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一兆年の夜 第二十二話 二つの星 覚醒篇(終)

 ICイマジナリーセンチュリー六十三年七月十五日午後六時二十五分七秒。
 天同参花はアラウン・アルティニムムによって救助される。奇跡でも起こったのか
心臓には命中せず、一の週の後に一命を取り留める。
(都合が良すぎる。こんな都合の良さは神様だって認めるかな?
 他にもあるとすれば僕が救助された日にボルティーニ団が大山ニャロ助率いる
烏合の衆によって何とか僕を含めて七名が生き残ることが出来たよ!
 起き上がってその話をユキから聞かされた時にはにわか信じがたいものだったよ。
まあその話の全容を知るのはもう少し後だったかな?
 ニャロ助さんがマンドロス町を置いて駆けつけたせいでまた銀河連合に食われた
からそこでもドタバタ騒ぎになってしまったよ。僕は格好の良さを見せようと回復して
すぐに戦ったけど元の弱い僕に戻ってて悔しかったな。僕は結局すぐに強くは成れ
ないって実感したよ。
 そこで僕は守の教えに戻って復習する意味を知ったよ。基礎強化は人生と同じく
終りは来ないということをね。再びマンドロス町を取り戻す戦いは一の月くらい
続いたかな? 多くの仲間が死んでいったけど『終・一に戻り順を追って繰り返す』を
実行する事で銀河連合をマンドロス町から完全に追い出すことに成功したよ。
 ありがとう、エリオット・ボルティーニ!)

 ICイマジナリーセンチュリー六十三年十月八日。
 武内人族のモルルカはボルティーニ団から脱退。
(マンドロス町を奪還する目的を完全に達成した以上仕方ないよね。それまでに
掛けた分のマンドロス硬貨をモルルカさんに渡したけど彼は亡き親友のスワンダ
さんの分を彼の実家に渡して欲しいと懇願したのよね。彼自身の足でやりたかった
けど故郷にいる病気がちな幼馴染のことが心配でそれが出来なかったので僕達に
頼んだよ。全くモルルカさんは礼に欠ける生命だよ。
 何せ彼が去った次の日に銀河連合が百以上でマンドロス町を襲撃したから
ギャレイ土さんやアラウンさんはどれほど苦労したか考えて欲しいよ。
 僕はその時、何もせずにただエリオットさんの教えに従う? いや、守と同じく
繰り返す意味を知ったよ。あれは守の教えと異なって教え通りにせずそこから
抜け出す発想を以て事に当たることを示してたという事実をね!
 だから守破離なのか? いやまだその意味を完全に理解できない。
 まだ僕はエリオットさんの強さに並んだつもりはないんだからね)

 ICイマジナリーセンチュリー六十四年十二月百二十日。
 ロージャ・メデリエーコフは参花とユキの結婚式を命を捨てて死守。その時、
齢三十五だった。
(結婚式は大変有り難いものなのにロージャさんが死ぬのは悲しい。僕は一体
どれだけの命の上に立つのだ? つくづく生き続ける辛さを感じたよ!
 ロージャさんなら仙者以外で六十まで生きるような雄だと思ったのに!
 それでも僕はロージャさんの死を大事にしないといけない! あの方は結婚式を
死んでも守ったんだ! これからもユキとは死ぬまで一緒であることを誓わないと
ロージャさん達に申しわけが着かないんだからな!
 そうか、ロージャさんはこう言いたかったんだな。
 『守とは死んだ後でも守り通す教えだ』って事をね。難しいよ、そんなの!)

 ICイマジナリーセンチュリー六十五年七月十三日。
 マンドロス町は完全に浄化された。だが真島ギャレイ土は度重なる戦いの後遺症
により三十五の若さで浄化された町を永遠に見る事は叶わなくなった。
(ギャレイ土さんはもう墓の下だ。でも彼が作った五名の子供は現在も見続ける。
 それはギャレイ土さんが最後まで突き通す想いの証だよ!
 そうか、それが破の意味だったんだね。突き通す、いや突き破るという意味。
 もしかすれば僕はこのマンドロス町を何かの切っ掛けがあれば突き破れるんじゃ
ないかな?
 町から市、そして……)

 ICイマジナリーセンチュリー六十六年一月十日午前八時五十分一秒。

 場所は大マンドロス市中央地区新神武聖堂。天同参花の間。
 齢二十五になったばかりである神武人族の青年は灰色の髪を腰まで伸ばす。
「髪を切るべきかな?」
「ええ、あたしよりも長いのは気に入らない!」
 齢二十五にして一の月と七日目になるアリスト人族の女性は肩まで伸びる水色の
髪を振り乱しながら答えた。
「あんまりカリカリしないでくれる? お腹の子が--」
 成人体型は一とコンマ三に満たず、鶏量は十七になる巨漢の青年は鳩尾に右肘
が入り、苦しそうだった。
「この感じは雄の子が出来そうだ、ね。グウグ!」
「あなたに似ていなければいいけど」
 人差し指の大きさよりも小さい両眼で青黒い瞳で女性の今にも産まれそうな腹を
見つめる青年はこう返す。
「ははは、ユキには今でも勝てないな」
「勝ってもらわないと困ります。あなたは天同の仙者ですよ!」
 鼻は今では獅子族に近いくらい剛胆な形となるものの、昔から彼の性根は弱い
ままだ。
「別に仙者のように振る舞える訳じゃないさ。生命はそう簡単に変わらないよ。
 いくら強くなっても心までは昔も今も同じさ」
 顎まで届く耳に、自分の拳が入る上下唇が小指より僅かに細い口をしながら彼は
不変の法則を信じる。
「変わらなくちゃいけない部分ってのもありますよ。例えばあなたへの呼び方とか」
「そうだな。僕は代わらないけどユキは大変だよな。生涯僕の妻だからな!」
 端整な顔立ちで妻であるユキ・ライダルの苦労を何とか察する。
「もうこんなところで喋る暇はないわ! さっさと行きましょう!」
「ああ、今日から国民と成る僕達の民が待ってるからな!」
 青年の名前は天同参花。愛する妻ユキと共に国民になる数百万もの生命の前で
こう宣言した!
「これよりマンドロス市は新国家神武として再生する!」
 国家神武の再生。水の惑星に再び国が誕生した。
『--離の教え
 初・教えから離れて自分だけの教えを築くべし。

 ここから先は守破離の教えが参花様を導く星と成りましょう。』
「……」
 参花はもう捨ててしまったエリオットの教えが詰まった紙を思い出した。
(『初・教えから離れて自分だけの教えを築くべし』を今でも実行します。
 その意味は僕なりの解釈かもしれないけど、国家神武を復活させることなのかも
知れない。
 全生命体の希望をもう一度この地に甦らせることが最後の教えによる本当の意味
かも知れない。
 いや、それしか考えられない!
 僕は命を燃やし尽くしてもこの教えを守り、突き通し、そして羽ばたかせてみせる!
 エリオット・ボルティーニという星を目指して僕は星と成る!)



 ICイマジナリーセンチュリー六十六年一月十日午前九時零分零秒。

 第二十二話 二つの星 覚醒篇 完

 第二十三話 人生貸借対照表 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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