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一兆年の夜 第二十話 二つの星 接触篇(七)

 エリオットは鋭棒の半径より三分の一まで指揮官型が入ると、すぐさま突きを放つ!
「当たった!」
 それは参花が見た幻だ--右寄り中指ほどの長さをもって指揮官型は避けた!
「感触がない!
 しかし一打目は想定内だ!」
 エリオットの予想は的中した--故に奥深くまで突きを入れることなく鋭棒を引っ込めた!
 その隙を突くように指揮官型は雄略包丁に類似した物を握った右手で甲を下にした状態で横薙ぎをする!
「槍を横にして受け流したの!」
 反動を応用しながらエリオットは尻部で指揮官型の喉仏を攻撃!
「掴んだ! どうして右手で掴める! あれはさっき……あれ?」
「隠し腕……知ってたよ!」
 エリオットはそこまで想定した--掴んだ時の流れに赴くまま左足を指揮官型の左足首に引っかけて背負い投げをした!
「また隠し腕……うわ!」
 今度はエリオットが同様の方法で投げられたが--
「いつまで投げの応酬を繰り返す!
 その度にエリオットさんとあの指揮官型は強打を避け続けるなんて--」
「何をなされてますか参花様ス! 指揮官型の狙いは参花様でス!」
 エリオット達が戦いを繰り広げるところを横切るようにジンバルは参花の正面に立つ!
「どうゆう--」
「危ないス!」
 参花の真上より蛇型が来襲--ジンバルは傘下の両肩に乗ると蛇型の首を切り落とした!
「わああ! 血、が出たああ!」
「それは銀河連合の血だス!
 さあ行きましょう参花様ス!」
「行くってエリオ--痛いって! 前足をひっかけないでよ!」
 雄略包丁の刃に当たらないよう、ジンバルは前右足で参花の右手を絡めながらエリオットが戦っている周囲から離れてゆく!
「来たぞス、来たぞス!
 銀河連合はライ子さんを死なせるだけでは足りないのかス!」
 二名の全周囲より八体の銀河連合が参花を食らいに襲いかかる!
「も、もう絡めないでも平気だよ! 僕だって雄だ!
 このまま戦わないなんて死んでいった姉さん達に申し訳がつかない!」
 前足を強引に離すと、参花は左腰に掛けた錦雄略包丁を鞘から抜こうと引っ張るが--
「どうして抜けない! やっぱり力が必要なのか!」
 もがく参花の背後に蟷螂型が両刃を振り下ろす!
「させるかス!」
 ジンバルは両刃を切り落とすとそのまま脇腹に刃をめり込む--蟷螂型は黄緑色の体液を吐き出した!
「ありがとう、ジンバルさん!」
「礼を言うのは最後まで銀河連合を倒した後にしてくださいス!」
 参花とジンバルの二名はエリオットと離れながらもそれぞれ足を止めない!
 一方は鞘から包丁を抜こうと力を込める!
 もう一方は刃毀れを起こしても一体ずつ銀河連合を倒してゆくが--
「お前で最後だス!」
 ジンバルは最後の一体である蜂型に両刃による横薙ぎを放つ--下に避けるという予想外の行動をとられたジンバルに隙ができた!
「何だス! うわあああ--」
 ジンバルは股間をくらい、そのまま全体を食われてゆく!
 その光景を見た参花は思わず--
「ジンバルさあああん!」
 叫び声とともにジンバルの死体に背を向けながらそのままの状態で走ってゆく!

 午前三時一分二十五秒。
 場所は標高成人体型六百六十八。ボルティーニ団の本組が寝床に使う仮設民家が建てられた場所。
 参花が戻った頃には--
「僕の仮設民家が! それにみんなの物まで!」
 風景は大きく異なっていた--倒壊した仮設民家には数十もの銀河連合の死体があった!
 その中央に一名の生命が体中傷を受けながら立っていた!
「イズモノキミさん! 無事だったんだね!」
 参花はイズモノキミに駆け寄った--彼は気付いてしまった!
(ああ、左目が飛び出して、右手が千切れるように外れそう!
 それにこんなに血が出たら--)
「参花様。未だ似包丁乃抜き方牙わからぬようですね」
「あ!」
 参花は今まで右手で鞘を抜こうとした状態で動いていた事に気付く!
「いいです科。包丁尾抜くとき端力出抜く乃端いけない事奈乃です。
 鞘乃神様端力出引っこ抜く乃尾好みません」
「な、何を言ってるんだ! そんなことよりも包帯を--」
「流れ乃赴くまま似抜いてみてください!
 そうすれば……」
 イズモノキミは雄略包丁の抜き方を教えたまま生命活動を停止した!
「イズモノキミ。
 だから言ったじゃないか!」
 参花がイズモノキミの死を悼む間、静かに鞘から二式雄略包丁が抜かれてゆく。
「やっと抜けたよ! でも抜いたのにどうしてこんなに悲しいんだ!」
 参花の上空より雨が降り始めた。
(ライ子来栖さん! ジンバル・ムシャリーニさん!
 そして、カゲヤマノイズモノキミさん!
 僕はどこを目指せば……目指す星はまだあるよ!)
「包丁が抜けた今、エリオットさんを助けないと!」
 参花はイズモノキミの亡骸を背にエリオットがいる標高成人体型六百六十六へと向かった!
「雨が止めばもっと見えるのに!」
 今はまだ雨は勢いをつけたばかりだ……。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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