FC2ブログ

一兆年の夜 第三話 あたいは生きる(七)

 あたいが目を覚ました時、そこは大きな家の中だった。
 お日様が斜めのほうに照らしてくれてるからたぶん、昼近くだと思う。
「ようやく起きてくれたか、実兎! 良かった……無事で」
 その声と共にあたいは目の前にいるのが誰なのか分かったわ。
「羽通之? ってことはここは飛遊の屋敷……なの?」
 羽通之は礼をするように頷いた。と言うことは--
「あたいは食べられてないってことなの?」
「物騒なことは口にするな! とにかく俺は君が無事ならそれで良いんだ!」
 何が君が無事なら、よ! でも嬉しいわ、生きてるのって嬉しいわ。でも--
「ユーリについては残念ながら--」
「わかってるわ! あたいはこの目で見たんだから誰よりもユーリディスの死は知ってる! だから彼のことは何も言わないで!」
 あたいにとっては死ぬまで忘れることはないよ!
 あたいが最も愛した彼の死! だからこそ--
「あたい決めたよ! あたいは伝統に従って生きていくって決めたよ!」
「えっ! でも君はその伝統を最も好かなかったはずじゃ--」
「ウルサイ! 実は好きでしたってオチで良くない? 良いわよ、ご都合的で!」
「相変わらずどこまでも勝手な雌だな…・・・ってあいつなら言いそうだよ」
「勝手にユーリディスの言いたいことを決めつけにでよ! あんたに彼の代わりなんて務まるわけ無いんだから!」 そうよ、誰にも代理なんて出来ない--それはあたいだけじゃない! 死んでいった生命の代わりを今生きてる生命が務まらないように。
 でも、だからこそあたいは--
「だからこそあたいはあんたに一生着いていくって決めるよ!
 どう? 断るなら今の内よ!」
「断る理由があるものか! 俺は君が嫁ぐ前から君と共に生きていくって決めたんだよ! それは神々の為でもあり、自分の為でもあり、両親兄弟の為でもあり、一族の為でもあり、何より……君の為だよ、実兎!」
 あたいは勝手な雌であるのよ! それはこの先もこれからも変わらない!
 この先あたいは伝統という神様の贈り物を担いで生きていくわ--生涯かけて!
 それは自分自身の罪の重さでもあり、自分自身しか得をしない重さかも知れない。あの得体の知れないモノともこれからだって出会うかも知れない。
 けれでもあたいには死んでいった者達がちゃんと見守ってるんだから--兄貴や史乃さん、それに子音ちゃんやユーリディス……。
 それだけじゃないわ! 今を生きる人達だって神々だって見持ってるわ! 特に--
「羽通之。あたいは一生あんたに見守られる覚悟があるんだから! 何故ならあたいは彼の最後の言葉を胸にこれからもこの先もずっと……



 第三話 あたいは生きる

 ICイマジナリーセンチュリー三年二月九十七日午前十時十一分十二秒。 完

 第四話 どうしておいらなんだ に続く……

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR