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格付けの旅 デュアンは浮力の宇宙を体験する 現実に近い地獄へと降り行くデュアン

 天使術……其れは文字通り天使だけが仕える術。此れに関する情報を今の所俺は持ち合わせていない。
 と言ってみるが、パンツ一丁に成って両手を吊し上げられるとはな。其れに年中日の光が当たるなあ。肌が彼方此方痛い。硝子窓を利用して数十倍に迄光度を高めて俺を焼いているそうだな。拷問としては十分過ぎる方法だぞ。
「そろそろ吐くんだ、異邦人。お前が持つ全てを」
「吐かなければ更に光度を上げるのか?」
「其の通りだ、其処の異邦人。其の魔法とやらは此の世界ではちゃんと意味を為すのか我々は知りたいのでね」
「為さないな、実は。何度も試しては見る物の……精密射撃を可能としないんだ。ヒッグスありきであれは放つ事が出来た代物だからか?」
「ヒッグス? えっと……物に重みを与えるという重量粒子とやらか? 何方にせよ、そんな物は既に否定された後だろう。『相対性理論』を舐めるなよ」
 此の世界にも『相対性理論』は在ったか--今更だが、魔科学世界に於ける『相対性理論』が在るように数科学世界にも顕然と存在する『相対性理論』の正確さには舌を巻かざる負えない今日此の頃。
「俺を如何する気だ? 人体実験するつもりなら天使のイメージガタ落ちだぞ!」
「我々を少し誤解するようだが、戦争に勝つ為には手段を選ばん。どれだけ悪名を背負おうとも貫かねば成らない信念が在るのだ!」
「其の為なら人々の心を蝕んでも、か?」
「『政治』は何処へ行こうとも『民主主義』という物には付き合わないといけない」
 『民主主義』を天使共も口にするとはな--他人の意見を一々聞いていられない……と思えばどれだけ良い事か!
 政治……何時も誤解を受けやすいのだが、所詮は祭事を小難しく表したに過ぎない。要はどれだけ世の為人の為と謳おうとも所詮はショービジネスの一環に過ぎない。其の為に国民共は『政治屋』共の言葉に左右され、安易な判断を下しやすい。まあ其処から先は『民主主義』の項目にて詳しく説明しておこう。兎に角、祭事を難しくした政(まつりごと)。政を以って世を治める……其れが政治。なのでショービジネスが罷り通るのは当たり前の話だという事を忘れずに。
 民主主義……今迄試みて来たどの政治形態を除けば此れ程最悪の政治形態は他にない物。と在る俺の世界に居た或る高名な政治屋の言葉を借りればそうゆう物。如何ゆう意味かを俺なりに述べるならば使い方を誤れば此れは災いを齎す、と其の政治屋の爺さんは云ったそうだな。兎に角、民衆の手で政治を決めるという一聞するととても良い制度のように思うだろう。だが、馬鹿ばっかりで代表者を選んだらどれだけ災いを齎すのかを知らないといけない。政治でも述べたように安易な選択がどれだけ災いを齎すかを知らないと此の制度は亡国へと転がしてしまう。そうだな、上級魔法が素晴らしいから全部上級魔法に決めてしまえ、という意見ばかりが集中したら如何成る? そうすると確かに強力な魔法で安易に勧められるように思えるだろう。だが、上級魔法はマナの消費量が激しいだけじゃなく詠唱時間が非常に長い。おまけにそんな詠唱時間中に相手は如何するかを考えると下級或は中級を絡めて上級魔法の詠唱を妨害する事で勝利を掴んで来る。結果、上級魔法だけのパーティーは全滅。勝利したのは下級或は中級魔法だけのパーティー……強力な魔法を持つのに何故敗れたのか、という総括に成って来るのだからな。少しわかり辛いが、つまりそうゆう事だ。言葉尻が良い奴が何でも出来ると勘違いしてそいつを多数決で代表にするからって必ずしも良い政治に結びつくとは思えない。そうゆう意味で民主主義とはショービジネスを見極めない愚民が使用すると亡国へと導く代物だ。此れを忘れないように。
「長文過ぎるな、眠ってしまうだろうが」
 済まないな、俺の悪い癖だ--とはいえ、大分マナを蓄える事に成功した……後は如何やって弾かせるのか、楽しみだなあ!「貴様、何か放つ気だな?」
「--さあ?」俺は静かに全身の筋肉を収縮する魔法を唱える。「--其の手の御経が何か?」
「経を唱える事は即ち……良し、やれ!」
「拙い……ウグああああ!」全身に降り注ぐ紫外線魔法否天使術が俺の肌を益々火傷へと晒す。「呪文詠唱に失敗した。却って肉体を更なる危機に晒してしまった!」
 俺は一転して危機に立たされる。相手は只の機械じゃない。機械だと思い込んだ俺の過信が危機を招いた。何時から自分以外をパターン通りの機械だと思った?
「あの異世界人、如何やら過信が招いたミスに動揺している様子だ。如何思う?」
「推察するに自分が一番だと思い込んでいるだろう」
 私の推察ですと自分の力なら上手く行くと思い込んでいるだろう--何方も外れだ……意外と奴等が行う相手に対する推察は俺が思っている以上に当たる気配はないな。
 『他人は自分が思っている程愚かでもなければ賢い訳でもない』という全世界共通の真理に通じる諺通りだな。
 他人は自分が思っている程愚かでもなければ賢い訳でもない……別に此処迄長文でなくとも構わないが要するに相手を過少も過大もするなって意味さ。前者の場合は「何時も通りこんな事をすれば簡単だろ」という思い込みから相手からの思わぬ反撃を受けて膝を挫く。後者の場合は「いや、待て。奴等なら不可能を可能にしてしまう」と思い込んで逆に反撃の準備を与えてしまう事を指す。何方にしても如何に相手を考えて手を打つのが難しいのかを表す物で如何に予言の類とかが当てに成らないかを表す。要は何でも相手を見抜けたら面接官は今頃政権の御意見番として永遠に鎮座しているだろう。そうゆう意味だよ。
「其の表情、如何やら我々の過大評価を表しているな」
「気付かれたか。あんたらはこんなポジションは役不足じゃないか?」
 其れを決めるのは君ではない--一部の隙もない範論を出されては返せないな……確かに決めるのは天使の偉いさんがするもんだな。
「さて、楽をしているから更に痛い目を見て貰う!」
「--ウガアアアアアア!」此奴等、本当に天使族かよ。「--いい加減にしろ、リクイップウウウウ!」
「抜け出したな、馬鹿め……『イーノック』ウウ!」
「了解シマシタ、直グニ異邦人ヲ討伐シマス!」
 『イーノック』……そう呼ばれる機械人形が真下より俺を討伐する為に百もの腕を広げて襲撃して来る!
 俺はそいつを相手に慣れない格闘戦を演じる……「畜生、やっぱ格闘技を俺は出来ない!」だが、神才と呼ばれかねない俺でも格闘技の才能は無かった--なので『イーノック』の羽交い絞めに全身を搦め取られて今にも全身骨折及び内臓破裂は避けられない状況に追いやられる!
「何とか筋肉硬化術とやらで『イーノック』の関節技を耐えるようだな?」
「だが、格闘技だけが『イーノック』の十八番じゃない」
「天使術を示せ、『イーノック』」
 野郎……急降下を、始めたな--関節技でも俺を砕ける事が出来ないならいっそ奈落の底迄叩き落す程に効果を始めやがった!
「少々地獄に首を突っ込む事には成る」
「侵犯の口実を奴等に与えますよ」
「構うもんか。其の時は汚い政治手段で言い訳をすれば良い」
「悪魔共に言える口ではないな」
「例のあれを解析しなければ……な」
「あれか……果たしてあれは我々の『救世主』と成るのか? 或は世界を滅ぼす『魔神』と化すのか?」
「其れを決めるのは『天のみぞ知ります』ね」

 天のみぞ知る……実に便利な人為的な事柄では如何する事も出来ない運命用語。其の先を知る事が出来るのは天のみ。其れ以外は天の操り人形に過ぎない……真理を突き付ける実に便利な諺と言えよう。だが、此奴を俺は認めん。
 咄嗟に俺は『イーノック』を叩き付けて脱出。運命に身を委ねるよりも寧ろ運命を自ら切り開く事でしか生命は運命と向き合えない……俺はそう思っている。仮に俺の完全なる死が確定済みで在っても俺は延命する自由も自殺する自由も決める権利が在る。俺は絶対に其れを譲らない。譲る位なら俺は全てを蹴散らしてやる。
「ヘッヘッヘ、堕天したのが一人……見っけ」
「よお、地獄に叩き付けられて無事だなあ。浮力が上昇させたくて仕方ないんじゃない?」
「歓迎するぜ、但し抵抗したら死在るのみだって気付いたあ?」
「まあ逃げても良いぜ。此処には塵屑ばかりが集まる訳だしなあ、けっけけ」
「お姉さんと何発もやらない、見た感じ童貞君だし」
「大歓迎よ、お姉さん達はちゃんと卒業の手伝いもしてあ・げ・る」
 地獄のような天国から一転して俺は天国のような地獄に堕ちてしまった。だが、そん所其処等の雑魚にやられる程俺は弱くない。魔法を使わずとも素人憲法で何とか全員地面に尻餅させるだけで十分。
「速過ぎる!」
「何時、動いたんだ……羽が付いていない癖に!」
「抑々、『滑空力』を使わずに如何やってあんなに速く動けるのだ!」
 如何やら此の世界には他にも力学法則が在るそうだ。特にあいつ等の翼は『飛翔能力』という点では天使や堕天使には劣るだろう。だが、下に向かって急降下する能力。要するに地面に素早く滑らせる『滑空力』と呼ばれる技術では恐らくトップクラスだろうな。
 とはいえ、長基線は避けたい。今の俺は此の世界に於ける法則を未だ未だ理解が及ばない。理解が及ぶ迄逃げるが勝ちで往く。
「足も速いのか……クソウ、『空気抵抗』は如何成って居るんだよ!」
「撒かれた……あれだけの速度なら、如何考えても肉体に掛かる空気の塊は相当重い筈。如何成って居るんだ、あの羽根なしは!」
「いや、有り得ん。一瞬だぞ。幾ら速度が速くても目で追えない速度に成る迄は加速時間が在って然るべきだろう。直ぐにトップスピードは有り得ん!」
 奴等は科学にも詳しいようだな。下品だけで此の天国のような地獄を渡り歩けない訳だな。
「フウ、お前さん……追われているようだったな」
「誰だよ。俺みたいな得体の知れない奴を助けるなんて!」
 俺はクロード・ベルフェゴールだ……宜しくな--悪魔の中には天使に近い精神性を持つ者も中には居る。


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tag : 格付けの旅 小説 SF 冒険 ファンタジー

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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