FC2ブログ

一兆年の夜 第二十五話 大空のトリ

 ICイマジナリーセンチュリー八十二年七月十五日午前六時零分五十三秒。

 場所は神武国エピクロス島エピクロ市第二西地区五番地。その中で真ん中より
二番目に大きな建物。
 齢二十四にして二十五日目になるエピクロ隼族の青年は起床するなり制服に
着替え、朝食の五穀米を軽く平らげた後、塩水で口を濯ぐ。
(歯は色雄の絶対条件でろう。あっしは常に雌に惚れられる雄になろうと)
 彼はエピクロ製の櫛で体毛に絡まった塵を入念に取り除くとため込んでいた雨水を
顔に掛けた。
(とはいえそれでも朝は起きるのが大変でえ。顔全体に水を注いどかなきゃ目覚め
ねえさえ)
 顔をしっかり拭いた後、自分の大きさよりやや小さい籠に櫛や石版五枚を入れた。
(石版はそれぞれ藤原マス太の書物でろう。代々学者肌な彼等の書物は必見でえ。
にしてもどうして石版? 住む環境を考えればわかるでろう)
 誰かに話すように思考しながら青年は籠を背負い、右翼で扉を押しながら開く。
(さあ行こうでえ! エピクロ隼族のハヤブス・ハルトマンの出陣でえ!)
 ハヤブスと呼ばれる青年は両の翼を大きく広げて風を受けながら飛ぶ--第二西
岸目指して。

 午前九時零分二秒。
 場所はエピクロ市第二西岸。
「遅い!」
 齢二十六にして十の月と十日目になるエピクロ鷹族の青年は愚痴をこぼす。
「あっし達四名揃わないとエピクロ海に飛べないってのねえ、どこほっつき回ってるん
でえ?」
「まあまあカブ壱君の良くない事はそれくらいにしませう」
 二名を宥めるのは齢二十五にして五の月と五日目になるエピクロ鸚鵡族の女性。
「雌はいい。そうやって女房役を務めれば済むし」
「雌ではありませう。私はエピクロ族の長であります鸚鵡族のウェルウム・エレシウム
の第二子ウェンデイと言う名前がありませうわ」
「ウェンデイもフォウルンもそれくらいにしそう! 喧嘩は組の仲間意識を薄れる恐れ
が高いんでろう!」
「逆だし! 喧嘩するほど仲は深まるものだし」
「それは雄の世界の話でせう。私は雌なねうよ!」
「だからやめろってう!」
「お待たせね!」
 ウェンディとフォウルンが口論する中、齢二十五にして二の月と二十五日目になる
エピクロ鴨族の青年白鳥カブ壱は何食わぬ顔で南の方からやって来た。
「何が『お待たせね』でろう! お前はいつになったら定刻に間に合うんでえ!」
「怒らないね、ハヤブスね」
「いや私達三名は怒り心頭てう。そのことをわかってう!」
「そうそうさっさと行くね! 組長が怒ってるかもね!」
 カブ壱は逃げるようにエピクロ海の西へと飛び立つ!
「待てい、カブ壱い!」
「待ちなせう、カブ壱君!」
 続くようにフォウルンとウェンディも飛び立つ!
(こんな組でこれから先やっていけるかねえ? あっしは辛いでろう)
 残ったハヤブスは置いていかれないように三名の後を追うように両翼を風に
乗せて飛ぶ!

 午前十時二十二分五秒。
 場所はエピクロ海。成人体型縦二十、横十、高さ十五もある巨大な船の甲板。
 齢三十七にして六の月と三十日目になるエピクロ梟族の老年はフォウルン、
ウェンディ、カブ壱、ハヤブスら四名に向かって説教を続ける!
「……というううわけじゃああ! カブ壱一名いいのせいいじゃなああい! お前え達
三名もおおまたああ責任重うう大じゃああ!」
「「「「はは!」」」」
「オホウウン! これよおおり今日のおお点呼は終あありじゃ! 皆持ちいい場に
つけええい!」
「「「「は!」」」」
 組長である老年の説教混じりの点呼を終えた後、四名はいつでも飛べる体勢に
入った!
「とうとう取り戻すんだねう!」
「あい、このエピクロ鷹族の雄い、フォウルン・フォーディーの鼓動はいつ爆発するか
知れんし!」
「ところで組長ね」
「何だああい?」
「名前はなんて言うね?」
(おいおえい、坂井ブク郎組長の名前をいい加減覚えろう!)
「小生はああ坂井ブク郎うう。エピクロ梟族のおお誇り高きいい傭兵いい
坂井サブー呂の第一子なああり! 七光りなああり!」
「そ、そうだったんだね!」
「これで何回目だい、カブ壱い?」
「計二十回目突入しませう」
「それ以前に組長が七光りなんて本当の話に聞こえんけでえ」
「どうううあれええ小生はああ七光りじゃああ!」
「そ、それよりもとうとう取り戻すのねえ。鬼ヶ島をえ!」
「そい、そうだったい! カブ壱のせいで鼓動が小さくなったじゃないかい!」
「僕のせいにされるのは心外ね」
「もう突っ込まねえ」
「心を引き締めんかああ! もうすううぐ島が見えええるぞ!」
(まだ先だよえ、組長せえ。まあいつ銀河連合が来るかわからのう)
 空戦部隊坂井組の目的。それは空にいる銀河連合の陽動。
 組の最年少にして組で最も強い鳥ハヤブス・ハルトマンは来るべき激戦と悲劇を
まだ知らない……。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR