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一兆年の夜 第二十二話 二つの星 覚醒篇(七)

 十の分が経過。
(攻撃に踏み込めない? いや違うかな?
 と、とにかく言える事は踏み込めば確実に死ぬから里香さんもあの獅子型も足を出せないんだ!)
 里香は鋭棒を僅かに持ち上げる。対する百獣型は後ろ足同士を更に広げる。
(わからない。あれじゃあ動きが鈍くなる気がするんだが?)
 それから二十の分が経過。
 参花と里香は激しい匂いを気にしながら百獣型の出方を窺う。
(前の足は互いにくっつけ合うけど後ろはくの字からハの字になってるよ。
 僕ならあそこで攻めたいけど里香さんとしては攻めるべき間隔じゃないのかな?
銀河連合はいつだって何かを仕掛けるから。
 それにしても匂いがきつい! このままじゃ僕は--)
「弟君?」
 え--と参花は突然里香から話しかけられたのでどう受け答えしていいか迷う。
「ユキちゃんは必ず救うのよ!」
「はい?」
 その言葉を最後に里香は百獣型に視線を集中--そのまま肉体は前に進む!
「里香さん!」
「はあ!」
 里香は百獣型の脳天目掛けて鋭棒を押し込む--踏み込みの速さに百獣型は避ける事も叶わない!
「やった!」
 二名が思った瞬間!
「が、ああ?」
 貫かれたのは里香の方だった--百獣型に当たる寸前で鋭棒は止まり、どこからともなく運ばれてきた鋭棒が里香の右肋から左脇にかけて貫通!
「あ、あれ? 何であたいが?」
「り、か、さん?」
 里香はそのままうつ伏せの状態で倒れた!
「里香さあああん!」
 参花が里香の側に駆けつけたが、既に想念の海へと旅立った!
「里香さん! ねえ起きてくれ!
 里香さん! 里香さん!」
 里香を必死で甦らせようとする参花の前に里香を死に至らしめた血管が三本、絡みつこうとした!
 その時--三本とも横に真っ二つにされ、大量の血を周囲に放出!
「この鋭棒はリアクターさんの物。
 という事は獅子型ああ! 里香さんの代わりに僕は蘇我鋭棒をふるう!」
 参花は刃毀れを起こした雄略包丁を鞘に戻すと里香が持っていた鋭棒を両手で握ると先ほど里香がやったことと同じような構えをした!
(鋭棒の使い方はわからない! でもわからなくても僕はリアクターさん、里香さん、そして門人姉さん、狭間姉さんに弐高姉さんの仇を討つには鋭棒であの獅子型を討つしか五名の供養を! あの獅子型に死なれた多くの生命の供養が叶わないんだよ!)
 参花は百獣型に突進!
 だが、参加の頭上まで飛ぶとそのまま関節技を仕掛けた!
「ぐ、ああ、ああ!」
 両後ろ足で首を極められた参花は左手で離そうと抵抗する!
(くる、し、い! こ、の、まま……死ぬかああ!)
 参花の左手に力が込められた--それは百十型の後ろ右足を粉砕骨折させるほど異常なモノだ!
 粉砕骨折のあまり参花を話した百獣型は残りの足で参花から離れようとするが--
「逃がしてたまるか!」
 参花は振り返るなり成人体型十九まで離れた百獣型に一瞬で近付き鋭棒を脳天に放つ!
「当たらないか!」
 百獣型は右に傾く事で回避し、そのまま逆立ちで左後ろ足蹴りを放つ!
「避けるかよおお!」
 参花は左の裏拳で左後ろ脚の骨を粉砕!
 百獣型は参花の持つ異常な力に身震いをする!
「これが僕達に振ってきた力の正体だ!
 銀河連合はその力で僕達を死なせてきたんだ!
 その代価をここで僕が支払ってやるんだ!」
 参花は真っ直ぐ百獣型に鋭棒を放つ!
 百獣型は脳天から臍にかけて貫通し、参花に与えてきた悲しみの代償を払った!
「はあはあはあはあ、やっと僕は姉さん達の魂に報いる事が。
 姉さん達に報いる事が出来、たんだ、はあはあ」
 参花は涙を川の流れのように溢す。それは百獣型によって死なれた生命への鎮魂の涙と成る。
(門忍姉さん、狭間姉さん、そして弐高姉さん。
 僕はまだ戦いを終わらすわけには参りません。
 これから僕は大切なものを救うべく足を踏み出さなければなりません。
 それまで僕は姉さん達の所に参る事は叶いません。どうか見守って下さい!)
 参花は百獣型の死体と血管に一礼をし、里香の死体を仰向けにすると持っていた蘇我鋭棒とリアクターの遺品である鋭棒を斜め十字に胸に翳す。
 そして十の分の間、土下座をすると里香の死体を背に歩き出す。
(待っていろ、ユキ!
 今、必ず君を助けてみせるよ!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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