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格付けの旅 デュアンは浮力の宇宙を体験する 続・クロードを襲う悲劇

 ライドマシン……其れはどっかのメガマンに出て来るメット野郎が愛用するあれじゃないぞ。悪魔用に開発された浮力下でも地上を疾走出来る準人型起動兵器。乗り方は簡単で剥き出しのコクピットに座るだけでペダルとアクセル或は用途に応じてクラッチペダルを踏みながら移動を熟せば良い。方向転換する時は左右のレバーを動かすだけで良い。まあこんな感じで操縦方法は俺の世界に在った箒や馬車とかそんな奴等と如何大差が在るのかわからんが若干の違いが在るだけで済むそうだ。
「--だが……ウワアア、クソウ。此奴に備わるAIは何とか成らんのか!」何とライドマシンには人間様と同じような動きを可能とする『MAI』が備わっていた。「クラッチで簡単変換可能でも此れはないぞ!」
「仕方ないだろ、イデデ」貫通する程の重傷を負っているのにクロードは態々隠れ家にて俺が操縦出来るように手解きをしてくれるもんな。「悪魔空手、悪魔柔術、天使ボクシング、天使レスリングを熟したい運転手が多いから市販のライドマシンには其れが機能しているんだよな」
「どの世界でも共通する武術やスポーツは存在する訳だな……だが、機動兵器に必要なのは軍隊格闘術だけだろうが!」
「いやあ最近の軍事学者の意見としてはステップ機能を配した軍隊格闘術は、イデデデ……兎に角、軍隊格闘術は咄嗟の逃走に不便だと聞くそうだ」
「逃げる時だけ付いている筈なのだがなあ?」
 一体如何ゆう『コマンド』でステップすれば良いんだ……此れだけでも軍隊格闘術じゃああらゆる戦場に対応出来ないな--とクロードは言うけど、其れで納得する俺じゃないだろうが!
 コマンド……此れは重要でゲームの操作は体を左右上下に動かす十字キーやスティックだけじゃない。ボタン入力も重要。但し、ボタン入力はあくまで手を出す足を出すと言った簡単なコマンドに過ぎない。其処に十字キー及びスティックの組み合わせを以て独自の動きを可能とする場合も在る。此れがコマンド入力。例えば波動拳コマンドの下、下斜め右、右からYボタン、Xボタン、Lボタンのどれかを押すだけで発動する特殊行動。まあ、波動拳を何故俺が知っているのかは触れないでおいてくれよ。
 ライドマシンをイマイチ理解しない俺と理解し続けるクロードとではやはり違って来るな。俺の場合は元々体術は得意じゃない方だから反射神経を活かした操作が出来ない。一方で悪魔独自の身体能力を有するクロードは其れを手足のように扱う。頭が良くて色んな理論を思い付くのに其れが肉体に活かせない俺はつくづく実感する……「なあ、クロード」訳を聞きたい程に。
「ああ、小難しい事はわからないがお前が悔しがる気持ちも良くわかるぜ。何せ昔の俺も貧弱坊やだったからな」
「そうなのか?」
「ああ、勉強は出来ないし然も子供の頃は虐められてばっかりだった」
 お前が--とてもそうは見えないクロードの過去が明かされる……其れは同時に死期が迫っている事も指す!
 そんな時に俺は気配を察知する……悪魔の其れではなく、まるで聖なる気が押し迫るように!
「お前も気付いたか、俺も気付いた」
「大丈夫か、其の怪我で動ける訳ないだろ?」
「馬鹿にするなよ、ライドマシンは其の為に在るんだ!」
 機械仕掛けで……まあ俺も言えんが--と言いつつも俺はライドマシンのデータを元に新たなデュアンロールの作成を試みている……故に物頼りを批判する権利はない。
「態々此の『浮き沈み』が激しいこんな場所に降りるなんて!」
「数学のイロハも知らん悪魔共を狩るのが趣味な俺達が何で態々無名の悪魔を狩らなきゃ駄目なんだ?」
「依頼だよ、例の……な」
 数は六人、そいつ等は俺の見立ててでは大した実力も持たない。だが、数科学の世界に慣れない俺や負傷の身のクロードを倒すには絶好の六人。こんな奴等でも白い翼をはためかせると思うと俺の知る天使像は大きく隔たりを見せる物だな。
「たった六人で俺達を狩ろうってのか……つまらんな」
「舐められていますな、俺達」
「あの羽無しも俺の事を舐めてやがるぞ」
「糞があ、地獄生活が偉いんかっつーの!」
「『ルサンチマン』を垂れ流すのかよ、天使様の癖に」
「デュアンはどんな想像をしたんだ? 天使も悪魔も関係ない、外道をする奴が悪なんだ!」
 だな--天使は善、悪魔は悪という構図が必ずしも正しいとは限らない事例は俺の常識を益々切り替えるきっかけにも成ったな……因みに戦闘は負傷の身と成れない身で在るにも拘らず僅か一分以内に沈黙!
「つ、強過ぎるぞ!」
「あの羽無し、国語を使わずに如何やって属性悪魔術を操るんだ!」
「いや、確かに国語のような表現が聞こえた。奴の詠唱速度が早過ぎて俺達の耳に、届かないんだ!」
「馬鹿な、誤詠唱する筈なのに……何で?」
「抑々、あ、あれは悪魔術、なのか!」
 零詠唱を舐めるなよ--俺が居た世界で不動の物とした俺の詠唱術は例え物理攻撃の達人だろうと付け入る隙を与えんからな!
「やるじゃないか、デュアン。お前さん、其の悪魔術……本来の名称は何だ?」
「魔法、だ」
 魔法……魔術の間違いじゃないか--そう言うな……俺の居た世界では魔法も魔術もごちゃ混ぜにしているもんだからな。
 だが、本来の意味での魔法が使えない俺じゃない。魔法だって零詠唱でやろうと思えば出来る……威力が下がるからやらんだけだ。
「お前等全く使えないな」其処へクロードを負傷の身に冒せた張本人が漆黒のライドマシンに片足を付き立てながら馳せ参じる。「よお、又会ったなあ!」
「ガットラー、やはりお前の差し金か!」
「へん、天使っつっても端金には弱い。特に不気味な相手から頂戴される使途不明金を自由に使えるなら危険な任務を引き受けても躊躇いはねえからな」
「如何ゆう事だ、ガットラーとかいう悪魔?」
「紹介しよう、『ワイズマン』様さ!」
 『ワイズマン』……だとお--と驚きの声を挙げる俺の前にガットラーの右隣に現れるフードから顔を覗かせるのがデフォルトのワイズマンが現れた!
「久しぶりだな、デュアン・マイッダー」
「ストーカーめ、弱い癖に未だ俺に歯向かうのか!」
 俺が弱いんじゃない、お前達が強いから相対的にそう映るだけだ--と情けない事を口にする当たりやはりワイズマンだった!
 ルサンチマン……此れは弱者の情けない強者妬みの事を指す。此の感情は空しいし、却って自分の為に成らんから止めるように。まあ、嘗ての俺もこうゆう僻み精神の塊だった事は素直に認めるがな。
「フン、悪はルサンチマンを欲する物だ。だが、俺は少なくともお前みたいな奴等以外なら苦戦する事を知らないからな」
 言ってて情けないフード野郎だな、其処のワイズマンって野郎は--言われているぞ、ワイズマン。
「言うじゃないか、クロード・ベルフェゴール。だが、其の傷で一人と一体掛かり……敵うと思うか?」
「デュアンが居れば--」
 知らないか、デュアンはチームワークが苦手な事を--其処を突くとはな……其ればっかりは知られたくなかったのに!
 其の瞬間、俺は気を取られて……両肩を極められる--二体のライドマシンの存在に感付けずに!
「クソウ--」
「デュアン、確かにお前の腕力、脚力、そして並外れたスタミナの数々は一般生命を大きく凌駕する。だが、お前の体術は一般生命の其れと大差なし。そうやって肩を極められたら最早身体能力で何とか出来ない……其れがお前の弱点だ!」
「デュアン、直ぐに--」
 待てや、クロード……貴様の相手は此の俺様だ--ライドマシンに乗ったガットラーを相手に負傷の身のクロードで何とか出来る訳がない……だが、今の俺は身動きも取れない!
「原初の焔よ、汝を仇名す敵を焼き尽くす為に其の昂る憎悪を膨れ上がらせろ……卑怯とは言わせない。俺の恨みを晴らす為にも此処は悪党の流儀に従って貴様を屠る」奴め、俺の両肩を極めたのは超級魔法という大技で確実に仕留める為だったか。「--此処では無理だって? あのなあ、デュアン。どんな世界だろうと『裏技』は存在するんだよ。お前だって其れを利用して此の世界でも魔法を使えるようにするのだろう? 知っているぞ、お前の企みは……だが、終わりだ。喰らえ、汝の敵を今こそ完全に焼き尽くす時……ギガフレアアアア!」
「グワアアアアア--」
「お、俺達迄えええ--」
「--ウオオオオオオオオ!」ライドマシンさえも破壊する程の大技だ、其れとは知らせずにやるかあ……「--ワイズマアアアアアン!」此れがお前の言う悪党の流儀なら俺は俺の流儀で突破して見せる。「--久々に仕掛ける……リフレクト、ブレイカアアアアア!」
「まさか……ウグオオオオ!」野郎、直前でロックオンを逸らして左腕一本に留めたな。「やはりデュアン・マイッダーか!」
「ハアハアハア」右手を地面に付ける俺が居た。「腐っても其のレベルじゃあ最高水準のワイズマンだな」
「漸く認めた序だ」ワイズマンは在る場面を俺に見せ付ける。「悲劇の味は美味いぞ!」
 俺が見たのは……クロードの死に様。寸での所で胴体を貫かれるともう、あいつは--其れ以前に俺とワイズマンの一戦中に何処迄凄い戦いをしたんだ?
 兎に角、俺はクロードが死んだ事を認めるしかない。長い付き合いでもないし、其処迄共感出来るポイントはない。だが、俺は勝負の世界が何処も同じだと痛感する。勝負は幾ら戦術が正しくても戦略の時点で相手に上回られれば引っ繰り返らない現実が在る事を。確かにクロード・ベルフェゴールは強い。ガットラー・ベリアル―の駆るライドマシンを破壊した上に奴を瀕死迄追い詰めたのは正しくて老いの獣が見せる底の知れない高みだろう。だが、結果は戦略の時点で決まっていた!
 其の後、俺はガットラーを殺す余裕もない。ガットラーもワイズマンも俺を殺す余裕がない。奴等は天使軍の侵攻を読んで其の場を後にした。無論、俺も同じだ。知り合いを殺された恨みを晴らすべきは其処じゃない。倒すべき対象を仕留める前に先ずは自分の身の安全を優先する……恐らくクロードが勝ち残ってもそう判断しただろう。こうゆう場面で戦術的な正しさは証明されるのだからな。
 今は……此の世界で生き残る事を優先しないと!


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tag : 格付けの旅 小説 SF 冒険 ファンタジー

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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