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一兆年の夜 第二十五話 大空のトリ(七)

 スネッグムの弟子五名はフォウルンを見つけるなり、布団にくるめて拘束してゆく!
「すまん乃。これ模医者たる者乃穢れだ」
「さすがスネッグムのじじい! 鬼族の者を弟子に取るなんてい!」
 フォウルンの陽動は完了した。
 一方のハヤブスは甲板に出るなり、翼持刀と物部刃が三本入った余りの袋を背負うと誰にも見つからないように飛び立つ!
(左翼が痛い上でえ、均衡が良くねえ! スネッグム先生の言うとおり安静にするべきかもせろう)
 その割に彼は一本残らず物部刃を使うとすかさず甲板に戻り、スネッグムの弟子五名にわざと捕まった。
「いででえ」
「腰砕けえがあ! 安静にしろおと先生があ言ってるでえはないかあ!」
「ごめんなせえ」
 戦いは坂井組には怪我者を出さずに勝利した。

 午後二時一分七秒。
 場所は医務室。
 ハヤブスとフォウルンは毛布にくるまれてそれぞれの体勢で寝転がる。
「飯は食べてえ。フォウルンは相変わらず飯を食わないねえ」
「今日は余計に食べた以上はお粥には手を付けんい」
「いくら美味しくなくても食べるべきだぜえ。痩せ細ると雌に惚れられねえろ」
「雌は好きじゃない。五月蠅いし自分勝手に育つのが多い!」
「ウェンディに聞こえたらどう--」
「聞こえてるわよう、二名共う」
 ウェンディはカブ壱と共にこっそりと入った。
「二名とも元気そうで何よりね」
「カブ壱の方こそ元気だよねえ。流れ刃に当たって想念の海に向かっているかと--」
「僕に何か満足しきれないことあるね!」
「喧嘩しないのう! ところで聞きた--」
「緊急事態ダ! 海ヨリ銀河連合が十一体! 空よりオヨソ二十七体襲来! 繰り返ス! 海ヨリ銀河連合が十一体! 空よりオヨソ二十七体襲来!」
「またけよう! そこまで鬼ヶ島に近付けまいとするのけえ!」
「俺の身体が良ければすぐにでも--」
「良くないね! フォウルンはここでじっとするね!」
「らしいぜえ」
「くそい!」
「私達が居れば何とかなるわう!」
「ところで物部刃は大丈夫でえ?」
「まだ一杯あるわう。そうねう、およそ百本以上かもう」
「それなら今日中を乗り切れろう!」
「そうねう。ただし誰かさんが無断出撃しなければの話だけどう」
「何の事でろう?」
「どうしたね?」
 すでに坂井組の者には気付かれている模様。カブ壱以外は。
「じゃあ行ってこい! 刃を多く使うんじゃないぞい!」
「出来ればの話だけどう」
 ウェンディとカブ壱は出陣する!
「五の分より後に行動するかい?」
「早すげろう! もう少し分数を掛けてもいいでろう」
「慎重だない、ハヤブスは」
「格好付ける雄は柔軟でないてえ」
 二の分より後、スネッグムが二名の診察に来た。
「……傷が予定より遅いなエエ。動き回るもんじゃないぞエエ!」
「はいはい」
「『はい』は一回だエエ!」
「あっしの方はどうなれえ?」
「そちらの傷も動き回るのがいけないのか治りが遅いエエ! いいかいエエ、安静にするのだエエ!」
 スネッグムは一連の診察を終えると部屋を後にした。
「後二の分かい?」
「三の分くれえ」
 三の分が経過。二名は行動開始!
 フォウルンを食堂で発見した弟子五名はすかさず毛布にくるめた!
「俺は食堂に来ないという思い込みを利用したつもりが--」
「バレバレでちゅ! あんなに堂々と食堂に入ってゆくフォウルン殿なんて誰だって見つけられまチュよ!」
「離せい! 俺は飛びたいんだい!」
「子供っか! 成者である以上はしっかりせっんか!」
 フォウルンの陽動は完了。ただ--
「いつまでもこんな事を演じるつもりは--」
「何言ってまちゅか?」
 一方のハヤブスは望遠刀を担ぎながら倉庫で物部刃五本入ったキュプロ枝製の紐が付いた筒を見つけるなり秒を掛けずに背負う!
(今回は翼持刀を使わぜえ、望遠刀を使用せろう。あくまで狙撃に徹するしかねえ)
 ハヤブスは軍に入りたての頃はよく望遠刀で筋力鍛錬をした。それ故に狙撃の翼に衰えはない。
 十の分より後、甲板に出たハヤブスは帆に隠れながら銀河連合に狙いを付ける。
(イデデエ! 左翼がまだ痛めえ。支える方を選んだのにこんなに重荷とのろう! んえ? 相変らず組長は強すぎるでえ! 六体相手に一本も余計に使わず全て当てるなんて業師けえ! 一方のカブ壱は全て外すなんてえ! それでいながら流れ刃に当たらないなんて神様に愛されてるんじゃないでろう? それはいいとしてもウェンディが苦しむねえ。四体相手に善戦はするものの二、三本は余計に使うでえ。もう物部刃もない以上はいつやられるかわかねえ。支援せろう!)
 そう言いながら五本全てを使い果たしたハヤブスはこっそり甲板の真下に戻る。
(五回でこの痛みでえ。さすがに堪えろう)

 午後四時二分八秒。
 場所は医務室。
「腰いい砕けがあああ!」
 ハヤブスとフォウルンの二名は坂井ブク郎に説教を受ける!
「無断ん出撃いいに気付かああぬ小生でええはあるううまい! フォウルンがああ陽動でええハヤブううスが出撃すううるという段取おおりに気付かぬと思おおうてか?」
「申しわけございませえ。以後は慎む次第で--」
「別に慎むうう必要はああない! 小生だってええお前達のおお頃にいいはよくやああったぞ! そおおれで仲間が助けええられるのなああらやっても構あわなああい! ただしいい、時と状う況によってだああ!」
「ねえね、ウェンディね」
「何なねう、カブ壱君ねう?」
「組長も本当は出撃して欲しいんじゃないね?」
「二名とおおも私語は慎めえええ!」
「「はい!」」
「オホウウン! とにかく小生がああ言いたい事はああここまああでだ! 身体ああの事もおおある以上うう、二名には--」
「緊急事態ダ! 生命らしき者が空ヨリ三名こちらに飛ぶ! 繰り返す--」
「オホウウン! 処分は後にしよう。小生はああこれええから様子をおお見てくる!」
 ブク郎は甲板へと向かった!
「ところでハヤブス君ねう? 助けてくれてありがてう」
「別に礼を貰うつもりはねえ。あっしは無断出撃して組に迷惑を掛けた雄でろう」
「でもハヤブスが居なければね、僕達は死んでたかもね」
「そうよう。だから--」
 扉を勢いよく開ける音が部屋中に響く--そこにはウェンディを狙うルケラオス鸚鵡族の良家出身である御曹司ウェリンティ・アーリントンが傷だらけになりながらウェンディに近付く。
「ウェリンティねう、そんな身体でどうしたねう?」

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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