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格付けの旅 デュアンは浮力の宇宙を体験する クロードを襲う悲劇

 飛翔能力……在る奴の話に依ると滞空時間を優先し、速度を犠牲にした翼こそ天使の特徴。速度を活かすが滞空能力を逆に失ったのが悪魔の特徴。其れ等は筋肉に於ける赤色筋肉と白色筋肉の関係性に良く似ているとの事。別段、悪魔が滞空時間が全くない訳じゃない。中には滞空時間が優れた悪魔も存在するし、『滑空力』を全面に活かした天使も存在する。唯、天使と悪魔は其々持久力に優れた翼を持つのか滑空能力に優れた翼を持つのかの違いで判断出来る。見た目以上に此れは重要な指標と成るそうだ。中には滞空時間と滑空力の両方を備えた堕天使又は『獄天使』成る存在も居るには居る。とはいえ、そうゆう連中はどの陣営からも嫌われる混ざり者な為にそうそう見掛けられないな。
 とまあこんな感じで説明する。其れを教えてくれたのが俺を匿う変わり者の悪魔クロード・ベルフェゴール。奴曰く天使も悪魔も見た目と性質だけの違いが在るだけでそんな事位で争う意味がない、と語るそうだ。
「俺を変わり者というのか?」
「当たり前だろ。そんな簡単に人間が割り切れるなら種族問題は拗れないと俺は思うぞ」
「かもな、俺みたいに考えられたら争いは無く成って上層部共は困るしなあ」
「戦争したがり屋はどの世界でも存在するんだな」
「とはいえ、最近じゃあ『神罰兵器』って奴のせいで簡単に戦争が出来なく成って益々天地の少子高齢化が進行してらあ」
「……何だ、そりゃあ?」
「知らんのか? 天界のシマヒロやサキナガに打ち上げられたきのこ雲を誕生させる忌々しい兵器だぞ!」
 ……若しかして魔導弾か--此の世界では魔導弾の事をそう総称するのか!
「察しが良いようだが、何を言ってるのか俺にはわからん。だが」クロードは悪魔にしては珍しく地頭が良いのか、俺の言いたい事を瞬時に理解する。「要するにお前さんの居た世界では何とか弾と呼ぶそうだな。世界って見る側にとっては基本法則って違うのだな」
「理解が早くて助かるよ」
 俺を頭が良いと思うなら止めとけ……平均的な悪魔同様に数学のイロハがさっぱりわからねえ--龍道が支配する世界で龍道が使えないと主張するのか?
 神罰兵器……クロードから聞いた話を俺なりに纏めると此の世界の魔導弾を意味するかもな。此処では魔導弾に依る威嚇のし合いを神罰抑止力と呼称するとすれば其れがどれ程人命を奪い取り、尚且つ自然災害を起こすのか想像も付こうか。但し、実物は映像すら見た事もない。直に見る機会に至ってはきっと巡り合わせ難いだろう。今は此れ位しか説明が付かない。
「とはいえ、デュアンと言ったな」
「何だ、悪魔様から喧嘩の方法を教えてくれるのか?」
「違うな、気付かないのか? お前程に足の速い奴なら此の程度の気配に悟れないなんておかしいのだが?」
「とっくに気付いている。だが、あの羽の輝きは何だ?」
 ありゃあ、『悪魔術』だ--又新しい異世界用語が飛び出して来たな……直ぐに俺が理解出来ると思ったら大間違いだぞ!
「天使術か何かか?」
「其れとは別に……国語を使ったシンプルにやばい代物だ!」
 国語……まさか此の世界の魔法は龍道じゃないのか--純粋に詠唱を行う其れも此の世界に存在するのか……如何成って居るんだ、異世界の法則ってのは!
 此処では『悪魔術』の解説をしている暇はない。実際に体で受けて確かめよう。すると炎やら水やら風やらが飛び出して来た。俺の足で逃げられるか確かめる。すると『ホーミング』して……「グワアアアア、ハアハアハア……ソコソコ効いたぞ!」数秒と経たぬ内に追い付かれて打撃を被った!
「『ロックオン』されたんだろ? 天使術同様『ロックオン』されたら『完全飛散距離』に行き着く迄は追い掛けて行くからな!」
「全く……魔法と同じじゃないか。然も何かぶつぶつ呟いていたな」
 其れが『悪魔術』に於ける『祝詞』だ--魔法の詠唱だって『祝詞』の一種だぞ……次々と新用語を持ち出されたら新規の者達は決して追い付けないな。
 ロックオン……支援法術の一種ではなく、魔法用語の一つ。詠唱終了する迄此れから離れるのが遅れれば逃れる事が出来ない代物。要は磁石の砂を付けられたと思えばわかりやすいだろ? そんな砂を掛けられた状態で磁力に引き寄せられるナイフの先端が飛んで来たら避ける事が出来ると思うか? 出来ないのだな、此れが。此れこそがロックオンの恐ろしい点だよ。
 ホーミング……ロックオン後に襲い掛かる魔法の基本法則。一度ホーミングされたら其れは時間を追う毎に速度を増してロック御対象を貫く迄飛んで来る。被弾した時の威力に相違がないのは距離と跳ね上がった速度が反比例するからなのか? 或は……おっと蛇足だな。
 祝詞……詠唱の別用語。或る魔法学会では詠唱を祝詞にしろと五月蠅い。其の理由は魔法の詠唱に風情を持たしたいが為。風情を齎しても威力が上がる訳じゃないんだがな。とはいえ、言葉尻を綺麗にするのは賛成だ。言葉が汚いのが続くと心迄下品に成ってしまうからな。
 完全飛散距離……魔法攻撃に於ける射程問題と絡む。必ずしも威力が高いからって射程が長く成る訳じゃない。着弾すれば其れは圧縮が解放されて破壊力として算出される。だが、着弾しなければ空気中で浄化する。其の為に完全飛散距離は下級魔法も或は超級魔法も共に同じと仮定される。よくある重い者と軽い者を同時に落としたらどっちが早く落ちるか? 其れを頭に浮かべれば威力の云々で飛距離が上がるという比例は有り得ないのがわかる。
 とはいえ、俺の素人拳法で『悪魔術』を使用する奴等を片っ端からのしてやった。相手が雑魚で良かった。
「強いなあ、デュアン。魔法無しでも戦えるのではないか?」
「いや、此奴等が戦闘及び格闘の素人で良かっただけだ。若しも少しでも型に嵌って居れば俺の早いパンチやキックも見切って来るだろう」と此処で俺はクロードの格闘センスを褒めてみる。「其れにしてもクロード、お前はマジで強いなあ」
「そりゃあ腕立て腹筋は欠かさん。後は技を少しも磨く日がないなんて何処に在るか!」
「だな……」
 だが、俺達が感知した気配と一致しない。此奴等の強さは。さっきの気配は確かに俺を少しだけ驚かせていた。なのに戦うと呆気ない。こんな不等号は有り得ん。何処だ……「此処だ、間抜けがあ!」
 危ない、デュアン--俺は油断してしまい、其れを庇ったクロードは胸元を貫かれる!
「クロード……お前!」
「つくづく、俺は……悪魔らしくないよなあ?」
「ハッハッハ、致命傷を免れたな……え?」クロードにこんな事をした張本人が姿を現す。「だが、此れで目の上たん瘤だった貴様を始末出来る訳だ」
「ガットラー、何処迄腐っていやがる!」
「そんなに自分の大切な雌豚が殺されたのが不服かあ?」
「黙れ、悪魔の常識じゃあ女は死んでも替えが居れば幾らでも良いと主張出来よう。だが、俺は違う。セルシアは誰よりも大切な雌豚だ。こんな人情も欠片もない世界でたった一つの花だったんだ!」
「そんな考えが出来るのはお前だけだ、此の間抜けがあ!」
「いや、俺を忘れるな」
 異邦人はカウントしねえんだよ、バアカ--だよな、と感心していられないな。
「其れにしたって目の上たん瘤且つ実力だけは認めるあのクロード・ベルフェゴールがこんなに呆気なく殺せるのは、中々だなあ」
「ゲホゲホ……致命傷は避けたってお前が言ったじゃないのか?」
「其れでも此の戦いでは俺様は勝つ。お前みたいな奴に何時迄も後塵を拝する訳には往かない!」
「クロード、今のお前ではあいつに勝てないぞ。此処は--」
「それだけは御免だなあ、デュアン。見てろよ、俺の戦いを……お前に足りない物を全て教えてやるぜ!」
 此れは俺が最後に会ったクロードの信じられない執念と其の強さの秘訣を見せ付けられる戦いだった!
 確かにガットラー・ベリアルーは強い。俺が見た所に依るとあいつは色んな武器を使い熟して斧使いのクロードを瀕死とはいえ、追い詰めている。後は鍔迫り合いでも力の乗せ方が絶妙で何処に力が入らないのかを的確に見切っていやがる。だが……「たりゃアアア!」瀕死のクロードは底力を発動して徐々に強さを発揮している。開始から三分間は下がってばかりだったのに其れを過ぎると急に互角の剣戟を演じている。何処にそんな力が? 簡単だ、俺は何時だって其れを実行して来た……環境じゃない--そんな物は慣らせば何とか成る物さ!
「野郎、何処にそんな力が在るんだ。其処迄餓鬼を守りたいのか!」
「餓鬼? 俺に良い父親は期待出来ない。悪魔の子供は放ったらしにして成長させる物さ。クロイツも其のつもりだ」
「訳わからんな。だったら……ライドマシいイイんん!」叫んだ途端、ガットラーの背後に降り立つ『ライドマシン』と呼ばれる準人型機動兵器。「さて、俺様は楽して貴様との因縁を此処で断ち切る!」
「ハアハア、参ったな。仕方ない、逃げるが勝ちだああ!」クロードの野郎は俺に近付くなり、ガットラーの所迄放り投げた。「後は頼んだぞ……やっぱ死ぬの恐いぜ!」
「クソウ、危ねえ!」
「避けたな、右アームパンチを!」
「そんな物で……うおおおっ!」『ライドマシン』は意外と速いと来た者だ。「もう俺の逃げる方向を先回りして……おっと、回避回避!」
「動きが素人……だが、速度が明らかに光では捉え切れねえ!」
「--やろうと思えば出来るんだな……ライトクラッシュ!」
「グワアアあ……打撃技、だとおお!」
 マナの練りが悪いなあ……だが、今ので逃げるだけの距離は取った--そうして俺は光の速度で其の場を後にしていった!
「クソウ……何て野郎だ。どっちにも逃げられたんじゃあ、仕事上がったりだ」
 そうか、だったら俺に協力しろ--まさかのワイズマンが此の世界にも降り立つとは思いもしなかった!
 其処で俺はワイズマンが何者で如何して此の世界にも存在しているのかを知る事に成って行くが其れは又の機会で。兎に角、クロード・ベルフェゴールが遺す因縁の物語は徐々に徐々に構築してゆくみたいだ。俺という異物が存在しながらも、な!


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tag : 格付けの旅 小説 SF 冒険 ファンタジー

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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