 彼等によると種子型は真正細菌族の仲間を食ってるのよ。それも一名残らずね」
「エピクロ鯖族のサバラド・ネルソンだ。それはいつもの事だろ?」
「そうじゃないみたい。いつもの事なら種子型は今頃孵化してもいい頃。でも彼等の目的はまた別なのよ。
 私が櫛灘彗星の接近で一つの銀河連合を生み出すという試算を出したのは代々天体研究家である藤原マス太の日課である天体観測。これを行った後に何が起きてるのかを養子マス次郎が家に帰った後に真正細菌族の各自に聞いてみたわ。そしたら彼等は一斉に『流れ星と共に銀河連合は活発に行動してる』って答えを出したの」
 荒唐無稽な理由を聞いた者達は隣にいる仲の良い者とエラ会話をするなり、整合できる案を探った。
(退けられると思ったけどン、みんな頑張ってるんだねン。整合なんて難しい事よン。代々の藤原マス太は荒唐無稽を述べてはいつも退けられてきた一族なのにン)
 思考するマス太にマス次郎は尾ひれをマス太の口に当てて振り向かせる。
「何?」
「それが考案した論?」
「異なるわ。論はまだ確実じゃないんだから」
 十九代目藤原マス太に時間はない。それでも研究者としての意地なのか、彼女は残りの時間が尽きてでも論の完成度を高めようとしていた。
 なお意見交換は月が昇ると共に終了し、マス太を含めた客者は皆、それぞれの洞穴に帰り、それぞれの日課に戻る。
(論文名は『大樹の銀河連合』ン。近い将来には現われるわン!)
 産卵から五の日より前の嵐が訪れようとする静かな夜だった……。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR