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一兆年の夜 第二十四話 二十四時間の脱出劇(四)

 午前四時三十五分十九秒。
 場所は廃武烈聖堂。恐らく銀河連合が主に生命を拷問する為に作ったと思われる壁紙が骨の首飾りで一杯な趣味の良くない場所。
 四名は中の様子を窺う。
(あれは鋭棒ッツ? 尻部に尻尾を吊して何に使うッツ? 他には武内人族特有の尻尾にあちこち鉄を埋め込んだ何かッツ? あんな者を作る技術があるならどうして幸せの為に使わないッツ! 言ったところで聞かないよなッツ、銀河連合とはそうゆう連中ッツ)
「ぼおい、僕はあれで一の時くらい打たれそうになったよおい! あの人族から無理矢理千切った尻尾でい」
「わしは三の時くらい打たれたのウウ! 今でも生きてる方が不思議じゃ」
「僕は打ったれなくて良かった! ママー!」
「叫ぶなッツ! 銀河連合が気付いたらどうする! 足斧だって残りは多くないのだぞッツ!」
「袋には残りどれくらいあるウウ?」
「七つッツ。俺様が装着した足斧はあと一回使うだけで使い物にならなくなるッツ」
「そうなっる前にえっと--」
「残り四名を救出するのおい?」
「正確には『残り最低四名救出せよ』との事ッツ。他の生存者は残念ながら--」
「勝手な国じゃナナ。他は助けないなんてエエ!」
「ああ。だが、それでもお前らと残り四名を救出さえ出来れば後は国家神武に鬼ヶ島奪還の意義が持てるッツ!」
 国家神武がシカット・ムーシに七名を救出する本当の目的は鬼ヶ島の内情を知る事。
 もしもシカットを含む八名全員が生きて鬼ヶ島を脱出できれば鬼ヶ島奪還の一歩を踏み出せる。
 けれどもそれが叶わないのなら--
「諦める以外に他はないと判断すっるとは国家神武は勝手すっぎるぞ!」
「声が聞こえるようおい。雨山君が怒りたくなるのもわかるけどおい」
「会話してる内に奥から銀河連合の奴等が来たゾゾ!」
 十体もの銀河連合は各生命と銀河連合の骨で作った何か二つで生命二名を運んできた。逆さ吊りにされた生命は左方から紹介すると齢二十四にして四の月と五日目になる物部猿族の青年。右方は齢二十五にして六の月と六日目になる蘇我熊猫族の女性。熊猫族の女性は眠りに就く。
「いおい、今すぐ助け--」
「待てッツ! 機が熟すまで待てッツ! ここで出れば逆に俺様達が骨にされるッツ!」
「だからって二名を身死なっせる気ですか!」
「わしも鹿族の若造と意見は同じジャジャ! 見ろオオ、囲んどる銀河連合は皆百獣型アア。油を断つ隙がどこに在ろうかアア?」
「百獣型はさすがの俺様でも勝てないッツ! 逃げる事なら容易かもしれないがッツ……」
 百獣型は壁に掛けていた尻尾付き鋭棒に足をつけてゆく。
(さすがは銀河連合ッツ! 持ち場を簡単に離れないようにするとは俺様が出る機を迷わすッツ)
 十体全てが尻尾付き鋭棒を持つと南南西の百獣型は気配を察知したのかシカット達に突進してきた!
「こ、こ、こ--」
「気付かれたかッツ! そっちがその気ならこっちだって--」
「に、逃げっようよう!」
「わしは逃げるように心が出来取らンン!」
「一瞬で二名を救出するぞッツ! 全員百獣型はなるべく相手にせず二名を救出するぞ!」
「「「オオ!」」」
 百獣型は尻尾部分でシカットを攻撃するが、シカットは逆に相手せずに真っ直ぐ百獣型の群れに突入!
「なななんだっか--」
「助けに来たッツ! お前だけは手がある分離すぞッツ!」
 シカットは素早く両手両足に懸けた骨だけ切って猿族の青年を助けた!
「ありがとっう--」
「礼はいいか--」
 シカットは百獣型に掴まれるとそのまま一本背負いされ、背中を地面に叩きつけられた!
「ガッツ、アアッツ! こッツ、今度は--」
 別の百獣型に袈裟固めを食らい体中の骨を折られようとした!
(いッツ、意識があ……も、う--)
「僕は鹿族の者を助けるうい!」
 サイ造はシカットごと体当たりで百獣型を吹っ飛ばす--その反動でシカットは離れる事が出来た!
「ありがとうッツ、サイ造ッツ!」
「どういた--」
「礼を言わないで僕も助けってエエエ!」
「泣き言を吐くナナ! わしも百獣型に追われとるぞオオ!」
「そこの猿族の雄ッツ!」
「な、何?」
「熊猫族の美雌を運べッツ!」
「命令されんのは好きじゃないっけど今が今だっからそうっする!」
 青年は背中に背負う形で女性を運ぼうとするが重いせいなのか中々足が進まない。そこへ--
「僕が手伝うおい。背中に乗せてぞい!」
「それ良いっけどそれっじゃあこの後俺の番は--」
「お喋りは後にしろッツ! 奴等は暇を与えん以上ここから急いで出るぞッツ!」
 大声で叫んだシカットは百獣型が現われた方角に真っ直ぐ走る--それに続くように三名と眠っている一名を抱えたサイ造はシカットの後を追うように逃げる!
「追ってっくるよおオオ! ママアアア!」
「お前は母依存症っかよ!」
「全く困るぞオオ! 最近の子供は--」
「世代間の喧嘩は薦めませんぞい!」
「喋るなお前らッツ! 百獣型は逃がしてくれんぞッツ!」
 シカット達と百獣型の距離は縮まない。逃げ続けて一の時が経つ。

 午前五時五十九分二十秒。
 場所は不明。武器庫のような場所に逃げ込んだシカット達は息を潜める。
(ここで出るのはまだ早いッツ。それよりも二名は誰だか思い出さないとッツ! えっと猿族のあいつは確かッツ、物部猿族で顔周りが黒く猿族にしては大きいから恐らくは国家神武が手配した紙によると多分ッツ、物部ゴリ久か?)
「あ、あの? 俺の、名前っはゴリ久。名字は物部と申っします」
「息を潜めろと言ったのにッツ!」
「んんああ? ここやわ?」
「起きたぞい。君はおい?」
「ほえ? えっとボクの名前は蘇我パタ音やわ。目の隈が特徴な熊猫族よの」
「雌の癖に『ボク』という一名称を使うかッツ!」
「自由でイイでしょの! ボクはボクなんだし!」
「口喧嘩してる暇があるかアア! もう百獣型に見つかったゾゾ!」
「うわあああ! ママッアアア!」
「泣きたいのは僕の方だよおい!」
 シカットは四、五名目も救出。名前は物部ゴリ久。猿族だけあって知恵に長けた者。もう一名は蘇我パタ音。救出者の中では投げ技において右に出る者はいない攻撃的な雌だ。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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