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一兆年の夜 第二十一話 二つの星 進撃篇(二)

 午前九時三十分二十一秒。
 五つの仮設民家が五角形に並んでいる場所の中央には天同参花が立つ。
(いいのかな? 僕みたいなのが勝手に指揮官になるのは?)
 参花は自分に自信を持てない。その為なのか、背筋が猫族のように曲がる。
「背筋は真っ直ぐにして!」
 左横についたユキは参花を注意した!
「こ、これでいいかな?」
「『これでいいかな』じゃないでしょ!
 一応参花様には対等に話すよう隊長に命令されたよ!
 だったらそんな弱々しい喋り方は修正して!」
「助けてよ、ギャレイ土さん!」
 参花は助けを乞うもギャレイ土は首を横に振る。
「それはあ無理なごお相談でああります、参花様!
 いい加減ん諦めてえ我々真島隊にい指令を与ええて下さあい!」
「そうですんぞ、参花様!
 エリオット団長が亡き今、ボルティーニ団を率いるんのは参花様のお務めで御座いますん!
 どうか指令を!」
 前にいる三名は参花に土下座した!
(そうだった! エリオットさんはもういない。
 あの方が亡き今、この方達を率いるのが僕の務め!
 でも--)
「なあに考え込んでるのよ、参花様!
 ここは適当に下しても良いのよ!
 適当に!」
 ユキは左手で隠すように参花の左耳にのみ聞こえるような声で助言した!
「いいの?」
「『いいの』じゃない!
 『良い』っていいなさい!」
「わ、わかったよ!」
 代々続くライダル家の雌にだけ与えられし気迫に圧倒された参花は右手をお椀状の形に握り、口に当てて咳き込む!
「えーと、これから真島隊は山を下りて全ての部隊と集結します。
 えーと以上です」
「まあー参花様はー初めてなのーでこのくーらいは想定内ーだわ」
 四名は適当すぎる指令に少々呆れた!
(無理だよ、エリオットさん!
 みんなの表情が良くないよ! 明らかに僕に呆れている証拠だよ!)
 直ぐ考え込む参花に我慢出来ないのかユキは参花の左膝左横に右足による直角蹴りを叩き込む!
「イタイ! いあたあた!
 何するんだ!」
「しっかりしなさい! 考えてる暇があるならさっさと身体を動かしなさい!」
「はい……」
 参花は尻に敷かれる運命であった!

 午後零時七分三秒。
 場所はマンドロス山標高成人体型二百付近。
 五名は昼飯の五穀おにぎりを食べていた。
「あれが僕の姉さん達が言ってたマンドロス町。
 エリオットさんはこれを取り戻そうと命を懸けてたんだね……うっ!」
 二十回未満で胃の中に放り込んだ参花は咽を詰まらす!
 ユキは参花の背中を両握り拳で数回叩く!
「だから言ったじゃない! ちゃんと噛みましょうって!」
「ごめん!」
 ギャレイ土達三名はそんな二名のやりとりを微笑ましく感じる。
「まだまだ青いな、二名ともえ!」
「よく言ううよ! ロージャもお参花あ様達の年くらあいはそんなあ感じだった癖にい!」
「隊長はお生命が良くんないよ! ワシはユキちゃんくらいの頃は祖母の語りで夢中だよ!
 まあどの年か分からんけどリザヴェルタおばあさんは死んでしまわれたけど」
「ロージャさんーも何気に凄ーい方をお祖母ーさんに持って!
 あーあ、私もプート家に少しーでも優れーたのが居ーたら……何かー来るー!」
 参花とユキ以外の者は武器を持って臨戦態勢に入った!
「ど、どうし--」
「何してるのよ! さっさと腰に付けた物を抜きなさい!」
 ユキが望遠刀を構えた頃にはすでに彼等の死角から五体の銀河連合が現われた!
「銀河連合!
 って何で抜けないのさ! 昨日までは抜けたのに!」
 参花が二式雄略包丁と格闘している間に左から二番目に配置した銀河連合蜥蜴型が飛んできた!
「わあああ!」
 参花が悲鳴を上げるが、蜥蜴型が参花に届く間もなく、右肩から尻尾の付け根まで物部刃が貫通し、そのまま地面の上で痛がった!
「楽に死なせなくてごめんなさい!
 それよりも参花様! 雄略包丁を抜く時は力を込めないで下さい!」
「そ、それをやってるんだけどどうしても--」
「ちょっと貸しなさい!」
 ユキは参花から強引に雄略包丁を取ると、すぐさま鞘から抜いて参花の右手に握らせた!
「これでいいでしょ?」
「ありがとう、ユキ!」
「和んでえいるう場合じゃあありません!
 木の陰から銀河連合が現われてきたぞ!」
「え? そ、そんな!
 数えたら六、九! うわっ、十三もいる!」
「いえ、十四、十五になってしまったよ!
 ワシもさすがに手斧が持つのか心配になってきたよ!」
 ロージャはピネラに乗っかりながら増援として駆けつけた鹿型、鰐型を次々と急所に手斧を叩きつける!
「え! 今度はー混ぜ物の銀河ー連合まで増ー援に来るなーんて聞いてーない!」
 マンドロス町から飛んでくるように鷲型と蟹型が合わさった銀河連合が増援として駆けつける!
「も、もう良くない!」
「ここで弱気になら……無い!
 物部刃がもう尽きた!」
 ユキはそう言いながらも籠の中にあると信じて物部刃を手探りする!
「俺のお方も危険んだ!
 足斧の刃毀れえが深刻で叩きいつける以外のお使い道しいか無くなあったぞ!」
「ワシとピネラちゃんも同様だ!
 このままじゃ物量であいつらに食われてしまうん!」
「頼るのは、僕?
 無理無理! 僕じゃあいつに勝てないって!」
 参花達五名は死ぬ覚悟を固めようとしたその時--
「死んではなりませんだ!
 我達がいる限り神々の恩恵は我々に与え続けるでしょうだ!」
 齢十八にして三十日目になる神武八咫烏族最後の雄と思われるアラウン・アルティニムムが五名の後方より四名の雛鳥を連れて駆けつけた!
「あれはあアラウン! 遅いぞお!」
「我に説教していいのは狭間様だけだ!」
 アラウンは鷲蟹型に成人体型十まで詰めると背負っていた翼持刀を構えた!
「隊長ね! 僕はどうするね?」
 齢十七にして二の月と九日目になるアリスト鴨族の雛鳥はアラウンに問う!
「ここは我に任せろだ! カブ助達四名は真島隊の救援に向かえだ!」
「「「「は!」」」」
 四名の雛鳥は翼持刀を構えて襲い来る銀河連合を次々と打ち落とす!
 その間にアラウンと鷲蟹型との距離は五まで近付く!
 そして翼持刀の弦は自らの骨に衝撃を伝えるように弾く--放たれた物部刃は見事中央に命中し、鷲蟹型は血を出しながら落ちてゆく!
「すごい! これがボルティーニ団の方々の強さなのか!」
「はあ、こんなのが天同だとあたしはどこまで着いてこれるかな?」
 ユキが満足しない呟きをする間に戦いは終わった!
「運が良いいのかわかあらないが、俺達誰え一名も怪我をおするこおとなく戦いはあ終わったな!良いこおとだ!」
 真島隊とアルティニムム隊は銀河連合の死体を弔ってゆく。ただ一名を除いて!
(無力だ! あの方達とこれほどの差があるなんて!
 僕はどうすればエリオットさんに成れる?
 無理だよ、そんなの!)
 参花は未だに迷いの中に嵌る……。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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