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一兆年の夜 第二十五話 大空のトリ(九)

 舞台はエピクロ海の上空成人体型およそ五百。
 ブク郎は指揮官型が織りなす複数の腕を使った攻撃を躱しつつ一撃を狙う。
「そのおお攻撃はああ全ておおとりかああ! 小生いいと考えは同じいいようだああ!」
 戦いは一対一に持ち込めない--時たまたの銀河連合が割り込み、危うく隙を出しかねん状態。それでもブク郎は割り込みもまた指揮官型に決定打を与える機会と読み、気を弛む瞬間を狙う。
 そして--
「うおおおおおおうううん!」
 ブク郎は烏型が指揮官型の視界を遮る瞬間を狙い、素早く刃を放つ! 同時にブク郎は烏型に右翼を食われ、そのまま落下!
「グオオオオウウウン! あたたったかああ!」
 願いも空しく刃は指揮官型の左隠し腕に掴まれ、粉々に砕かれた!
「小生もおおここおおま--」
「諦めるんじゃねえよい、組長い!」
「どうして来たのじゃああ!」
 落下するブク郎とすれ違い様にフォウルンは右翼を食らった烏型の頭部に刃を当てた!
「俺はフォウルン・フォーディーぃ! エピクロ鷹族の誇り高き雄なんだい! グググオオオイ! 相手になるゾオおおおい、指揮官型あああぃ!」
 銀河連合二体の遮る向こう側にいる指揮官型へフォウルンは飛ぶ!
 一方のハヤブスは倉庫から残り三本の物部刃を入れたキュプロ枝製の紐付き袋を背負い、甲板に出た!
「ハヤブス君ねう! まさかフォウルン君を助けるねう!」
「そうでえ! それよりよく……こんな時にどうして持ってねえ!」
「フォウルン君が取ったのやう! もうここには--」
「ハヤブスね! 持ってきたね!」
 カブ壱はとてもあちこち刃を受けたものとは思えない速さで翼持刀をハヤブスに渡した!
「これはあっしのせいでフォウルンが飛べない先刻を与えるきっかけを作った--」
「御免ね、僕はハヤブスに後遺症を与えるようなものを持ってきてね! でもこれしかなかったね!」
「本当にこれだけしかないねう?」
「もう倉庫には--」
「四の五の言ってられろう! 後遺症でも何でも構わねえ! あっしが撒いた種ならあっしはどんな辛いことだって引き受けてろう!」
「待ってよハヤブス君ねう!」
「今行くでえ、フォウル--」
 三名はブク郎が右翼を食われて落下していくのを目撃!
「組長だわう! 私達は組長を助けに向かう! くれぐれも生きて帰ってきてねう、ハヤブス君う!」
「生きて帰れよう! 何故ならあっしは雌に惚れられる色雄になるならどんなに格好付けても構わねえ! そうゆう鳥なんでろう!」
「気を付けてね、ハヤブスね!」
 三名はそれぞれの役目に従い、大空を飛ぶ!
(あれはフォウルンでえ! 二体から引き離して指揮官型と空中戦を繰り広げてるのけえ! しかも徒手空拳でろう!)
 フォウルンは肝心の物部刃を放たず、出来る限りの肉弾戦で指揮官型と戦う。しかし、指揮官型は遊ぶようにフォウルンの身体を切り刻む!
「遊んでんじゃない! 必死なんだぞい!」
 それでもフォウルンの攻撃は指揮官型に掠りもしない!
「フォウルン・フォーディーでろう! あっしも加わるからもう--」
「今だアアアアイ!」
 指揮官型が右襟首を食らいついた瞬間--刃は指揮官型の左肩に命中!
「フォウルンンンン--」
「ハハハ……『鬼ごっこ』の、つ、ぅ--」
 フォウルンはそのまま襟首ごと強引に食らい分かれ、指揮官型の左腕以外複数ある腕を振るい内臓を見せつけるように四肢を裂かれた!
『……話の続きはその鍬形族の少女が鬼族と遊びたい一心で追いかけっこを提案し、追いかける側を決めたところ鬼族のものになったという話だっけい?』
 ハヤブスは幻聴を聞いた。
「多分異なる気がするんでろう」
 フォウルンを追っていた二体の銀河連合がハヤブスの背後に食らいついた!
「鬼ごっこをしに来たんじゃねエエ!」
 ハヤブスは上に半回転し、二体に続けざまに刃を放ち、頭部と心臓部に命中--二体ともそれぞれの部分から血を流して海に向かって落下する!
「今度はあっしが相手になるぜえ、指揮官型ああ!」
 ハヤブスはフォウルンと同様、肉弾戦を仕掛ける--だが指揮官型は相手にせず高度を少し下がった位置にいる組の者に狙いを定めた!
(左翼げえ! 指揮官型はあっしを狙わず別組の者でえ! そうはさせろう!)
 ハヤブスは痛みを堪えながら両翼を広げ、風を大量に受けながら加速--指揮官型に振り向かせた!
(例えあっしより強い相手だとしても飛び向かわねばならねえ! あっしが撒いた種は多くの者を死なせてろう! あっしはそのけじめを付けるんでろう! 生きて必ぜえ!)
 指揮官型はそれでも無視しようと逃げる!
「これは鬼ごっこでろう! 逃げる暇があるならあっしを死なせえ!」
 指揮官型は高度を下げて逃げるも距離を縮まってゆく!
(上空に逃げるけえ! 上空なら高度が増す度に向かい風が強まるだけじゃねえ、呼吸もままならなくなってゆけろう!)
 ハヤブスと指揮官型は徐々に高度を上げる! それはハヤブスにとって呼吸器に後遺症を残しかねない苦しいものであった!
(冷えてきてえ! 左翼に響けろう! 先生の言うとおりになりそうでろう!)
 翼持刀は徐々にヒビが入ってゆく。ハヤブスの周りはいつ壊れるかわからない危険な状態であった。そんな状態になってるのはハヤブスだけではなかった!
(指揮官型も苦しいんだねえ。元々地上戦が主体なのに羽なんか付けてえ。あの羽はもうすぐ--)
 ハヤブスの予想時刻より早く指揮官型の両羽は四散--飛行機能が壊れた指揮官型は落下する。
「あ、しのおか、あ、ちで、ろう!」
 ハヤブスは翼持刀に物部刃を差し込み、弦を強めて弾いた!
(心臓部に当たるけろう! こんな時に頭部を命中できないあっしはどこまでも……)
 ハヤブスの意識はそこで黒い迷路に入った……。

 未明。
 ハヤブスは死んだ両親と久方ぶりの再会を果たす。
『格好良かったわえお。あなたはやっぱり私達の自慢になる息子でろう』
『ハヤブスはよく頑張ってろう。もう俺達の所に来たらどうでえ?』
 ハヤブスは両親の側に近付く為、三途の雲を渡ろうとしたが--
「父上と母上に会えるのは嬉しい限りでろう。ですがあっしは渡ることを避けませえ。あっしはまだ帰る場所がありませえ。だからもうしばらくお待ち下せえ」
 ハヤブスは生きる道を選んだ。その結果、眼前に光が差し込む。
(あっしは大空のトリでろう。例え飛べない身体になってもあっしは心の翼を広げて飛べよう。それが鬼ごっこのようであってもねえ。でろう、フォウルン・フォーディーでえ?)
 ハヤブス・ハルトマンが目覚めた後、どこまでも心の翼を広げる--大空のトリとなって!


 ICイマジナリーセンチュリー八十二年七月十六日午後九時一分二秒。

 第二十五話 大空のトリ 完

 第二十六話 海は広いな、大きいな に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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