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一兆年の夜 第二十一話 二つの星 進撃篇(六)

 午後四時三十分八秒。
 場所は廃マンドロス町南付近。そこから成人体型六十七の距離に十四の仮設民家が建てられる。
 天同参花は未だに仮設民家を作っていた。
「もうすぐ一の時が過ぎそうかな?
 ユキ?」
「何でしょう?」
「お日様が沈み次第、僕達は町に入るんだよね?」
「そうよ。それまでに雄略包丁を研がないと良くないわ」
「そうは言っても中々仮設民家が作れなくて--」
「はあ、参花様がもう少し才能の神様に恵まれたのならあたしも苦労しないのに」
「ごめん」
「謝る理由なの?」
 それから十二分の間、参花とユキは少年少女らしい会話をした。
 そしてついに参花は自分の仮設民家を完成する。
「やっと出来た!」
「うん、出来は良いとは言えないけど」
 少年少女らしい会話をする二名の前に齢十七にして三の月と三日目になる武内人族の少年が左右の腰に武内包丁を引っ提げて現われる。
「仲良いね、君達は!」
「あたしはいいけど、参花様に『君』というのは止して下さい!」
「えっと、あなたの名前はなんて言うんですか?」
 成人体型一とコンマ二続き一と二の間くらいの大きさはある少年は逆立てた黒髪を左右に揺らしながらこう答える。
「俺はキングレイ隊の雄だ。なので自己紹介をしたけりゃリアクターの姐御に頼むんだな!」
「礼を欠くぞだ、モルルカだ!」
「けえ、先に本名を言われたか!」
 野次者のようにアラウンがやって来た!
「えっとモルルカさんで良いんですね。じゃ、じゃあ名字は?」
「知らないか? 武内族には名字はない。
 なので俺を呼ぶ時はモルルカと呼べ、参花の坊主!」
「『参花様』と呼びなさい、モルルカさん!」
「始めに言っとくべきだったかな?
 俺は認めた雄でないと敬語も敬意も払わねえんだ!
 なので坊主がどんなに周りから持ち上げられても敬意を払うにはまだ足りないな」
「相変わらずだう。それじゃあ他者に好かれなっべ」
 もう一名、齢二十にして五の月になったばかりのエウク牛族の青年が野次者のように現われた。
「スワンダだったな?」
「同じ隊であるう者の名前を忘れてどうすうる?」
「名前を覚えるのは得意じゃないし」
「あなたの名前は聞いた事があります。確かエウク牛族のスワンダ・ブブルルさんだったね」
「そうそう。オラは参花様とお話がしたんて近付きまった!」
「本当じゃないだろ? どんなものかを知りたくて会うんだろ?」
「五月蠅いなう、モルルカ!
 どっちも本当のことだう!」
「参花様?」
「何さ、左耳に聞こえるような声で?」
「スワンダさんは試したがり屋ですのでここは自信を持って望まないともしかしたら相手にされないかも知れませんよ!」
「え! それは良くないよ!」
「こそこそ話は良くなうな。堂々と会話を披露したうらいいのに!」
「済みません、スワンダさん」
「けえ、どうにも頼りにならねえな。
 オイ、スワンダ! もしかしたら参花の坊主は--」
「五月蠅いと言ってっだろ、モルルカ!
 決めっのはオラだう!」
「はいはい」
「『はい』は一回だう!」
「あ、あのどんな事をするんですか?」
「どんな事?
 そうだな、まずは参花様はユキちゃんの事をどう思う?」
「出た! スワンダ伝家の宝刀!」
「もう口を閉じう、モルルカ!」
 それを聞いた二名の顔は少し赤くなった。
(ユキの事なんていきなり言われてもわからないよ!
 というかユキとはまだ二の日しか過ごしてないんだよ!
 だからユキとは--)
「参花様とは主と仕える者の関係以外見あたりませんが!」
「君に聞いてなう!」
 何故か参花を気にするようにユキが答えるが--
「それよりも参花様はどう思われるうかな?」
「ど、どうって言われても--」
「はっきり言って参花様とは--」
「君は黙ってろう! オラは参花様に聞いてるんだう!」
「うっ!」
 ユキはこれ以上口を挟めなくなった。
(ここはこう答えるべきかな?)
「え、とユキとはまだ二の日しか過ごしてないのではっきりと答えられません。
 だからこの質問の続きは僕がもう少し強くなってから答える事にします」
 参花は曖昧な答えを返した!
「うーん、それでいいのかう?」
「えっ?」
「どうやらオラが参花様を見込んむのは時を経なっとわかっないなう。
 なのでこれかっも参花様とはあまり踏み込まずうに見届けたっと思いまう」
 スワンダは溜息をついた後、参花に背を向けながら去ってゆく。
「ぼ、僕って何か良くない事言ったかな?」
「自覚しろ! あれは『見込みは足りなかったな』と呆れてるんだぞ!
 俺は良いけど、スワンダは本気で支えるつもりだったからな!」
「で、でも僕はそこまで気を下げるような--」
「じゃあな! 俺達に認められたいのならもう少し自信を持て!」
 励ましに聞こえる事を言ったモルルカはスワンダの所に向かってゆく。
「参花様が立派になるのはいつだろうかだ?」
 そんな呟きをしながらアラウンはモルルカ達とは別の方向に去った。
「参花様。今はマンドロス町を取り戻すことを考えましょう!」
 落ち込む参花をユキは軽く励ます。
「ありがとうユキ!」
「どういたしまして!」
 二名は一の時を経るまで会話を楽しんだ。
(エリオットさん! 僕はどこまであなたに近付けるのでしょうか?
 あなたという星はどこまでも僕の届かないところにいます!
 真似をすれば近付けるのでしょうか? 真似?
 そうだ! エリオットさんから渡されたあの手紙を読まないと!)
 会話中に参花はエリオットから手渡しされた物に気付く!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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