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一兆年の夜 第二十一話 二つの星 進撃篇(五)

 午前十時二十五分九秒。
 場所は天同読四道。マンドロス町に発展させた初代町長天同読四よみしにちなんだ道路。
 参花達現在十五名になるボルティーニ団本隊はマンドロス町目指して進軍中。
(眠い。もうすぐ昼ご飯だけど、食糧は大丈夫かな?)
 現在の食糧状況は芳しいものではない。全員分を計算しても残り一日分しかない。
そんな状況であっても彼等は希望の光を目指してただ進む。
「ギャレイ土君?」
「何の用うだ、リアクター?」
 いつ襲われても大丈夫なように蘇我鋭棒を構えながらギャレイ土に話しかける。
「報告したから皆までは言わないけど、残っているボルティーニ団は三十名を下回る
わ。ほとんどは例の指揮官型と百獣型にやられたわ!」
「指揮官型はあ一度手え合わせしいた! あれえは強すぎいる!
 エリオットがやられたあのも無理いはないくらあいだ!」
 ギャレイ土は斜め十字傷を歪めながら指揮官型の強さを恐れる!
「だからって私はあいつを倒すのを諦めないわ!
 あいつは、あいつは--」
「私の心おをああまり出あし過ぎるうな!
 俺達は硬貨あを貰いにいマンドロス町いを取りい戻すんだ!
 わかあるな?」
「わかってるわ!
 けれどもあいつに関しては私の手で決着をつけないと!」
 リアクターは険しい表情をしながら指揮官型に怒りの炎を燃やす!
 その様子を間近で見た参花は--
(リアクター・キングレイ?
 ユキから聞かされた話によると棟一兄さんの幼馴染だったっけ?
 もしかしたらリアクターさんから棟一兄さんの実像がわかるかも知れないな)
 参花はそう思いながらも今のリアクターに話しかけるのを止した。
 一行は読四道からピート橋へと進む。

 午後零時零分十一秒。
 場所はピート橋。かつて国家神武で偵察大臣、国家防衛間を務めたピート・プート。
ピネラ・プートの曾祖父に当たる者を称える橋。
 一行は昼飯である五穀おにぎりをよく噛んで食べていた。
「たったこれだけしかないのは辛い!」
「贅沢は言わないの! あたしだってお腹いっぱい食べたいわよ!
 おにぎり以外の料理を!」
「うう、食べるのがこんなに有り難いなんて!」
 参花とユキが並んでおにぎりを食べる間に一名の女性が参花の隣に近付く。
「参花様? 横で良いかしら?」
「え? いいけど」
 深紅の短髪をした女性は参加に気を遣うようにゆっくりと正座した。
「えっと--」
「リアクター・キングレイ。二回も自己紹介をしたわ」
「そ、そうだったね、ははは--」
「『ははは』じゃないでしょ!」
 ユキは右手の親指と人差し指で参花の左頬を横に抓った!
「イタタアタ!」
「フフ」
「何がおかしいのですか、リアクターさん!」
「いえ、微笑ましいと思ってね」
「そ、そう?」
 ユキの顔は少し赤くなった。
「どうし、ギャ!」
「変な事を言わないで! 思わず力が入ったわよ!」
「ユキ! あまり参花様に例を欠く事はしないでね!」
「は、はい」
 リアクターに注意されたユキは参花の頬から離すと顔を少し下向きにする。
「と、ところで僕に用があるんですか、リアクターさん」
 リアクターは参花の両眼を見つめる!
「は、恥ずかしいよ!」
「申しわけありません、参花様。
 でも似てるわね」
「似てるって? 誰に?」
「勿論、天同棟一よ!」
 リアクターは参花の兄、棟一の名前を出すと--
「あ、あの。兄さんとど--」
「棟一様とは只の幼馴染。そう、只の幼馴染。
 そして只の友達でもあった」
 棟一との思い出話を語り始める。
「あの方とは物心着く前から一緒に遊んだ。一緒に笑った。一緒に泣いた。
 そんな関係なのよ、棟一様とは」
 リアクターはまるで自分の弟に話をする嬉しさから出た笑顔をした!
(リアクターさんは似てる! 確か--)
「意識をし始めたのは棟一様後共に銀河連合を倒しに行った頃だわ。
 確かその時はちょうど反抗期に入る前だったかしら?
 その頃に私は棟一様の強さに対抗意識が芽生え始めたわ!」
 リアクターの表情から笑顔が消え、眼差しが強く輝き始める!
(そうだ! 兄さんに憧れる事はあまりしないがこの感じは--)
「それから私は努力したわ! 棟一様のように強くなる為に蘇我鋭棒を初めとした
多種多様の物で来る日も来る日も強くなろうと努力した!
 でも棟一様はその度により高みへと登っていくわ! 私がどんなに努力しても!」
 リアクターの表情は険しく、そして羨望の眼差しへ変化!
(門忍姉さんだ!
 姉さんは普段、抱擁溢れるけど、銀河連合の話をしたら真逆になる!
 リアクターさんは門忍姉さんに--)
「それでも私は努力した! 例え超える事は叶わないと思っても!
 けれども超える事は永遠に叶わなくなったわ。この気持ちは団長とは異なるけど」
 リアクター悲嘆する--愛する者を二度と相見えない嘆きを表現するように!
(全てを背負い込むところが門忍姉さんそのものだ!
 リアクターさんも辛いんだね!)
「棟一様!
 でも今は幸せで溢れてます!
 何故ならここにあなたの弟君がいるのですから!」
 参花が気付く頃にはリアクターの瞼から溢れんばかりの涙が流れる!
「あ、あの。あたしの持っている風呂敷で拭きますか?」
「いいわ! 自分の手で洗うから」
 リアクターは涙を拭くと参花を見つめながら立ち上がる!
「参花様、ありがとうございます!
 お陰で自分の中で溜めたモノを吐き出せました!」
「べ、別に僕は何も--」
「何もしない?
 それで良いのですよ、参花様!
 あなたは何もしないからこそ私達の希望になれます!」
 その言葉に参花とユキは瞬きを繰り返す。
「その意味……いずれわかる日が訪れます!
 私は周囲に銀河連合が居ないかを確かめに参ります」
 そう言ってリアクターは参花の元を離れていった。
(わかる日? 無理だよ!
 何もしない事でみんなに余計迷惑をかけるよ!)
「はあ、肝心の参花様はこんな調子で大丈夫かな?」
 そう言いながらも心配なのか参花を見つめ続けるのであった。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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