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一兆年の夜 第二十三話 人生貸借対照表(三)

 多目的報告研究会議室に戻ったメエガン。議論の主役はICから今後の天同家に移った後。
「仙者である参花様が去年お亡くなりになった。彼の後を継いだのは第二子であり、女性仙者である四間しま様。四間様は甥で、まだ齢五になったばかりの五生いつお様が十に
なるまでの中継ぎをされる。
 ところが、この五生様は仙者ではないという風の便りを聞く」
「後継者研究家でえあるセネカ蜘蛛族うの前原ダラ人にいしてえはもうそんな情報う
を知ってるかあ!」
「はい。情報を下さったのは天同家と繋がりのあるラテス人族の叶義男殿。参花様
の第一子である四忍様が駆け落ちなされた清殿の三番目の弟にあたる方。彼が俺
にそんな情報を与えた?
 それは清殿の第二子忍狭にはざ殿は仙者」
「それは知ってぶ。がさすがのわしもその情報を聞いど驚いぶ!
 まさか女系による隔世遺伝が発生すぶとは!」
「そうなあると後継者あをどうするうかで悩むうぞ。仙者独特うの呼吸法を優先
しいた者をお選ぶべえきか、それとおもこのまあま長子優先にしいて雄を後継者
としたあ伝統的な方を選ぶべえきか?
 僕は後者のお方を優先したいい!」
「俺は前者。神武人族は独特の呼吸法で長寿命を維持する以上はそちらを優先」
「イデデ、立ち、上がれんのう。激痛腰は老体いーに響く!」
「無理を為さらないで下さい。特別に椅子に腰掛けず、司会である
スメラビノオオサナキが付きっきりになりますから」
「ありいーがとう。そう言えばどうしてICの議論から後継者にいー関する議論に
移ったのじゃ?」
 メエガンは草餅を二つに分けながらオオサナキに質問する。
「モグ! この草餅は味が利いてるな。
 いつも通り唐突に」
「そうかいー」
 前左足で届かない腰に向けてなでるメエガンはもう一方の前足で半分に割った
草餅を口に入れた。
「問題が発生しよう。もしも女系の者を後継者にされようならその時点で神武人族の
連続性は途絶えよう。例え仙者で在られよう者でも!」
「ゥゥ今更連続性を唱える意味は?」
「人族は哺乳類。自分のような鳥類や前原氏のような爬虫類と異なられ雄社会
であろう。雄社会では男系でないと連続性は意味を為されようか」
「俺は蜘蛛族故に雌社会。そうであっても仙者でない家系で今後仙者が現われる
可能性はある? それが安心できない」
(何と言うことじゃ! 神武人族もまた貸借対照表のようにいー資産方と負債方で
鬩ぎ合おうとは! 男系をこのまま維持すルーのは吉なのか!)
「ブラックホールはどうして光を吸収するい? 光というものは神様の命なのにい!
 それなのにい」
「ブラックホールの件は知らない。それよりも水の惑星のように今後も男系を維持
できる? 惑星はいずれお日様の光に呑まれる。それと同じように天同家もまた
いずれは--」
「お日様にもいろいろな段階があるね。僕達の住むスサノヲ太陽系のね、お日様
はね、赤みを帯びた星なのね。一説ではそれが徐々に大きくなってるね」
「お日様のよおおうにいいずれはああ家系図は縮こおおまっていいき、やああがて
は途絶ええる。ちょううど人族のボルティーニいいと八咫烏族のおおアルティニムム、
それにいい--」
「星は見えようとその周りは何でありましょうか、望遠鏡を覗こうともわからずじまい。
たくさんの星や太陽系、それに銀河を命名されようともその間にある黒いものは
何でありましょうか?」
「知るっかい。全生命体の種類以上に名字が多すぎっだ!
 毎年の如くどこか一つは必ず途絶えても不思議じゃなっぜ!
 というわっきでわいはこのまま男系での継承に賛成っし!
 哺乳類は女系では赤ちゃんを大量に作れっわ!」
「毎の年ーには必ーず隕石はー降ってーくるわ。この説は有効かしら?
 隕石は降ってーくるのではなーくぶつかってーくるのよ!
 ちょうどー星の赤ちゃーんを作る為にー宇宙ーの神様が隕ー石同士の交尾を
ー仕掛けるようにー!」
(それにしいーても不思議だ。噛み合っていーない会話を皆が皆の都合良く噛み
合わせるなんてこれもまた--)
 またしても扉が壊された--三の時より前とは反対方向の出入り口の方をきね子
は壊した。
「だから扉を壊すな、きね子!」
「そ、そ、それより模大変だよ!」
「どうしいーたのじゃ、きね子君?」
「死んだ」
「誰のことをいっと--」
イサワノキミさん牙左肘から先尾切られた心身衝撃出死んだ」
 皆は議論を中断し、視線は鈴村きね子の方に集中。
「……腰砕けでないーいのじゃな?」
「はい」
「赤ちゃんーは? 金棒ー学のコノハナノイサワノキミにー子供は--」
「いると思う? 彼は研究に夢中で子作りをそっちのけ」
「何と言ううことおおだ! またああ一つの家えが落日ううを迎えるなああんて!」
「ボルティーニね、アルティニムムね、一橋に続きね、コノハナノまでね……」
「ゥゥ嬉しいのか悲しいのかはっきりした訛りは出来んのか?」
 会議室にいる者達は一つの家がまた消えた事に悲しみながら死についての議論
を始める。
(涙を堪える為に持論を展開すルー者も居るのう!
 わしだって悲しいーいのじゃ! これが宇宙の真理なら生といーう者を出す為に死
を望むのか? もはや悲しくて持論を考えルーうこともまま成らん)
 会議は午後六時零分五十八秒に終了。いつも通り意見の集約は果たせなかった。
 ただ一つ異なる点は会議終了と同時に全員イサワノキミの亡骸が安置された
場所に向かう……。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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