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一兆年の夜 第二十話 二つの星 接触篇(五)

 午前十一時五分三秒。
「ふわああ、ようやく……ってあれ!」
 参花は自分が丹精込めて作った仮設民家を解体されるところを見た!
「な、な、な、何してるんですか!」
「何ってス? 出発する為に皆の仮設民家を折り畳んでるス」
 参花は起きたてなのに急に眠くなった--一生懸命作った物を僅か七の時足らずで解体されるところを見て落ち込んだ!
「仕方乃ない物です、参花様!
 俺達端マンドロス町尾取り戻す為似模一乃秒出模大切似しない斗ならない乃だから!
 おにぎり尾どうぞ!」
 イズモノキミ乃左手より差し出されたおにぎりを右手で茫然自失になりながら捕ると静かに食べ始める。
(やっぱり僕には無理だったんだよ! だからジンバルさんは解体していくんだ!)
 参花は少々後ろ向きになっていた。
「気に、しない事、ですよ、参花様! 世の中とは、そう簡単に、運ばないモノです!
 なので、前に、進んで、いきましょう!」
 ライ子は出来る限り参花を励ますが、効果は薄い。
「全て畳んだな! じゃあ行くぞ皆の者!」
「「「オオ!」」」
 エリオット達はマンドロス町に向けて歩を進めて行く!
「あ! このままじゃ置いてかれてしまう!」
 参花は彼等の後に続くように歩を進めた--後ろ向きなまま!

 午後七時八分三秒。
 場所はマンドロス山標高成人体型五百十二。ちょうど廃テレス村が見える位置。
「山登りがこんなに辛いなんて!」
 未だに参花の足はマンドロス山に慣れない。
「おかしいわね。一の年より、前までは、この山で、暮らしてた、参花様、らしくないわ!」
「暮らしてたけど、実際には山をうろついたこと無いんだよ!
 門忍姉さんは外に出るのを許可してくれないし!」
「本当にこの方は天同なのだろうかス?」
「いいよ。天同であってもう天同じゃないんだよ、僕は!」
 参花は何が何でも『天同』という運命から逃れたかった!
「しかし、あなた端天同参花出ありますぞ!
 どう足掻いたところ出血端あなた尾離して端くれない乃です」
「わかるかよ、イズモノキミさんに!」
「わかるさ!」
 そう言葉を返すと、イズモノキミは参花に近付き、参花の顔を覆えるくらい大きい両手で参花の左手を包む!
「な、何を--」
「まさかイズモノキミ殿! それはまだ--」
「参花様! どうかこれ尾大事似お持ちなされて下さい!」
「これは?」
 参花は左手に握られた一通の手紙を見ようとしたが--
「!
 どうやらそれはこの戦いが終わるまで懐にしまわれて下さい、参花様!」
 エリオットは背中に担いだ蘇我鋭棒を両手で握ると周囲に気配りする!
「また銀河連合! 狙いは、参花様、なの?」
 ライ子もまた周囲を警戒した!
「来るス! しかも前の日より倍だス!」
 ジンバルの想定通り、銀河連合は空と大地より十七の数で迫り来る!
「数端十七? いや十九だ!」
 イズモノキミの足した数よりも三多い五体の銀河連合が四方より加わった!
「え? え? こ、この場合抜けばいい?」
 参花は二式雄略包丁を抜こうとするものの--
「あれ? 堅いな! エイ! こりゃ!」
「どこまでも手間をかけるな、棟一!」
 エリオットは今は亡き棟一を呼び捨てにしながらも参花を守るように後ろをとる!
「ぼ、僕はどう、ど、ど--」
「自分がお守りします! どうかじっとして下さい!」
「で、でも--」
「甘ったれるな! 本当はあなたみたいなのはここで捨ててでも戦います!
 けど、自分は天同棟一の意志を捨てたくないのです!
 だからあなたは余計なことはせず、そこで自分が戦う姿を見て下さい!」
「ヒ! は、はい!」
 エリオットの圧倒されるように参花は二式雄略包丁を静かに離すと、なだれ込むように地面に尻を付けた!
「あなたと話している間に来たか、銀河連合!」
 エリオット達四名は迎撃を開始!
「俺自身、怒り端湧かない!
 だが、先祖端カゲヤマノタケルノキミ! 先祖乃怒りだけ端受けてもらうぞ!」
 イズモノキミは鶏型、烏型、インコ型が棍棒を持った半径に入るとすぐさま円を描くように振り回す--鶏型以外は回避したものの、インコ型は体勢を崩したところをイズモノキミの突きを首に受け、口から茶色い血を吐き出してそのまま崖から身を投げ出すように落ちてゆく!
「私は、引きつける、為に、いる! でも簡単に、死なない事を、知りなさい!」
 ライ子は蛇型相手に逃げ回る--と見せかけつつ、崖に背もたれしながら蛇型を引きつけると飛蝗族の跳躍を生かして食われる寸前で飛ぶ!
「武器を、持たなくても、私は、あなた達を、死なせる事は、出来る!」
 蛇型が寸前で止まると、それを逃さずライ子は顔面に体当たりをし、勢いのまま落とす!
「枝に、刺さってる! 後で、弔いますので、どうか、楽に、しなさい!」
 一方のジンバルは五体の銀河連合相手に近接戦闘を繰り広げる!
「蟷螂族はもう少し身体が大きいなら熊族にだって負けはしないス!」
 成人体型一に満たないジンバルは一以上の鼠型、猫型、犬型との力比べで三体を全て地面に口づけさせると、今度は成人体型一とコンマ二以上ある蠍型、ゴキブリ型相手にも毒の尾や触角攻撃を両刃で受け流すと同時に急所を突いて悶絶させた!
「今頃団長はどうしてるかなス?」
 エリオットは十体以上の銀河連合を相手に傷一つない--それどころか一体ずつ綺麗に倒してゆく!
(眼が見えないのに何であんなに戦える! まるで次の攻撃を予測する?
 いやいやそれでも疲れて避けるのなんて大変だよ! なのにどうしてあんな動きが出来るの?)
 エリオットは残りの五感を使いながら銀河連合の動きを予想--予想に合わせながら最小限の動きになるような配置につく!
 そうする事で体力の消耗と余分な動きをなくす戦いをすることで十体以上の銀河連合を少しずつ倒す!
「十の年より以て上! それは苦しかったぞ! 眼が見えないということは今までの世界がわからないのと同じ事! それを自らものにするのに何をしたか分かるか!
 物真似をしてやったんだ! 盟友である天同棟一の物真似を!
 自分はボルティーニ最後の雄だからこそ出来た芸当だ! 自ら好きじゃなくなっていた物真似を命がけでしたからこそ自分はここまで強く成れた!
 そう簡単にお前達には食われないぞ!」
 エリオットは最後の一体である獅子型と取っ組み合いになった!
「無理だよ! 獅子族は昔から百獣の頂点にいる種族!
 それの形をした銀河連合にはさすがのエリオットさんでも--」
 そんな心配はまるで本当でないようにエリオットは転がるように獅子型を後方に投げる--獅子型は飛ばされた場所にいるイズモノキミに棍棒で股間を砕かれ、息絶えた!
「はあはあ、これがエリオット・ボルティーニだ!」
 天同参花の眼にはエリオットがまるで光り輝く星のように感じた!
(勝てない! 僕はどう頑張ってもエリオットさんには勝てない!
 こんな動きは真似できないよ! こんなにも、こんなにも届かない星があるなんて! 僕はなんて弱いんだ!)
「どうやら銀河連合は全て倒したな!
 皆の者よ、彼等を弔おう!」
「「「オオ!」」」
 参花は眺めるように作業を進めるエリオットを見続けた!
(もしもエリオットさんの話が本当なら棟一兄さんはもっと強かったのか!
 だとしたら僕は何の為に産まれてきたかわからないよ!)
 エリオットと出会って二日目。参花は自分の無力さを痛いほど感じた……。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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