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一兆年の夜 第二十話 二つの星 接触篇(八)

 午前四時五十三分三秒。
 場所はマンドロス山標高成人体型六百六十六。
「鋭棒が!」
 エリオットが放った突きは第二左隠し腕で掴まされ、右腕で雑巾絞りの如く壊された!
「強い! 自分は指揮官型を倒す為にここまで強く成れた!
 だが、お前もまた自分が強くなる間に強くなっていたのか!」
 エリオットからの質問に対する指揮官型の答えは左飛び膝蹴りによる攻撃だった!
「当たら……ガァア!」
 エリオットは指揮官型の左つま先を右こめかみに受ける--とっさに前受け身する事で衝撃を和らげるも指揮官型は反撃の機会を与えずに追撃して行く!
「銀河、連合が自分達と同じように学んでゆくことは知っていた!
 それでも自分と同じように五感の全てを駆使するなんて予想できない!」
 エリオットは追撃を躱しながら己自身の心が徐々に押されていることに気付かない!
「自分は棟一様の物真似でここまで強く成れた!
 今度こそお前に勝てると思っていたのに!」
 指揮官型に勝つという地震が徐々になくなってゆく--身体捌きで指揮官型の攻撃を躱しながら反撃の機会を伺いながら!
「自分は、自分はエリオット・ボルティーニ!
 ボルティーニ家最後の雄として今度こそ逃げずに銀河連合と立ち向かうんだよ!
 今度こそなあ!」
 指揮官型が第三左隠し腕による右斜め上による薙ぎ払いで隙が出来たと睨んだエリオットは左足に力を込めて懐まで近付く!
 そして、鳩尾に向かって右肘撃ちによる攻撃を放つ!
「今度こそ……ガ、アァ!」
 エリオットは何が起こったのか理解できない--鳩尾に衝撃を受けたのは指揮官型ではなくエリオット自身だった!
「ま、さ、か、腕だけじゃ、ない、のか?」
 指揮官型は足にまで隠してあった--股間から生えた隠し足による膝蹴りを鳩尾に受けたエリオットは口から茶碗一杯分の血液を空に向けて吐く!
「死、ぬのか? こ、のま--」

 午前五時二十分二十一秒。
 参花は転んだ!
「イデエ! ま、また擦り傷が!」
 以前と異なり、血が出ただけで泣き叫ぶ彼ではなかった!
「僕はやっと雄略包丁を抜くことが出来たんだ!
 だからこそエリオットの加勢に向かわ……ってあれはジンバルさんを死なせた銀河連合!」
 蜂型は参花に向かってくる!
「力を入れるんじゃない。流れの赴くままに抜くんだ!」
 イズモノキミの遺言に従い、参花はゆっくりと雄略包丁を抜き放ち、そして--
「ジンバルさんの切り方を真似てみるよ!」
 左斜め切りを放つ--蜂型は左前羽を切られたがそのまま突撃してゆく!
 参花はそのまま上から下に真っ直ぐ振り下ろす--ほんの僅かだけずれるも蜂型はやや斜め下に両断された!
「はあはあはあ。やったよ!
 僕だってやれば出来るんだ!」
 両手を上に上げながら喜びを表現した!
「でもこれで僕も神様に申しわけ立たなくなったよね!
 生命体を死なせたんだから」
 その後、顔と両手を地面の方に向けて後悔した!
「はあ。僕はこれからどうすればいいのかな?」
 参花はしばらくそのままの状態で考えた。
(銀河連合を死なせる事がこれほどまで、心に響くなんて!
 でも、僕はそれ以外にも……あ! そうだ!
 エリオットさんの所に向かわないと!)
 何の為にここまで来たのかを思い出した。
 そして、天同参花は走り出す!
「待ってて下さい、エリオットさん!」
 刻一刻と激しくなる雨の中を!

 午後五時四十二分四十二秒。
 場所はマンドロス山標高成人体型六百六十六。
 雷が周囲より一番大きな木の上に落ちた--雷光は直立立ちした指揮官型が全ての隠し腕をエリオットの身体数箇所に刺したのを鮮明に映し出す!
「エ、リオットさん?」
 参花はこの光景を死ぬまで刻みつける--ボルティーニ家最後の雄にして参花にとって届かない星であったエリオットの姿を!
「エリオットさああああん!」
 絶命したエリオットを指揮官型は四股を分解してゆく!
「もうやめろ!」
 参花の訴えなど聞く耳を持たないのか、今度はエリオットの心臓、左眼、脳と言ったあらゆる器官をほじくり返してはそれを参花に返してゆく!
 当然参花の心には怒りで満たされてゆく!
「こんな事は、こんな事は生命のする事かあああ!」
 参花は鞘から雄略包丁を抜くと怒りにまかせて指揮官型へと突撃する!
「え?」
 指揮官型は参花の予想よりも早く懐に飛び込み、顎元に右拳を振り上げる--参花は高度成人体型二ほど飛び、そのままうつ伏せに倒れた!
(こ、ん、な、に、ゥォ……)
 参花の意識は洞窟の中へと誘われる。

 未明。
「ん? ここは--」
「起きたかしら?」
 参花の眼はゆっくりと開く。
「だ、れ?」
「あたしの事? あたしはユキ。アリスト人族のイチゴ・ライダルの第三子よ!」
 齢十五にして一の月と二日目になる水髪をした長髪の後ろ髪をキュプロ枝に似た紐で括った少女ユキを見て参花は暗い顔をする。
「何なの? 何暗そうなのよ!」
「だってここはあの世だと思って後悔してるんだ」
 参花は鳩尾に右拳が入るのを感じ、意識が朦朧とし始める!
「礼を欠く雄ね! ここはれっきと--」
 参花はそれ以降の記憶はないが、少なくともこれだけは確信した!
(僕は生きてるんだ! 生きなきゃエリオットさん達に申し訳が立たない!
 僕はエリオットさんがやれなかったマンドロス町奪還と棟一兄さんを死なせた銀河連合を必ず倒す!
 それが僕に出来るエリオットさんへの弔いだ!)
 こうしてエリオットとの三日に終りを告げ、新たなる三日が始まる。
 それは二つの星が銀河連合への反撃の狼煙を上げて国家神武への弔い合戦をするように……。


 ICイマジナリーセンチュリー六十三年七月十日午前六時二十五分五十八秒。

 第二十話 二つの星 接触篇 完

 第二十一話 二つの星 進撃篇 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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