FC2ブログ

一兆年の夜 第二十二話 二つの星 覚醒篇(八)

 未明。
 場所は拠点型心臓部。
 ユキは無言で両眼を開けた。
「……またあたしは縛られてるんだ。銀河連合に交尾させられずにそのまま」
 およそ三の日は何も食べないせいか、ライダル家伝統の威圧は出せない。
「もうすぐ死ぬのかな? だったらあたしを死なせてよ。リンボルさんを死なせたみたいに」
 ユキは生きる活力さえ湧かない。空腹がそうさせたかのように。
 ユキの言葉を聞いたのか視線の斜め右から無数にも渡る血管が激しく動く。
「ああ、あれは?」
 現われたのはシャラムを死なせた指揮官型。けれどもユキの心に怒りは湧かない。
「そうか。あたいはシャラムさんを死なせたあの銀河連合に?
 さっさとあたいを死なせて--」
『それはいけない』
「あれ?」
 ユキはエリオットの声を聞いた。
「幻聴かしら?」
『自分と始めて会った事を思い出せ、ユキよ!』
「二度目だわ! あたいはもうすぐ死ぬからまだ未練を残して--」
『他とえなにも口に出来なくても生きる希望だけは意地でも離さないと言ったのは誰なのだ?』
「もういいでしょ! 幻聴の癖にあたいにそこまで説教するなんて!
 雌は心変わりが早いのよ! 今だって生きる可能性は残って--」
「諦めるな、ユキ!」
「五月蠅いわね! あたいの頭はそこまでおかしく--」
「いや、おかしくないよ!」
 視線の斜め左から見覚えのある灰色の髪をした少年が現われた。
「まさか参花様?」
「無事だ……済まないユキ! ちゃんと確認できないよ!」
「その頼りなさそうな事言うの参花様だ!」
 ユキは手足を動かそうにも縛られて出来ない。
「あれはエリオットさんを死なせた銀河連合!
 だが今は--」
 参花は成人体型三十あるユキの所まで一瞬で駆けつけると鞘から新式神武包丁を抜き放ち、ユキを解放した!
「さ、んかさまあ!」
「恥ずかしいよ、やっぱり!」
 参花はすぐさま褌の状態になりユキに服を着せた!
「これで何とか……うっ!」
「何が何とかよ! 参花様が裸になってどうするの!
 あたしは大事な部分だけ隠せたら後は--」
「ユキ! どうやら指揮官型は僕達を--」
 ユキと戯れている隙に指揮官型は雄略包丁に似た物を握り、それを参花の頭上目掛けて振るった!
 参花は新式神武包丁で防御した!
「今日の僕は強いぞ! 今度は生かす気はない!
 『九・考えを怠るのなら守の教えに戻って復習するべし』を実行中だ!
 僕は今、考えが頭によぎらないんだよ!」
 参花は力を込めて指揮官型を吹っ飛ばす--指揮官型の左足が先に着く前に参花は飛び込み、着地と同時に攻撃を激しくする!
「狭間姉さんの形見は残り一回しか斬る事が出来ない!
 一撃で倒すぞ、指揮官型!」
 参花は防御する暇も与えず指揮官型を攻撃するが、全て果物包丁の刃先で避ける!
 参花の攻撃に隙が出来たと踏んだ指揮官型は左から隠し腕を出して心臓部目掛けて攻撃!
「当たるか!」
 参花は左逸らしに回避--同時に突きを繰り出すも指揮官型は歯で掴む!
「やるな!
 だからどうした!」
 参花は力一杯指揮官型を持ち上げると半月を描くように地面に叩きつけるが--
「そうか! ここは銀河連合!
 でも離せるなら一気に後ろに下がろう!」
 言葉通り参花は成人体型十くらい後ろに下がった!
「ユキ……!」

 一方のユキは参花が現われたところへと走る!
「これは参花様を置いていく事じゃないわ!
 安全なところに避難して参花様を見守らないと!」
 だが、そこからは無数の血管がユキを交尾しようと襲いかかる!
「わっ! ひえ!」
 ユキは思わず反対方向に逃げてゆく!
「何なのよ! 銀河連合はどこまであたしを弄べば気が済むの!
 え? まだ襲いかかるの?」
 ユキの前方に同じような血管が襲いかかる!
「こんな諺を聞いた覚えある!
『前門の虎、後門の狼』って。この場合虎も狼も銀河連合になるわ!」
 独り言を言いながらもユキは無数の血管による交尾を避け続ける!
「参花様が気になる!」
 ユキが見た参花と指揮官型の戦い--それは成人体型三十以上離れても目で追いつけないほどの攻防が繰り広げられる。
「うわっ! あひゃあ!
 参花様はいつもの参花様じゃない! もしかして……うわっ!
 このままじゃいずれあたしは!」
 ユキはそれでも回避し続けるが三の日くらい拠点型から放たれる匂いと空腹によって限界を迎えようとしていた!
「はあはあはあ」
 その時だった--ユキは自分が縛られた場所を見てある考えが浮かぶ!
「縛られた場所の近くに大きい剥き出しの心臓があったわ!
 はあはあはあはあ、も、しかした、ら……」
 ユキは走ってゆく!

 参花と指揮官型は未だに決定打を下せずにいた!
(エリオットさん! あなたはこんなに強い銀河連合と戦ってたんですね!
 ようやくわかりましたよ! 指揮官は常に強くとは部下よりも弱いと示しが付かない! だから強いんだよ、この銀河連合は!)
 参花は隙を突いて横薙ぎを仕掛けるが--右胴体より出た隠し腕と左腕で横白刃取りをするとそのまま刃を破壊した!
「そんな……」
 意気消沈した参花を見た指揮官型は包丁で参花の首を斬ろうと大きく振りかぶる!
「参花様ああ!」
「ユキ?」
 参花はユキの声を聞き、後ろに飛んだ--それを見た指揮官型は振るのをやめてゆっくりと間合いを詰める!
「ありがとう、ユキ!
 ようやくわかったよ! 仲間を元気づける事は勝ちやすい方向に転ばす為!
 勝負は心の強弱で決まるから元気付けをさせないと--」
「参花様! 指揮官型よりも先に心臓型を倒す事を……うわああ!」
「ユキ! 多数の銀河連合を相手にするな!
 一名ではどこまで強くても結局は一体しか対応できないんだ!
 何故なら心は一つしかないんだよ! 一つしかないのにどうして多数を相手にできる? 出来ないんだよ! 全ての物はそうゆう風に出来てるんだ!」
 参花は刃の欠けた新式神武包丁を鞘に戻すとユキの方にすかさず駆けつける!
「参花様! 確かにあたしは……うわあ!」
 参花はユキを仰向けの状態にしたまま両膝と右脇を通すように抱えた!
「恥ずかしいよ、参花様!」
「一つ飛ばして頭を狙う事の意味。それは頭がやられると他は統一した行動が取れなくなり散らばってゆくからだよ!
 だから僕は…・・うわ! どうわ! 血管が多いなあ!」
 あんまあり早く、うごか、ないデエ!」
「ごめん、ユキ!
 話の続きだけどだからこそ僕は指揮官型を倒す為に心臓型を倒す!」

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR